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Google、クラウド事業を新ブランド「Google Cloud」として再編

Cloud Machine Learningをすべての企業に提供

 Googleは29日、Googleの手掛けるクラウド事業を「Google Cloud」との新ブランドとして再編することを発表した。

 Google Cloudは、「Google Cloud Platform(GCP)」をはじめ、「Google Apps for Work」から改称した「G Suite」、「Cloud Machine Learning」とそのAPI、企業向けの「Google Maps APIs」といったクラウドサービスから、これらのクラウドにアクセスするAndroidスマートフォン、タブレット、Chromebookまでを包含するブランドとして新たに定義される。

 GCPのユーザーは先ごろ10億人を超えており、こうした需要拡大に対応するため、インドのムンバイ、シンガポール、オーストラリアのシドニー、米国の北バージニア、ブラジルのサンパウロ、英国のロンドン、フィンランド、ドイツのフランクフルトの8つのリージョンにデータセンターを新設する。また、2017年にもさらにリージョンの追加が発表される予定。

 Googleが開発したオープンソースのコンテナ管理システム「Kubernetes」は、26日に新バージョン1.4の提供が発表され、クラスタアドオンのモニタリング、ワンクリックでのクラスタのスピンアップ、強化されたセキュリティ、Kubernetes Federation との統合、新しいGoogle Container-VMイメージ(GCI)のサポートなどの機能が新たに提供される。「Google Container Engine(GKE)」のユーザーはこれらを利用可能になる。

 このほか、クラウドデータ分析が行える「Google BigQuery」がアップグレードされたほか、これまで一部の顧客企業向けにアルファ版として提供されていた機械学習プラットフォーム「Cloud Machine Learning」がベータ版として公開され、すべての企業で利用可能になった。

 これらのGoogle Cloud Platformは、Spotify、Evernote、「Pokemon Go」を提供するNianticなどで採用されている。

 「Google Apps for Work」から「G Suite」へ改称される企業向けクラウドスイートは、
Gmail、Googleドライブ、Googleドキュメント、Googleスプレッドシート、Googleスライド、Googleカレンダー、Googleハングアウトなどから構成されている。Googleでは今回の発表にあわせてアプリをアップグレードし、機械学習の利用を拡大するという。

 Googleドライブに追加された「Quick Access」は、機械学習により利用履歴やGoogleカレンダー内の予定を分析し、検索されるファイルを文字の入力前に「先読み」する。これにより、結果を画面上部に表示する機能。検索して目的のファイルにアクセスするまでの時間が半分に短縮されるという。

 Googleカレンダーの「Smart Scheduling」は、同様に人工知能が、会議の時間や利用可能な部屋を提案してくれるもの。Android用Googleカレンダーアプリにはすでに提供されており、iOS用アプリではまもなく、ウェブ版では年末までに導入される予定。

 Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドに追加された「Explore」は、画面右下のボタンをクリックすると、作成中のドキュメントを解析し、必要な資料、画像、関数、デザインなどを推測して、右側に提案してくれる機能。スプレッドシートでは、文章を入力するだけで、入力すべき数式を提案してくれる。

 このほか、Googleドライブに追加される「Team Drive」は、従来のように他のユーザーを招待してファイルを共有するのではなく、チームでの利用を前提としたもの。共有の設定をせずにチーム内のメンバーがファイルにアクセス可能となるが、現時点ではプレビュー版が提供され、利用にはアーリーアダプタープログラムへの参加申し込みが必要となる。