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スマートIoT杖やペン型オシロスコープなど、スタートアップ企業を支援する「DMM.make AKIBA Open Challenge」から生まれた製品アイデア

 株式会社DMM.comは、スタートアップ企業を支援するためのプログラム「DMM.make AKIBA Open Challenge」の第1回となる成果発表会を、同社のハードウェアスタートアップ施設「DMM.make AKIBA」(東京都千代田区)で開催した。

 DMM.make AKIBA Open Challengeは、IoTに関する技術やビジネスのノウハウを持つ企業が、スタートアップ企業の製品プロトタイピングやビジネス設計を3カ月間サポートするプログラム。初回となる「DMM.make AKIBA Open Challenge 1」は、2016年12月~2017年1月に募集を行い、25チームが応募。2月に実施したプレゼン審査を通過した11チームが、3月~6月末にサポーター企業から支援を受け、製品開発を行った。今回参加するサポーター企業は、ニフティIoTデザインセンター、オートデスク株式会社、Makuake、オリックス株式会社の4社。

「DMM.make AKIBA Open Challenge 1」のサポーター企業

 DMM.make AKIBAエヴァンジェリストの岡島康憲氏は「IoTなどの先端領域で活動するシード~アーリーステージのスタートアップの次の一歩となる、大型の資金調達に繋げるためのお手伝いをしたいと思ったのがきっかけ。スタートアップやベンチャー企業などと一緒に物、ビジネスを作っていき、成長させていきたいと考える企業に協力いただければ」と語る。

 岡島氏によると、今後もOpen Challengeプログラムは定期的に実施するという。実際に、9月には第2回となる「DMM.make AKIBA Open Challenge 2」を開催する予定だそうだ。すでに3月時点で募集を行っており、現在は採択チームのサポート期間中だそうだ。ここでは、上記のサポーター企業に加え、&AND HOSTEL、VAIO株式会社が加わる。

 「いろんな企業を巻き込んでいきたい。Open Challengeでは、採択チームの商品をより深く知る場、ディスカッションの場、参加者同士のネットワーキングの場として活用してもらいたい。」(岡島氏)

DMM.make AKIBAエヴァンジェリストの岡島康憲氏

製品のターゲットを明確に本格的な開発に着手

 Communication Stick ProjectのスマートIoT杖「コミュニケーションスティック」は、高齢者における外出時の迷子や転倒に対する不安を取り除くために位置情報送信などの通信機能を備えた製品。当初は介護施設の高齢者に向けた製品として位置付けていたが、市場調査を行い、ターゲットを再検討した結果、自宅で生活する高齢者(85歳以上・要介護度2以下)への需要を感じたという。

 自宅で暮らしながら外出できない高齢者は、転倒や迷子、交通事故への不安のほか、人とのかかわりや交通機関の利用など社会基盤に適応できないことが問題になっているという。そこで、コミュニケーションスティックでは外出への不安を取り除いたり、社会参画への支援として機能する製品開発を目指すとしている。

 具体的には、転倒検知、交通者検知に加え、転倒・事故時の駆けつけサービス、理学療法士の訪問サービスなども検討しているという。また、センサーによる健康状態の解析機能、管理システムなども考えているそうだ。製品ローンチ時は1年目から8500本を販売することを目標として掲げている。

「コミュニケーションスティック」
展示されていた「コミュニケーションスティック」の試作品

 Azure Lab.の「OscilloPen」は、電気信号の波形を測定するペン型のオシロスコープ。ターゲットは電子工作物を製作するメーカーや、電気分野を学ぶ学生・教師。教育用キットもラインアップすることで、測定対象物がない場合の波形観測も可能としている。なお、サポート期間中にプロトタイプの作成を終えたため、今度はユーザーテストとフィードバックを行い、量産用の製品製作に取りかかるそうだ。

「OscilloPen」
一般的なオシロスコープは高価で装置が大きく、操作が複雑なため波形観測の敷居を上げていたという
サポート期間中にペン筐体の耐久性、使用時間などの性能を上げた。Android/iOS、Windows、macOSのマルチプラットフォームにも対応した

 Hapbeat合同会社のウェアラブルスピーカー「Hapbeat」は、ライブハウスで感じるような音の響きを手軽に体験できるもの。音信号に応じて回転するモーターで収縮する糸の振動により、体全体に振動を伝えることができる。「家の中でもクラブで体験するような迫力ある音を感じたい」という顧客をターゲットに開発したという。今後は、VRコンテンツに特化した製品も手掛けるという。

ウェアラブルスピーカー「Hapbeat」
音に合わせてモーターが糸を引っ張り振動を伝える
装着イメージ

 Takewari株式会社の「おばけパズル」は、おばけの形をしたピースを正しい位置にはめるとおばけの目が光るスマートパズル。小さい子どもから大人まで遊べるパズルとして展開する。

 サポート期間中は量産に向けた試作を行い、組み立て性の向上、省電力化を施した。また、目の光らないタイプの商品バリエーションを追加し、イベントで実際に子どもに体験させるなどの活動を行った。

 同社代表の井上幸人氏は「おばけは最初に子どもが想像する力を使う不思議な存在。こわいという印象をかわいいものにできればと考え、おばけパズルが生まれた」と語る。

おばけパズル
子どもに実際に体験してもらう活動も実施
おばけパズルのバリエーションも追加

 株式会社OTON GLASSのスマートグラス「OTON GLASS」は、読字障がい者、視覚障がい者、海外渡航者向けに開発した商品。メガネ本体に備えられたカメラで文字を撮影すると、文字を読み上げてくれる。Googleの画像認識APIや翻訳API、テキストを音声に変換する「AmazonPolly」を用いており、接続先のRaspberry Piのイヤホンジャック経由で音を出力する。

「OTON GLASS」

 Generative Idea Flowのスマートエプロン「SWIPE APRON」は、タッチセンサーを搭載したエプロンのポケットからBluetooth経由でスマートフォンやタブレットを操作できるもの。端末の画面を汚すことなく操作できるのを特徴としている。主にスマートフォンやタブレットでレシピを見ながら料理を作る人をターゲットとしている。

スマートエプロン「SWIPE APRON」