テレワーク、空いた時間でなにしてる?

【ロードスター復活計画その1】エンジンを掛けずに放置したクルマはどうなってる?

ガソリンが腐る!? ヤバそうなところをチェックしてみた。

9年前にナンバーを切ったNAロードスターの復活作業スタート

 テレワークが一般的になって、ライフスタイルは大きく変化しましたが、毎日変化のない生活にちょっと飽き飽きしている人もいるかもしれません。一方でテレワークでできたのが、「時間の余裕」ではないでしょうか? 今まで通勤時間で使っていた業務前の1時間、業務後の1時間。この時間を使ったらもっと充実した毎日が送れそうです。

 そこで、この連載では、そんな空いた時間の使い方に着目。編集部スタッフやライター陣ができた時間を使って没頭している趣味や楽しみについて、思いのままにつらつらと紹介していきます。

 第1回は、クルマが1番の趣味の編集部 瀬戸が、9年前に車検を切って不動にしていたユーノスロードスターを復活させるべく、DIYでちまちまやっている様子をお伝えします。ちなみにまだまだ道半ば、先は長いです。

9年前に車検を切ったNAロードスター。写真はその直前のドライブの様子、車検を切るまで元気に走っていた

49歳、重い腰を上げる……

 写真にオーディオに自転車にと多趣味な筆者だが、なかでも一番の趣味はクルマ。大学卒業と同時に中古で買ったのが平成元年式ユーノスロードスター(NA6CE)で、そこからは走るのもいじるのも楽しくて、勢い余ってチューニング雑誌の編集プロダクションに転職。さらにCar Watch編集部に転職し、そこから何回かの異動を経てINTERNET Watch編集部に至っている。

 今はクルマとは直接関係ない編集部になったのだが、その反動か、趣味として自分のクルマを楽しみたいという気持ちが強くなってきた。

 とはいえ、走らせたいロードスター(今持っているのは2台目のNA8C)は9年前に車検を切って不動のまま放置状態。でもテレワークになって、さらに娘が幼稚園に入ってからは、時間に余裕ができた。そこで、そんな時間を使ってロードスターの復活計画をスタートさせたわけだ。

9年前、最後にドライブに行ったときのロードスターと筆者。この後、砂でスタックしてしまったところ、近くにいたカップルがすぐに駆けつけて押してくれたのだが、お礼をしたら「僕もロードスター乗りなので」と。最後のドライブで奇跡の出会いだった

長年エンジンを掛けないとどうなる?

 クルマはときどきエンジンをかけないとダメになると言うが、ではずっとエンジンをかけないでいるとどうなるのか? 恥ずかしながら筆者もよくは知らなかった。なにしろ不動車の取材をする機会なんてないし、バッテリーが上がるだろうとか、オイルが落ち切ってドライスタートになるだろうとか、それぐらいまでは想像できるのだが……。

 我が家にあるのは、9年前に車検を切ったままの平成7年式ユーノスロードスター。結婚してマツダ アテンザを買ったときに下取りに出すつもりが、「査定ゼロ」と言われ、だったらと持ち帰ってきてしまった。幸い実家にはクルマを置いておくスペースがあったので、車検を切って、しばらくしたら復活させようぐらいに考えたのだ。

結婚を機にアテンザを購入。ロードスターは下取りに出すつもりが査定ゼロで手放すのをやめた

 しかし人生は分からないもので、その数年後にはマイホームを建て、さらに数年後に娘が生まれと、ロードスターを復活させる余裕なんてまるでないまま9年。6年前に実家から新居に移動させるのにエンジンを掛けたのが最後で、それからはずっとボディカバーをかぶったままになってしまっていた。

 それが、コロナ禍でテレワークになり、さらに娘が幼稚園に入って、自分の時間に余裕ができたことで、ふと「そろそろ復活させるか?」などと思い立ってしまったワケ。DIYは得意だし、自宅の駐車場なら、毎日1時間ずつでも作業できるなと。

長年カバーを掛けっぱなしだったロードスター。ガレージジャッキやら工具は概ね持っているので自宅の駐車場でゆっくり復活作業スタートなるか?

 ということで、まずはどこから手をつけようかと調べ始めたところ、YouTubeなどで10年放置のロードスターを復活させる話が見つかった。

 が、それを見るいろいろヤバそう。ガソリンが腐って燃料タンクが錆びまくり! とか、クーラントが腐ってエンジン内部まで錆びまくり!! などなど。ガソリンが腐るなんて知らなかったわー。調べたらガソリンはなんと半年程度で劣化するんだとか。

 そのYouTubeではガソリンタンクを外して洗浄していたが、ガソリンタンクを外すには、リアのサブフレームごと外す必要があって、かな~り大変。アラフィフのおっさん1人でやるのは体力的にもつらすぎる。かといってプロショップに頼むにも、まずはローダー借りてきて運ぶところからやらなきゃいけないし、いくらかかるやら。このまま売りに出すしかないか? いやいや、まずは現状を確認してみなければ。

ガソリンタンクを開けてみる! 腐っているか? 大丈夫か??

 なにはともあれ、まずはガソリンが腐っていないかのチェックだ。ガソリンタンクの中がどうなっているかは開けて見てみないと分からないが、どちらにしても古くなったガソリンはすぐにでも抜き取ったほうがいいはず。

 幸いなことに2シーターのロードスターのガソリンタンクはアクセスがしやすく、屋根を開けてリアのトレーの部分のパネルを外せばカンタンに燃料ポンプにアクセスできる。といってもこのロードスターで開けるのは初めて。

 燃料まわりの作業はなにはなくとも火気厳禁だ。さらに静電気対策としてジャンパーケーブルで車体をアースし、自分も手を洗うなどして静電気対策。時期的に静電気は起きにくい環境だったが、PCいじりと違ってデータが飛ぶどころの騒ぎではない。念のため家にあった消火器も用意し、慎重に慎重を重ねて作業を進める。

ロードスターの場合、幌を開けたときに収まるリアトレーの部分のカーペットをめくるとガソリンタンクにアクセスできる
銀色のフタを開けたところ。黒いホースが2本つながっているのが燃料ポンプで、これを外せばタンクの中が見られます。火気はもちろん静電気もヤバいのでとくにこれからの季節は注意

 続いて忘れずに給油口を開けてタンク内にたまったガスを抜く。「プシュー」という音と共にガソリン臭がするが、思ったよりくさくない? YouTubeによるとガソリンが腐るとものすごくくさいらしいが、そこまででもなさそう……。

 いよいよ静電気に気をつけつつ燃料ポンプを取り外してご開帳。いざ燃料タンクの中をのぞき見ると………。

 あれ? なんかきれい?

恐る恐るのぞくガソリンタンクの中。あれ? キレイかも……

 ガソリンがオレンジ色になっているように見えるが、ガソリンはもともとオレンジ色に着色されているので、たぶんこんなもの(腐ると茶色くなってくるらしい)。また、タンクの中もサビはなさそうで、どうやら大丈夫みたい!?

スマホのカメラで内部を確認してみるも、サビは全然なさそう! 正直ダメだと思っていたのでこれはうれしい誤算!!!
これは外した燃料ポンプと燃料ゲージ。銀色のアームの先に黒い箱がついているのがフロート(浮き)で、このアームの角度でガソリンの残量を見ている。結構原始的な方法なのだ
フィルターとポンプ部で、ここからガソリンを吸う。古くなるとこのポンプも動かなくなったりするが、6年前までは動いていたのでとりあえずそのまま

 よかったー。ガソリンタンクが錆びまくりだったらお先真っ暗だったので、少し光が見えた(※ちなみに今時のクルマはガソリンタンクも樹脂なのでサビない)。

 おそらくだが、6年前の移動の時に、満タンにしてあったガソリンが半分ぐらいに減っていて(実家にあったころは時々エンジンをかけていた)、その分新しいガソリンを補充しておいた(半分は新しいガソリンになった)のがよかったんじゃないかと思う。とは言っても6年放置なので、腐っていてもおかしくはなかったし、あと1年遅かったらどうなっていたかも分からない。同じように古い愛車を保管している人は一度確認したほうがよいだろう。

 ということで、古いガソリンはガソリン携行缶に移して、ガソリンスタンドで引き取ってもらう。ただ、あちこちガソリンスタンドをハシゴするも、引き取ってくれるスタンドが見つからない。セルフスタンドが増えたのもあるが、保管方法が厳しくなったとかで難しいらしい。最後は市役所のゴミ回収の窓口に電話してようやく1軒見つけられたが、処分費用はなんと1リットルあたり275円!! このクルマはハイオク仕様なのだが、それでも買った時の倍ぐらいの価格だ。

ようやく見つけた古いガソリンを引き取ってくれるスタンド。だがしかし、リッター275円ってめっちゃ高い(泣)

9年無交換のクーラントは大丈夫か?

 続けてもうひとつの懸念、クーラントが腐っていないかをチェック。

 クーラントというのは冷却水のことで、水冷式のPCなどで使われているものと似たようなもの。もちろんエンジンを冷やすのが一番の役割だが、防サビの効果も持つ。最近の新車にはスーパーLLCという特に長寿命のものが使われていて10万km以上無交換でOKなものなどもあるが、筆者のロードスターはもちろん、昔のクルマで使われていたクーラントは2年ごとの交換が推奨で、9年も放置したら腐っていてもおかしくない。

 下から抜いてみないと明確には分からないが、とりあえずラジエターキャップを開けてクーラントの様子を見てみると、「おぉっ! きれい♪」。

ラジエターキャップを外して様子をチェック。写真では分かりにくいが濁りなどはなく中のコアが見えるほどキレイ

 まったく濁りもなく、透き通っていてコアのフィンまで見える。量も極端に減っている様子はなし。ただし、エンジンをずっと掛けていないので、もしかしたらきれいなのは上澄みだけで、下の方やエンジン内部で大変なことになっている可能性もあるが……。

 クーラントは車検を切るときに新品に交換しておいたもの。そうはいってももう9年、このまま放置しておいたら腐るのは時間の問題なので、早めに交換したいところだ。

あちこちからオイルにじみ……、本当に直るのか?

 ということでガソリンタンク交換といった最悪の事態は免れたものの、車検を通してまともに走れるようにするまでにはやることは山積みだ。

 ただ、結婚して子供も生まれてからは、忙しくてやる機会の減っていたクルマいじりは、やっているとなかなかに楽しい。

 無理な姿勢での作業も多いので身体が痛くなることもあるが、娘を幼稚園に送ってからの1時間、そしてお昼休憩にもちょこちょこ作業して、ぐらいだと、適度な疲労感がちょうど気持ちいい。テレワークで1人でPCに向かっている時間が長くなっていただけに、充実感があるし、ストレスの発散にもなっているように感じる。

 今後の予定としては、まずはクーラントを抜いて確認しつつ、タイミングベルトは要交換。

6年ぶりに開けたエンジンルーム。タイミングベルトは最後に変えてから10万km以上なので要交換、ほかにもあちこちからオイルにじみが……

 さらにこれから先も走るなら、同時にできることは手を加えたいところで、たとえば、タイミングベルトと同時にウォーターポンプやファンベルトの交換、さらにクランクシールやカムシールの打ち替えも必須。また、オルタネーターも新車時からの30年ものなので同時に交換しちゃいたい。

 ほかにもざっとエンジンルームを見ただけでも、パワステポンプのホースにオイルにじみがあるなど、状況を確認しつつ、交換するパーツはいろいろと増えそうだ。ただ、ロードスターは純正部品がまだまだ出るので、その点はありがたいところ(価格は上がっているが……)。

ブレーキフルードも要交換。量が増えているのは水を吸ったからか?
パワステポンプのホールにオイルにじみの跡。これも換えたほうがよさそう

 エンジンルーム以外でも、下回りでは、ステアリングラックブーツが破けていて要交換。ブレーキホースも新車時から無交換なので安全のためにも交換したいところ。同時にキャリパーとマスターもオーバーホール。ローターもサビまくりで、こちらも30年ものなので要交換。パッドは外してみて減り具合を見て判断かな。

ステアリングシャフトのブーツは左右ともパックリ
ブレーキローターは要交換、ブレーキホースも30年ものなので換えたい。TEINの車高調はオーバーホールするか、交換するか……

 さらに、ミッション、デフから結構なオイル漏れの形跡あり。現状だとどこから漏れているか判断付かないので、一度洗浄して漏れの原因を探さないと。おそらくデフはオイルシールの打ち替えが必要。ミッション側のオイルはギヤオイル特有のニオイがないので、たぶんエンジン後方のオイルシールからの漏れのような気がしてはいるものの、1人でミッションを降ろすのはなかなか大変なので、自走できるようになってから最後にショップにお願いしようかと。

エンジンのオイルパンからミッションまでオイルにじみがひどい。ミッションを降ろすのは何度かやっているけど1人じゃできる気がしない
デフもオイルにじみが酷すぎてどこから漏れているか分からず。どちらにしてもシール類は交換したほうがよさそう

 ほかにも本当は交換したい部品は山積みなので、どこまでやるか、じっくり向き合っていこうと思っているが、まぁそんなことを考えているのもまた楽しかったりする。

 ということで当面は連載のネタには困らなさそうなので、お付き合いいただければ幸いだ。