ニュース

QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール

SeagateはNAS用ファームウェア「Agile Array」を紹介

 名古屋の大須にあるツクモ名古屋1号店にて、7月22日(土)に「NAS・HDD合同イベント」が開催された。参加メーカーはNASメーカーのASUSTORとQNAP、HDDメーカーのHGSTとSeagate。当日は、台数限定特価のNASが用意されたほか、参加者限定のNAS製品オークションや、HDDの割引販売も実施された。さて、ここでは当日のイベント内容からASUSTORとHGSTについて紹介しょう。ここでは当日のイベント内容から、QNAPとSeagataについて紹介しょう。

QNAPのイチオシは仮想化技術

 QNAPは、6月に台湾で開催された「COMPUTEX TAIPEI 2017」で展開していたコラボレーションブースについて報告。Thunderbolt 3対応NASや、AMD Ryzen搭載NAS、NAS以外にも10GbE対応のネットワークスイッチを展示して新たな市場への進出を明らかにするなど、親会社である台湾IEIの設立20周年20周年に合わせたアグレッシブな動向を紹介した。

QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール プレゼンテーションを行ったQNAP株式会社営業部部長の黒川秀咲氏
プレゼンテーションを行ったQNAP株式会社営業部部長の黒川秀咲氏
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール Thunderbolt 3に対応した映像制作現場向けの各NAS製品。8+4ベイの「TVS-1282T3」は発売済みだ
Thunderbolt 3に対応した映像制作現場向けの各NAS製品。8+4ベイの「TVS-1282T3」は発売済みだ
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール Ryzen 7/5を搭載するNASも開発中とのこと。超マルチコアCPUによって、どのようなNASが実現するのか興味深い
Ryzen 7/5を搭載するNASも開発中とのこと。超マルチコアCPUによって、どのようなNASが実現するのか興味深い
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール NASの10Gbps化が加速するか!? 価格を抑えた10GbEスイッチを展開予定とのことだ
NASの10Gbps化が加速するか!? 価格を抑えた10GbEスイッチを展開予定とのことだ

 同社NASのイチオシ機能として紹介されたのが、「Virtualization Station」。NAS上で仮想OSを動作させることができる仮想化技術で、テスト用のPCやサーバーの構築がターゲットとなる。機能自体はかなり以前からあり、同社のOS「QTS4.1」以降と、対応NAS製品の組み合わせで利用可能だ。

 ここでは、手順を踏んで詳細に紹介されたデモを写真とともに見ていこう。

QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール デモに用いられたTS-253BはHDMI端子を搭載しており、ディスプレイに直接接続されていた。表示されているのがメイン画面
デモに用いられたTS-253BはHDMI端子を搭載しており、ディスプレイに直接接続されていた。表示されているのがメイン画面
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール こちらが先のメイン画面から「QTS」を起動した状態。PCからリモート設定を行う際と同様、ブラウザーベースの管理画面だ
こちらが先のメイン画面から「QTS」を起動した状態。PCからリモート設定を行う際と同様、ブラウザーベースの管理画面だ
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール NASホストに接続されているストレージの管理画面
NASホストに接続されているストレージの管理画面
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール QTSのデスクトップ上にあるアイコンから「Virtualization Station」を起動
QTSのデスクトップ上にあるアイコンから「Virtualization Station」を起動
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール 導入されている2つの仮想OSのうち、Windows 10を起動する
導入されている2つの仮想OSのうち、Windows 10を起動する
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール Windows 10の起動画面。NASのハードウェアはPCと比べて非力なため、それなりに時間を要する
Windows 10の起動画面。NASのハードウェアはPCと比べて非力なため、それなりに時間を要する
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール 画面上で操作しようとするとやや動作が重い
画面上で操作しようとするとやや動作が重い
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール メイン画面に戻ると、QTSの3つ右にある「QVM」の部分が「Windows 10」に変わっている
メイン画面に戻ると、QTSの3つ右にある「QVM」の部分が「Windows 10」に変わっている
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール QVMから仮装OSを起動すると、操作を行う際のレスポンスが向上する
QVMから仮装OSを起動すると、操作を行う際のレスポンスが向上する

 このように、QNAPのNAS上では手軽に仮想OSが扱える。仮装環境を使えば、PCを調達するコストが抑えられることから、SOHOや中小企業にとってメリットが大きいだろう。ちなみに、NASのモデルごとに異なるCPU性能はもちろんだが、より多くのメモリを搭載している方が、当然ながらパフォーマンスは向上する。このあたりは実質的にPCと同等だ。

 ツクモ名古屋1号店スタッフによると、QNAP NASの売れ筋は、基本機能が充実しつつ価格も手頃な「TS-231P」とのこと。注目すべき動向として、慣れ親しんだUSB接続で初期設定が行える「TS-251A」なども、ネットワークに詳しくないユーザーを中心に売れているとのことだった。

QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール

Seagateはファームウェア「Agile Array」、データ復旧サービスをアピール

 Seagateは、現在同社が販売しているHDD製品「ガーディアンシリーズ」を紹介した上で、NAS向けHDDである「IronWolf」の特徴や性能について解説した。

QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール 日本シーゲイト株式会社営業本部営業技術部部長の安河内智氏
日本シーゲイト株式会社営業本部営業技術部部長の安河内智氏

 現在、Seagateのみならず、競合メーカーでもHDDは用途別にブランディングされている。日本シーゲイトでもガーディアンシリーズのHDDとして、デスクトップ向け、NAS向け、監視カメラ向けを取り揃えている。なかでも、デスクトップ向けの「Barracuda」シリーズとNAS向けの「IronWolf」シリーズの違いは、まず想定されている駆動時間だ。

 デスクトップ向けHDDの週あたり8時間×5日に対し、NAS向けHDDは、24時間×7日の常時稼働運用が想定されている。ファームウェアも異なっており、デスクトップ向けにはパフォーマンス寄りにチューニングされた「MTC Technology」、一方のNAS向けには「Agile Array」が採用されている。

 Agile Arrayでは、4TB以上のIronWolfとIronWolf Proの全モデルに搭載される「RVセンサー」からの信号に対し、振動を抑制する方向でHDDの動作を補正する機能を備えるほか、RAID構成に最適化されたエラーリカバリーコントロール、NASに最適化された省電力機能などが用いられている。

QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール デスクトップ向けの「Barracuda」、ゲーミング向けの「Forecuda」、NAS向けの「Ironwolf」、監視カメラ向けの「Skyhawk」の各シリーズをラインナップ
デスクトップ向けの「Barracuda」、ゲーミング向けの「Forecuda」、NAS向けの「Ironwolf」、監視カメラ向けの「Skyhawk」の各シリーズをラインナップ
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール 複数台のドライブを搭載するNASでは、各ドライブの振動と、これによる共振がリード/ライトのエラーを生じさせ、性能低下を招く。これを補正するのがRVセンサーだ
複数台のドライブを搭載するNASでは、各ドライブの振動と、これによる共振がリード/ライトのエラーを生じさせ、性能低下を招く。これを補正するのがRVセンサーだ

 IronWolfについては、RVセンサーの搭載に加え、年間何TB書き込めるのかを示すワークロードにおいて、競合製品に対するアドバンテージがあると紹介した。また、「IOMeter」のようなベンチマークでは、おおよそ容量が同じ競合製品とのパフォーマンス差は小さいとしながらも、NAS上でのアプリケーション性能ではアドバンテージがあるとアピールした。

QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール IronWolf/IronWolf Proと競合製品との比較。機能や耐久性の違いをアピール
IronWolf/IronWolf Proと競合製品との比較。機能や耐久性の違いをアピール
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール IronWolf/IronWolf Proと競合製品における1ドライブ構成時とRAID 5構成時の「IOMeter」での比較。採用されている技術世代により、おおよその性能はほぼ同じだ
IronWolf/IronWolf Proと競合製品における1ドライブ構成時とRAID 5構成時の「IOMeter」での比較。採用されている技術世代により、おおよその性能はほぼ同じだ
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール アプリケーション性能ではアドバンテージがあり、これを実現しているのがファームウェア技術だ
アプリケーション性能ではアドバンテージがあり、これを実現しているのがファームウェア技術だ

 さらに、IronWolfならではのユニークなサービス「Rescueデータ・リカバリ・プラン」を紹介。HDD製造メーカーに蓄積されたノウハウによるデータ復旧サービスで、ドライブの故障やRAIDアレイの故障に対応する。IronWolf Proでは2年間無料でバンドルされるが、IronWolfではオプションとして1年プランが4.99米ドルと、比較的手頃な価格で提供されている。なお、動作しているデバイスに対してのみ契約が可能とのことだ。

 このほかの最新動向としては、「S.M.A.R.T.(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)」を拡張し、HDDの状態を監視して故障の兆候をユーザーに通知するツール「Ironwolf Health Management」(IHM)を、NASメーカー各社と共同で開発中とのことだ。

QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール 手頃な価格(IronWolf Proなら2年間無料)でデータ復旧サービスが受けられる「Rescueデータ・リカバリ・プラン」
手頃な価格(IronWolf Proなら2年間無料)でデータ復旧サービスが受けられる「Rescueデータ・リカバリ・プラン」
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール IronWolfシリーズHDDの状態を分かりやすく把握できる新ツール「IHM」をNASメーカーと共同で開発中とのこと
IronWolfシリーズHDDの状態を分かりやすく把握できる新ツール「IHM」をNASメーカーと共同で開発中とのこと
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール Seagate製品展示ブース。HDDのシリーズラインナップごとにキャラクターも
Seagate製品展示ブース。HDDのシリーズラインナップごとにキャラクターも
QNAP、NASでWin10を起動できる仮想化技術「Virtualization Station」をアピール NAS向けファームウェアやRVセンサーを搭載するIronWolfの10TBモデル
NAS向けファームウェアやRVセンサーを搭載するIronWolfの10TBモデル