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NTTが開発したLLM「tsuzumi」、NTT Comより商用生成AIサービスとして提供開始

tsuzumiを活用してNTT Comが提供するソリューション

 NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)は3月25日、日本電信電話株式会社(NTT)が開発した大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」を活用した生成AIソリューションの提供を開始した。

 tsuzumiはNTTが独自に開発し、2023年11月に発表されていた。軽量で低コストでの運用が可能であり、日本語処理性能の高さが特徴であるとされる。NTT Comが提供するソリューションは、CX(Customer Experience:コンタクトセンターなどの顧客応対)、EX(Employee Experience:業務に沿った生産性向上など従業員体験の向上)、CRX(Cyber Resilience Transformation:事業継続性。サイバー脅威に対する被害を抑え、復旧を迅速にすることによる事業継続性強化)の分野に特化したものとなる。

 具体的には、次のものが挙げられている。

CXソリューション

カスタマーフロントソリューション

 デジタルヒューマン技術や生成AIを活用した新たな顧客応対ソリューションを提供。チャットボットのほか、アバターを利用した店頭・店舗コミュニケーションにより、新たな顧客体験を提供する。

コンタクトセンターソリューション

 応対記録から必要な情報を自動抽出・要約を行うことでオペレーター業務の効率化を支援する。また、通話内容をもとにナレッジの抽出と会話サンプルの生成を行い、研修やFAQの高度化に活用することで、バックヤード業務の時間削減や、ナレッジの高度化を支援する。

EXソリューション

 金融・医療・行政・小売・運輸などの業界を中心に、顧客の業界および業務に合わせ、従業員の生産性向上につながるソリューションを提供する。

 プライベート環境に生成AIの動作環境を構築することで、社内に閉じた業務マニュアルや製品仕様書、設計書など秘匿性の高いデータを学習させ、顧客の業務プロセスに沿った業務改善に貢献する。

CRXソリューション

 ITシステム運用の自動化ソリューションに加え、顧客のシステム情報とセキュリティ情報を学習したAIが対応アドバイスを生成することで、顧客の環境にもとづいたサポートを提供する。

 また、セキュリティ運用の負担を低減することで、マルウエア対策などの年々増え続けるサイバー攻撃へのセキュリティ対応稼働の増大に対応する。

サービスの導入から運用までをサポートする流れ

共創のためのパートナー企業も募集

 同社では5月から、tsuzumiを用いた「業界・業務に特化した生成AI」による課題解決の実現に共感するパートナー企業を募集し、新しいサービス・ソリューションの共創に取り組む。

 パートナーシッププログラムとして、業界・業務に特化した新しいLLMの構築を目指す「Model Partner」、既存サービスとのプロダクト連携を目指す「Splution Partner」、tsuzumiの検証環境や個社別のチューニング、教育コンテンツの提供などを行い事業拡大を目指す「Integration Partner」の3種類を設定している。

 なお、NTTでは、この後もNTTグループ各社において順次tsuzumiの商用サービスを提供するとしている。