テレワークグッズ・ミニレビュー

第65回

「昇降デスク」で在宅ワークを健康に! 製品選びのポイントと、コクヨ「STADSIT-W」に決めた理由

 テレワークも4年目になるので、ちょっと大きめの模様替えをしようと思った。

 コロナ禍前は「仕事を家に持ち帰らない」ために、モノを処分し、余計なスペースを削ってきた。その結果が現在の自宅の作業スペースだが、現状は、ほぼ在宅勤務になっている。さすがに会社も今さら毎日出社するようにとは言わないだろうし、今後も在宅勤務を快適に続けるため、何かを加えてみてもいいだろう。

模様替え前の作業スペース。机のサイズは110×60cm

模様替えついでに昇降デスクを使ってみたい!

 はじめは、机の奥に棚を置き、ディスプレイとの距離をもう少し広げたいと思った(CRTの時代には多くの人がやっていたと思う)。が、液晶ディスプレイを置くのにちょうどいい、奥行きが狭くて可変棚のものが意外と見つからない。そうしてECサイトを探しているうちに、いっそのこと机も買い替えて昇降デスクを試してはどうか? と思いついた。

 仕事中、筆者は同じ姿勢で1、2時間程度座っていることもよくあるし、集中して考えごとをしているときなど、30分ぐらい身動きせず、後で肩や背中が硬直していることに気付くこともある。毎朝小一時間程度の散歩を日課にしてはいるが、どう考えても運動不足だし、健康にいい状態ではないだろう。

 昇降デスクで、毎日ある程度の時間立って仕事をするようにすれば、どの程度かは分からないが、不健康さを解消できるのではないだろうか。

 と、いうことで、今回は昇降デスクを導入し、その奥に棚を置いてみることにした。ちょっと想像するだけでも「昇降デスクの奥に棚」というのは収納効率に問題がありそうな気はするが、昇降デスクに載せておくものは最小限にしたいし、こまごまとしたものを置いておくスペースを視界の正面に作りたいという願望もあった。試しにやってみることにする。

現状、視界の正面にあるスペースの大半が単なる壁になっており、これを何とかしたいという狙いもある

幅100cmで探すと、意外と選択肢がない

 今回は、次の条件で昇降デスクを探した。

  • 幅が100cm以下であること
  • 下は75cm程度、上は120cm程度まで昇降できること
  • 自分が知っているメーカー・ブランドの製品であること
  • 昇降の方式は問わない(電動でも手動でも)

 幅は部屋のスペースの都合による。今使っているのは幅110cmの机だが、やや狭いものにできると都合がいい。

 上下の高さは、近くの家具店(主にニトリ)店頭の昇降デスクで試してみて、座った場合と立った場合で、これくらいの高さがやりやすいなというところ。メーカーに関しては、長く使う、かつ頻繁に動かす可動部のある製品なので、安心を買いたい、という理由による。

 探してみると、まず幅100cm以下で「仕事机」然としたデザインの製品が意外とない。120cm程度までの幅で探すなら、ずっと選択肢は増えるのだが。

 幅100cmを切ると、カジュアルな感じで、価格としてはかなり安い製品も多くなる。しかし、今回は、仕事机らしさにもこだわりたかった。

 使いやすい高さは人により異なるだろうから、購入前に試してみるか、昇降できる高さの範囲が広いものを選ぶかするのがいいだろう。高さの範囲は、同じ「昇降デスク」でも製品によってけっこう違いがあり、選ぶ際には特に注意した方がいいと思う。

 安価な製品は範囲が狭いものが多く、上限が100cm台までしかないものもある。ちなみに筆者の身長は175cmで、高さ100cm台の机ではかなり前かがみになる必要があって、短時間でもつらい。

選んだのはコンパクトなサイズのコクヨ「STANDSIT-W」

 購入先の候補に考えていたニトリやIKEAでは、幅100cm以下でちょうどいい感じの製品が見つけられなかった。さらに調べて、最有力候補としたのが、コクヨの電動昇降デスク「STANDSIT-W」だ。

コクヨ STANDSIT-W 紹介動画

 2022年に発売された同社製電動昇降デスクのエントリーモデルで、「ご自宅で使いやすいサイズバリエーション」をうたっている。天板の横幅には95、115、135cmの3種のバリエーションがあり、左右2.5cmずつの空白を想定した100、120、140cmが設置サイズだとされている。

 奥行きは57.5cm(幅95、115cm)と67.5cm(幅115cm、135cm)の2種類があり、奥に2.5cmの余白を加えて設置サイズを60cm、70cmとしている。つまり、筆者が買おうとしているのは95×57.5cm(100×60cmの設置サイズ)となる。

 この「設置サイズ」という言い方をしている製品はほかに見たことがないが、どの製品を買うにしても、周囲のスペースを空けることは考慮しておいた方がいいと思う。ほかの家具や壁にぴったりと付いた状態では、昇降に支障があるだろう。

 高さは66.5〜126.5cmと、かなり幅広い範囲で昇降できる。コクヨというメーカーも安心感の面で言うことはない。

 気になるのは、電動であることもあって、当初の想定よりも少々値段が高くなることだ(STANDSIT-Wは、電動昇降デスクとしてはかなり安いが)。とはいえ、手動で昇降させる手間とのトレードオフだと考えれば、意味のある投資と考えてていいだろう。

 昇降の操作がラクなのに加え、高さをメモリーして自動調整できるのが、電動昇降デスクの大きなメリットだ。STANDSIT-Wも上下2つの高さをメモリーできる。手動だと、毎度自分で「ベストな高さ」に調整する必要があり、こだわりの強い人には面倒が大きいと思われる。

 あとは、全く初めて買うジャンルの製品なので、できれば買う前に実物を見て確かめたい。と、調べてみると、品川のコクヨのオフィスと同じビルにある「THE CAMPUS」内の家具体験スペースで、実際に触れるとのこと。さっそく、行ってみることにした。

昇降の動作もスムーズで、文句なし!

 THE CAMPUSは品川駅から港南口から徒歩1、2分ほど。大きな道路沿いの1階に、STANDSIT-Wを含む家具の体験スペースがある。

THE CAMPUS。ちなみに、遠方の人などはオンライン体験も利用できるそうだ。また、以前の回でイスを選びに村上タクタ氏が訪れた「WORKAHOLIC」でも体験可能だそうだが、こちらは要予約かつ有料
家具の体験スペース。写真右側がSTANDSIT-W。中央は「STANDSIT」、左側は「SEQUENCE」で、いずれも同社が個人向けにも販売している電動昇降デスク

 STANDSIT-Wを実際に触ってみる。脚部に昇降のギミックがあることによる安定度への影響はどうかと思ったが、そんな初歩的なレベルで心配する必要はなく、一般的な家庭向けのデスクと同等に安定している印象だ。もちろん、力を入れて揺らせば揺れる。

 昇降の動作は想像通りといった感じの速度で、40cm(75cm〜115cm)の上下に10秒強(11秒弱)ぐらい。昇降時に異物との接触を検知した場合には自動停止するようになっており、事故を予防できる。

右側の天板の下にあるコントロールレバーで昇降の操作を行う
120cm程度まで高さを上げたところ

 昇降時にもガタついたりはしない。動作音も静かで、道路に面しているうえに人の声などもあるTHE CAMPUS内では、耳を近づけても動作音が分からなかった。購入後に自宅で使っていると、かすかなモーター音はするが、特に耳障りなものではない。

 昇降時に水の入ったコップを置いてみたところ、水面がわずかに揺れる程度で、波打ったり、こぼれそうになったりはしない。始動時や停止時に変な揺れが起きることもなく、スッと始動してヌルッと停止する。昇降動作のスムーズさは想像していた以上で、すばらしい。

 可動部のある製品ということで、保証についても気になったが、電動昇降のパーツは1年保障(パーツにより異なり、最長は3年保証)で、修理は基本的に訪問修理となるとのことだった。

天板の奥側の裏面に制御用のパーツが付いている。両脚をつなぐ部分がケーブルトレイのようになっており、ケーブルが邪魔にならないように収納できる

 応対してくださったスタッフの方に伺った話で印象的だったのが、STANDSIT-Wはめずらしい「60cm台まで下げられる昇降デスク」だということ。確かに、筆者が調べた中では、ほかに60cm台まで下げられる昇降デスクはなかった。これは、女性など小柄な人が使用することを想定して、下限を低めに設けたのだという。

 実物を見て、心配な点はなくなり、非常に気に入った。さっそく注文しよう。

組み立ては1人で1時間程度

 大物家具である棚とSTANDSIT-WをAmazonで一緒に注文したのだが、どちらも配送日を指定できず、STANDSIT-Wだけが先に届いてしまった。

天板と脚部の2つの梱包で届いた。筆者が購入したモデルの総重量は37kgを超えるが、1つずつなら持ち運びやすい

 部屋のレイアウト的には棚を先に入れたかったが、実はこれまで使っていた机をこの日の朝に粗大ごみに出してしまい、しばらくはちゃぶ台でも使って仕事をしようかと思っていたところだった。さっそく組み立てよう。

 STANDSIT-Wの組み立ては2人で行うのがおすすめだとされるが、1人でも組み立てやすいように工夫されている。左右の脚部を連結するとき、梱包の段ボール箱がちょうどいい支えになるのだ。なお、コクヨの直販サイト「KOKUYO Workstyle Shop」から、組み立てサービス付きで注文することもできる。

 今回は、筆者1人で組み立てを行った。特に難しいところはなく、かかった時間はちょうど1時間ほど。ほとんどはネジを回している時間だったので、電動工具を使えばもっと早くできると思われる。

部品数はそれほど多くなく、シンプルな構造。説明書を読みながら組み立てればそれほど難しくないが、不安な向きには組み立て方法の解説動画も用意されている(2人で組み立て1人で組み立て
片方の脚および中央部をL字型に組み立てたら、段ボール箱を使って支えておく
反対側の脚をつなげて、脚部が完成する
天板と脚部を留めるネジが12カ所あり、これを付属の六角レンチで回す作業に最も時間がかかる。この後、電気系のパーツを天板に留めるが、そちらには別途プラスドライバーが必要

立って仕事をしても驚くほど違和感がない! が、疲れは溜まる

 組み立てが完了した翌日、さっそく立って仕事をしてみた。考えてみれば立って仕事をするなど高校生のころのアルバイト以来、立った姿勢で原稿に向かうのは生まれて初めての経験だが、不思議と違和感がない。ちょっと古いネットスラング風に言えば「違和感が仕事しない」ので驚くレベルだ。

 2、3時間ぐらい連続で立っていても平気だぞ……と思ったのだが、単に集中していて体の疲れに気づいていなかっただけかもしれない。その日は仕事を終えたらドッと疲れが出て、夕食後にすぐ寝てしまった。

 翌日からは、1時間立ち、30分座り、ぐらいのペースにしてみた。両方の姿勢が選択できるとなると、立っているときの方が集中しやすい気がする。ただ、日によって疲れ方にムラがあって、仕事を終えても平気な日と、やけに疲れる日がある。

 立って仕事をすることが、どの程度運動になっているかはよく分からないのだが、体の動かしやすさが少々違うとは感じる。以前は散歩に出るとき、歩き始めは少々体が重く感じたが、最近はスイスイ歩き出せる感じだ。また、立っているときは多少ながら屈伸したり足踏みしたりもするし、体が温まりやすい感じがする。こうしたところで、多少の好影響はあると言えるかもしれない。

 この執筆時点で、電動昇降デスク導入から1週間程度。立って仕事をするための体力作り(こう書くと、少々本末転倒な感もあるが)や仕事のペース作りを試行錯誤しているところで、もう少し期間を空けて、模様替えも完了したところで、もう少し詳しくレポートさせていただければと思う。

INTERNET Watch編集部員やライター陣が、実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズをリレー形式で紹介していく「テレワークグッズ・ミニレビュー」。バックナンバーもぜひお楽しみください。