テレワーク、空いた時間でなにしてる?

自宅から徒歩0分に「chocoZAP」(ちょこざっぷ)ができたので、入会した。とてもいい!

chocoZAP 神保町。インプレスのすぐ近く

 スポーツジム的なものには以前から少し興味があったが、「忙しい」「金がない」「面倒くさい」など、やらない理由にも困らなかったので、ずっとスルーしていた。

 ところがある日、自宅から徒歩0分のところに、低料金のコンビニジム「chocoZAP」(ちょこざっぷ)ができた。これにより、従来のやらない理由がほぼ全部無効化されてしまった。そこに、興味を持っていた妻の「先に入会して試してみてほしい」というリクエストがダメ押しとなり、入会した。

 実際に利用してみると、これが思ったよりもずっとよくて、すでに2カ月以上続いている。後日気付いたが、会社(インプレス)から徒歩0分のところにもできていた。

 「体重が○kg減った」のような分かりやすい成果は残念ながら出ていないが、以前はしばしば肩や背中を傷めていたのが、ほとんどそうしたことがなくなった。このことだけでも、いい効果だと思っている。

 体重は、後述するスターターキットを入手して記録するようになった9月上旬から1カ月少々で、一応0.5kgほど減っている。とはいえ、計測するタイミングによってはほとんど変わらなかったりもするので、誤差の範囲といったところだろうか。

いわゆる「スポーツジム」とはノリが違う

 chocoZAPはRIZAP株式会社が提供している「コンビニジム」をうたうサービスで、2022年7月にサービスを開始した。月額3278円で全国どこの店舗(ジム)も24時間・365日使い放題となる(年間3万2780円の年額制プランも始まった)。2023年9月末時点で、1000店舗・会員数83万人を突破しているという。

 店舗は完全無人で、エアロバイク、トレッドミル(ルームランナー)のほか、各種筋トレ用の機器が設置されている。おそらく、専門のトレーナーがついていなくても事故を起こしにくい、使いやすいものが選ばれているのだろう。

 セルフエステ、セルフ脱毛など、トレーニングだけでないサービスが提供されるのも特徴だ。9月末にはセルフネイル、セルフホワイトニング、マッサージチェア、ちょこカフェ(セルフサービスドリンク)などの新サービスが発表されている。

 スマホアプリで、入会や日々の店舗への入退室(アプリ上に表示されるQRコードで認証する)、各種データの記録、予約が必要な施設の予約(一般のトレーニング機器は予約不要だが、セルフエステ、セルフ脱毛などは予約制)などを行う。

 要するに安いスポーツジム、かというと、ちょっと違って、安いだけでなく「ゆるい」路線を狙っているように思われる。

 テレビCMを見たことがある人もいると思うが、オフィスで働く人が「ちょこっと運動してくる!」と言ってchocoZAPに入るなど、隙間時間にちょっと体を動かそう、といったところをアピールしている。かつて「結果にコミットする」とCMでうたっていたRIZAPとは異なり、少しでも体を動かすこと自体に価値を見出す感じだ。

 スポーツジムと聞くとちょっと気後れしてしまうが、体を動かす必要は感じている、という人に向けて、気楽にどうぞ! と門戸を開いているようなイメージだ。テレワークになって体を動かす機会が減り気味の人などは、ど真ん中のターゲットと言えるのだろう。

 以下は、2023年8月に公開されたchocoZAPに関するインフォグラフィックスの一部だ。RIZAPと共通する黄色(RIZAPは金色だが)と黒を基調としながら、イラストやフォントの調子(広告用語でいう「トンマナ」)はゆるく、ガチでスポーツをやろうという感じではない。カナ表記が「チョコザップ」でなく平仮名で「ちょこざっぷ」なのも、そういう狙いだと思われる。

 実際の店舗内の雰囲気もそんな感じで、筆者などは完全な普段着で行っているし、「いま会社を出たところです」といった風情の人や、買い物の途中のような人も多い。ロングスカート姿で筋トレしている女性なんかも、ときどき見かける。機器に巻き込まれないかと、さすがにちょっと心配になるが。

 筆者宅に近い店舗の平日昼間は、平均年齢がけっこう高めだ。お手製のメモを見ながらストレッチスペースや各トレーニング機器を行ったり来たりしているおばあさんや、タオルを両手に持って謎のポーズを取るおじいさん(どちらも60代後半~70代ぐらいの印象)もいる。夕方以降や休日になると年齢層は下がる印象で、熱心に単語帳を見ながらエアロバイクを漕ぐ大学生風の男女なども見かける(ケガもしないだろうが、危なっかしい印象ではある)。

 明らかに「鍛えている」感じの人もいるが、比率としては多くない。ある程度体を動かせば当然汗もかくし、トレーニングウェアで行くのが結局のところ効率的というか、理にかなってはいるし、実際にそういう人もいるが、適当な服装でも特別奇異な目で見られないのがいい。

店舗内の様子(RIZAP株式会社提供。以降の店舗や機器の写真も同社提供)

20分前後の時間をどう使う? がポイントになる

 chocoZAPのサービスの特徴が、INTERNET Watch読者に端的に分かっていただけると思うエピソードを紹介したい。少し前に、一部店舗で「ワークスペース」の提供が始まった。いわゆるコワーキングスペースだ。利用には予約が必要だという。使ってみようと予約画面を見てみると、1回に予約可能なのは20分の1枠のみで、連続予約などはできないようになっていた。

 20分で何をしろと!? と突っ込みたくなったが、ちょっと考え直した。20分で原稿を1本仕上げるようなボリュームの仕事は難しいが、スケジュールを確認し、メールやSlackをチェックし、必要な連絡を行うぐらいはできる。例えば、仕事で訪問する先の近くにchocoZAPがあれば、時間調整しつつ訪問前に軽い仕事を片付けられる場所として重宝するだろう。

 chocoZAPが提供するジムとしてのサービスも、一定以上のレベルを求める人にとっては物足りないかもしれないが、ほどほどのレベルで十分な人や、短い時間をうまく活用する人もいるだろう。chocoZAPのあらゆるサービスが、そういった位置付けなのだろうと思う。

 実際に筆者も、仕事の合間に15分〜20分ほどの時間を取って体を動かすことが、非常に有意義だと感じている。ちなみに、ワークスペースは結局まだ一度も利用していない。

chocoZAPアプリのメニュー。前掲のインフォグラフィックスと同様のゆるい路線だ
アプリにはゲームの「ログインボーナス」的要素もあったりして、運動する習慣の継続をあの手この手で支援してくれる

専門の場所で、体を動かすことに「集中」できる

 chocoZAPに入会し、初めてトレーニング機器を使ったときの感想は「体に負荷をかけるって、こういうことなのか!」という感じであった。何kgと負荷を設定し、回数を数えながら体を動かすと、体に明確に数値化された負荷が刻み込まれるような感覚がある。エアロバイクなど「自転車の代替品」ぐらいの認識しかなかったが、同じ動きをするものの全くの別物だと理解した。体への負荷のかかり方が違うし、「レベル○の負荷で○分間漕いだ」という感覚が残る。

 これまでも、ダンベルを買ってきて自宅で上げたり下げたりするぐらいの経験はあったが、専門の場所で(それなりに)きちんとやるのは、感覚が全然違った。

 ウォーキングなどより、短時間で効率的に負荷をかけられるのもいい感じがする。冬場など、軽く汗をかくくらいにウォーキングするには30分ぐらいは歩き続けないといけないが、chocoZAPでは5分もエアロバイクを漕げば体が芯から温まってくる感じがあって、忙しいときにも、ちょっと体を動かして調子を上げることができる。

 スポーツジムの活用としては非常に初歩的というか、浅いレベルであるとは思うが、これまで、これくらい気楽に体を動かせる場所がなかったので、とても重宝している。

 公園などで、普段着でハァハァ言いながら走っていてはいかにも不審者だし、都内で自転車を運動になるレベルで走らせるのは危ない。chocoZAPなら自分の身体的にも周囲の目からの印象としても“安全”に、しかも自宅から徒歩0分だから、ドアツードアで15分もあれば軽い運動ができてしまう。大げさでなく「手放せない存在」になっている。

 そして、通っていて気付いたのだが、chocoZAPのような専用の空間があると、運動することに集中しやすい。筆者の場合、自宅で仕事に集中するのは容易だが、仕事以外のことには集中しにくく、部屋で軽く筋トレなどしようとしても、どうも身が入らない感じがしていた。

 しかし、chocoZAPの店舗内なら無心になってエアロバイクを漕いだりできる。また、これを「運動に集中している」とは言わないかもしれないが、エアロバイクを漕ぎながら、仕事で行き詰っていたところが整理できたりすることもある。最近では、ちょっと仕事中に考えがまとまらなくなったときなど、休憩を取ってエアロバイクをひと漕ぎするのが、1つの気分転換術にもなっている。

エアロバイク。トレッドミルほどには負荷の高くない有酸素運動ができ、頭の中を整理しながら漕いでいくのがちょうどいい感じ
トレッドミル。時間が経過するほど呼吸がきつくなっていくので、ある程度「走る」行為に集中しなければならず、自然に頭がカラッポになっていく感じがある

粗も探せばいろいろとあるが……

 ここまではベタ褒めしてきたが、徹底的に低コスト化された無人スポーツジムなので、探せば粗というか、サービスが行き届いていないと言える点も、いろいろと挙げられる。

 例えば掃除。もっと高額のスポーツジムの掃除がどの程度行き届いているものかは知らないが、chocoZAPの場合、掃除は1日に1回だそうだ。ときどき床に落ちているゴミが目立つこともあるし、隅の方には明らかに掃除されていない様子の場所があったりもする。トレーニング機器のメンテナンスもパーフェクトではなく、故障してしばらく修理されないまま置かれた機器を見かけることもある。

 もちろん、こうした問題にも、何も手が打たれていないわけではない。以前は毎日ではなかった掃除のペースは上がったそうだし、RIZAPのトレーナーによるメンテナンスなどの対応も行っているようだ。よほど気になる場合は、自分で目立ったゴミを拾っておいても別に問題はないだろう。

 ちなみに、トレーニング機器は多くの人が汗ばんだ手で触れることになるわけだが、店舗には除菌用のウェットシートの類が設置されており、各自が使用前後に除菌するシステムになっている。空調にも配慮されていて、衛生面で問題があるとは感じていない。

設置されている機器の種類やレイアウトは店舗により異なる。スペースに余裕のある店舗もあれば、けっこう密集した店舗もあり、近所の店舗の様子により印象は大きく変わるかもしれない

 入会すると体組成計などの「スターターキット」がプレゼントされるのがひとつの売りなのだが、会員が急増したためか、この送付が滞る問題もあった。筆者が入会した8月頃は、この問題のピークだったと思われる。入会からしばらくして、会員宅に送付するのでなく、店舗に置かれたものを1人1個ずつ持って行くシステムに変更された。

 しかし、それでも供給がなかなか追い付かず、店舗のスターターキットが置かれるはずのラックは空っぽの状態が続いた。筆者がスターターキットを手にできたのは、入会から1カ月近く経ってからのことだった。最近はよく見かけるようになったので、供給が追いついてきたのだと思われる(なお、入会した時期によって、店舗にスターターキットがあっても受け取れる時期に制限が設けられているようだ。詳細はアプリに表示される情報などを確認してほしい)。

スターターキットの体組成計。chocoZAPアプリと連携すれば、体重、体脂肪率などのデータを簡単に記録可能になる
こちらはヘルスウォッチ。同じくアプリと連携することで、心拍数、歩数などを簡単に記録可能になる。この2つがスターターキットに入っている

 今後どのような問題が表面化し、どのように対策されるかは分からないが、こうした問題を「まあ安いしそれくらいは……」ぐらいにある程度許容できないと、ストレスが溜まると思う。

 このように、お安いサービスならではの部分もあるものの、気軽に自分のペースで、専門の機器で体を動かせる専用の場が得られるのは、非常にいい。近所にあれば言うことなしで、ふだん体を動かす機会がないと感じている人には、ぜひ検討をおすすめしたい。

 なお、近所に店舗があるかどうかは、chocoZAPのウェブサイトから確認するのが簡単だ。現状「無料おためし」のような制度はなく、利用するには一度入会するしかない。入会するときには、初月の日割分に加えて翌月1カ月分の月会費と、初期費用(入会金3000円と、事務手数料2000円。キャンペーンにより0円になることもある)が必要になることには注意してほしい。

 開始日は入会時に指定できるので、例えば今日申し込んで明後日から行きたいという場合は、明後日開始にすれば日割り料金も明後日からの計算となる。そのため、いつ申し込んでも日割料金で損をすることはない。

テレワークで余裕ができた時間を有効活用するため、または、変化がなくなりがちなテレワークの日々に新たな風を入れるため、INTERNET Watch編集部員やライター陣がやっていることをリレー形式で紹介していく「テレワーク、空いた時間でなにしてる?」。バックナンバーもぜひお楽しみください。