テレワーク、空いた時間でなにしてる?
【ファミコン救出大作戦その2】カセットをコピーできる「レトロフリーク」で昔のゲームを全部復活……は簡単にはいかない?
2024年4月26日 12:12
レトロゲーム互換機「レトロフリーク」で全て解決、とはならず
遠方にある実家に長らく放置されている100本を超えるファミコンなどのレトロゲームで、息子と遊ぶ夢を叶えたい筆者。しかし自宅には大量のゲーム機やゲームソフトを置いておく場所はない。この問題を解決してくれるのが、ゲームのコピーが可能なレトロゲーム互換機「レトロフリーク」だ。……というのが前回のあらすじ。
今回は実際に「レトロフリーク」を入手し、ゲームソフトのコピーを試してみた話をしていく。「買ってカセット挿して終わり」で済めばよかったのだが、レトロゲームはそう簡単にはいかないところがある。
「レトロフリーク」が手に入らない!!
筆者が「レトロフリーク」の入手を考え始めたのは2023年の年明け頃。「レトロフリーク」は2015年発売の製品で、当時もかなり話題になった。それから8年経っているとはいえ、これを上回る性能を持つ互換機は聞こえてこず、最高の品を求めるならこれしかないという状況だ。
しかしそれゆえに人気があるのか、あるいは発売から8年も経過したせいか、売っているところがなかなか見つからない。通販サイトを覗いても、販売ページは存在するが在庫切れ。見つかるのはプレミア価格の付いた中古品ばかりだ。
さらに調べていくと、どうやらヤマダ電機では比較的在庫があるという情報を得た。通販サイトのヤマダウェブコムを見ると、確かに在庫ありとなっていた。また近所のヤマダ電機の実店舗にも在庫があるのを確認できた。
ただ、いつまでも在庫があるとは限らないため、急ぎ購入することにした。買ったのは「レトロフリーク レッド×ホワイト(コントローラーアダプターセット)」。ファミコンに似たカラーリングで、ファミコンやメガドライブ、PCエンジン用の各種純正コントローラーを接続できるアダプターがセットになった商品だ。
コントローラーについては、「レトロフリーク」には標準で1つ付属するほか、各社のUSBコントローラーも使用できる。特にこだわりがないならコントローラーアダプターは不要なのだが、筆者が購入した時にはこの1製品しか売られていなかったので、やむなく購入した。価格は2万5300円。アダプターなしモデルより3300円高い。また通常カラー版と異なり、ACアダプターが付属せず、USB給電ケーブルが付属する。USB充電器が別途必要だ。
「レトロフリーク」にはほかに、スーパーファミコンのカートリッジ専用の「レトロフリーク ベーシック(SFC用)」も存在する。こちらはファミコンなどスーパーファミコン以外のゲームソフトには対応しない代わりに、1万4278円と比較的安価に購入できる。ただしこちらも在庫は皆無と言っていい状態だ。
ちなみに本稿を執筆している3月下旬に、「レトロフリーク」の一部で再入荷分が販売されるという発表があった。確かに各社の通販サイトを含め、「レトロフリーク(コントローラーアダプターセット)」の在庫が復活しているようだ。在庫がいつまで持つかはわからないが、市場に新品が少しでも流れたのは朗報だ。
中古で買った「トルネコの大冒険」が読み込めない
次は手に入れた「レトロフリーク」が想定どおりに使えるかを確かめる。何しろ筆者の実家までは片道500kmあり、クルマで向かうのにも丸1日かかる。実家に着いていざ試そうと思った時に初期不良が判明したり、想定したように使えなかったりしたら目も当てられない。
まずはゲームソフトを何も挿さない状態で「レトロフリーク」を起動する。ほどなくメニュー画面が現れ、正しく起動することは確認できた。
続いてゲームソフトのコピー先となるmicroSDカードを挿入する。本体にも3GBの内蔵メモリがあるが、最終的にどのくらいの容量になるか分からないので、microSDカードは用意しておく方が安心だ。ただし、ファミコンのゲームは1本1MBもないものがほとんどで、たとえ100本あっても100MBにすら届かない計算だ。
筆者の場合、たまたま手元に32GBのmicroSDHCカードが余っていたので、これを挿しておいた。「レトロフリーク」は最大32GBのmicroSDHCカードまでの対応らしく、意図せず最大容量になった。
続いて古い中古ゲームソフトを扱っている近所のブックオフに行き、動作テスト用としてスーパーファミコン用「トルネコの大冒険 不思議のダンジョン」を購入した。実家にないソフトで、息子が好きな「ドラゴンクエスト」が題材で、筆者もまたやりたい作品だ。むき出しのソフト単体ながら、価格も1000円弱とそこそこ安かった。
早速、「トルネコの大冒険」を挿入してみる。カートリッジの挿入口は、ファミコン用とスーパーファミコン用、メガドライブ用の3つが上面に並んでいるが、このうち最も大きい中央のものがスーパーファミコン用だ。
「レトロフリーク」にカートリッジを挿入するのは、電源を入れた状態で構わない。おそらく20年ぶりくらいの、しかし慣れた感覚でカートリッジを挿入していく。が、なぜか全然挿さらない。挿入口を間違えたかと確認するも、やはり正しい。何度やってもカートリッジが奥に進む感覚がない。
これは変だなと思い調べてみると、「レトロフリーク」はカートリッジを挿しにくく、やたら固いというレビューがいくつも見つかった。ただ固いだけならばと左右に傾けながら強く押し込むと、ギシギシときしむような音をたてながらも何とか挿入できた。
そして画面を見ると、エラーの表示。ゲームを正しく読み込めなかったらしい。やはり固いのが影響しているのだろうか?
心配しつつも、ギシギシ言わせながら何度も抜いては挿す。ゆっくり挿したり、半分くらいまで挿したり……と試していくが、何度やってもエラーが出て読み込めない。
先に見たレビューの中には、挿入しづらいだけでなく、挿入口のピンが曲がったり抜けたりして故障したという報告もあった。発売当時の情報なので、現在は改善されているだろうと思って買ったのだが、そう楽観的にはいかないのかもしれない。ゲームを1本も試せないうちに故障して修理というのは何とか避けたい。
可能な限り慎重に、再び抜き挿しを繰り返す。もう何十回目か、諦めかけつつも極力ソフトに挿し込んでいった結果、ついに正常に読み込むことに成功した。後で確認したところ、挿入口のピンにも異常はなかったので一安心。
ここでmicroSDカードへのコピー(インストール)をするかの確認が出る。「はい」を選べばゲームのデータを読み込み、microSDカードへコピーされる。作業はものの数秒で終わり、カートリッジに残されていたセーブデータも合わせてコピーされた。おそらく前の所有者のセーブデータの残りだろう。ちなみにほぼ初期状態に近い状態のデータだった。
ともあれ、まずはカートリッジから「トルネコの大冒険」の起動を確認。続いてカートリッジを抜き、メニューからmicroSDカードにコピーしたスーパーファミコン用ゲームのリストを表示する。この段階では「トルネコの大冒険」だけしかないが、これを選ぶと、カートリッジから起動した場合と同様にゲームが起動した。
これで想定どおりの動作を確認できた。それにしてもカートリッジの認識さえ問題なければ、microSDカードへのコピーは2ステップほどで終わる。思った以上に簡単だ。
レトロゲームは清掃手段も考えておかねばならない
今回の作業で気づいたのは、古いゲームをそのまま「レトロフリーク」に挿入するのは危険だということだ。今回は初めてだったこともあり、力任せにやってしまったが、これを何度も繰り返していたら「レトロフリーク」のカートリッジ挿入口が壊れてしまうかもしれない。
外箱なしのむき出しで売られていたカートリッジは、外装がかなり汚れていた。ということは、端子部も相当汚れているはず。発売から30年ほどが経過したゲームソフトなら、端子部に汚れや錆びが付いていてもおかしくないし、それが挿入しづらさの原因である可能性が高い。先のレビューを書いた人の中にも、同様のパターンがかなり多かったのではないかと思う。
筆者の実家にあるゲームソフトは、これ以上に古いものも多い。そのまま大量に抜き挿しすれば、「レトロフリーク」を壊してしまうことも十分あり得る。遠方の実家に「レトロフリーク」を持ち帰り、ただ故障させて帰るだけになるのは避けたい。ゲームソフトの端子部の清掃は必須と考えておくべきだろう。
筆者はレトロゲームの清掃経験はないのだが、よくある接点復活剤を持っていけば何とかなるのではと思い、それ以上は深く考えずに実家のゲームをコピーしに行く機会を待った。今思うと、これも正しいとは言えないのだが……。
小1を含む家族連れの長時間ドライブはなかなか実現できず、コロナ禍の影響などさまざまな問題が重なり、ようやく帰省できたのは2024年の年明けだった。購入から半年以上が経過し、「レトロフリーク」の保証期間は既に終わっている……。
テレワークで余裕ができた時間を有効活用するため、または、変化がなくなりがちなテレワークの日々に新たな風を入れるため、INTERNET Watch編集部員やライター陣がやっていることをリレー形式で紹介していく「テレワーク、空いた時間でなにしてる?」。バックナンバーもぜひお楽しみください。