テレワークグッズ・ミニレビュー

第66回

お花見しながらテレワークする贅沢!! あると便利なものとは?

屋外でテレワーク

 季節は春! 主要な公園での花見の解禁もあって、今年は花見をするという人も多いだろう。花見といえば仲間と集まってお酒を楽しむのもいいが、テレワークが進んでどこでも仕事ができるようになった今なら、すいている平日の昼間に、気分転換に桜を見ながらテレワークをするのもアリだろう。そこで今回は、手軽に屋外テレワークをするのに必要なものを考えてみた。

まずは電源の確保、ノートPC対応のモバイルバッテリー

 お花見に限らず、屋外のテレワークでは、電源の確保を第一に考えたい。お花見のスタイルもいろいろで、桜の下で1、2時間程度というなら本体のバッテリーだけで十分だろうが、朝の場所取りから始めて夜に皆で集まってお花見を、と考えると、長時間の作業にも耐えられる電源が必要だ。

 持ち運べる電源として思いつくのは、「ポタ電」と呼ばれるポータブルバッテリーだろう。今ではさまざまなサイズのポータブルバッテリーが製品化され、安いものなら2万円程度から手に入れることがもできる。

 価格とサイズはさまざまで、ノートPCだけなら小容量のものでもまず十分だが、暖かい飲み物や食べ物がほしい、とか、季節によっては少しだけ暖を取りたい、などと考えると、もっと大容量のものが欲しくなってくる。

 では、コーヒーを淹れたい、カップラーメンを作りたい、と思うと必要なのが湯沸かし。とはいえ、電気ポットとなると1500W近い電力を消費する。最大出力が1500Wをサポートしているポタ電となると、かなりの上位モデルが必要で、10万円超クラスになる。さらにそのクラスは総容量も大きくなってくるので、サイズも重さも増えて、できなくはないが、気軽にというレベルではなくなってくる。

 ならばとノートPCの電源時間延長に限ってしまえば装備は一気に軽くなる。ポタ電も最低容量クラスでも問題ない。

 ただし、小さくてもポタ電はそれなりの大きさ、出先でちょっと公園に立ち寄り、外で仕事するというには荷が重い。

 そこでさらに視野を広げて、もっと持ち歩きしやすい物を探してみると、ノートPCに対応したUSB PD対応のモバイルバッテリーが見つかる。具体的に言えば出力が45W以上や20V出力とされるものだ。サイズはモバイルバッテリーとしては大きめの部類になるが、そうは言ってもカバンに入るサイズで、ポタ電とは一線を画す小ささと軽さだ。

筆者が選んだのはMOTTERUのバッテリー

 ノートPCの充電に対応するモバイルバッテリーは意外と種類が少ない。筆者がよく使うAnkerにも「Anker PowerCore III 19200 45W」というノートPCへの充電に対応するモバイルバッテリーがあるのだが、現在品薄で公式販売サイトなどでは売り切れが続いている。

 ほかを探すと、無名ブランドのものならUSB PDの45W以上のものは5000円台からも見つかるが、あまり実績のないブランドのものは買いたくない。そこで見つけたのが最近登場の新ブランド、MOTTERUのバッテリー、MOT-MB20001だ。容量は20000mAhでUSB PDの出力は最大60Wとなるものだ。

今回使ったMOTTERUのMOT-MB20001、色は2色あるうちのスモーキーブラック
残量は4段階で表示、PD出力中は1個目が緑色に点灯する
Type-A端子は反対側に備える

 MOTTERUというブランドは、シリコンケーブルバンドで検索するとよく出てくるのだが、PC周辺機器を取り扱っているブランドで、PCパーツなどの老舗であるオウルテックの直販サイトでも扱われるブランドということも分かった。

 そして、購入の決め手になったのは、2月に小型充電式電池のリサイクル活動を共同で行う団体「JBRC」に加盟したこと。加盟すると何がいいかといえば、使用済となった場合の回収先があり、リサイクル手段が確立されていることにある。これに加盟していないと、バッテリーを処分するときに困るのだ。

仕様や認証マークなどはこちらにある。使ってるうちにすり減ってしまわないかが心配
付属品はUSBケーブル2本と、ケース

 モバイルバッテリーの中身は、消耗品であるリチウムイオンバッテリーなので、そう遠くない時期に寿命が来る。寿命まで使えば使用者の責任で処分しなければならないため、メーカー自身で回収などを行ってなく、自分の自治体のごみ回収でも対応してもらえない場合、使用者が処分方法を考えないといけない。その点、JBRC加盟企業の製品なら多くの家電店やホームセンターなどが協力店になっているお店に持ち込むだけでいい。筆者の自宅の徒歩圏内にも回収協力店がある。

 説明が長くなったが、廃棄のことまで踏まえて検討していったときに、もっとも買いやすい製品がMOTTERUのMOT-MB20001ということになったわけだ。

20000mAhでどこまで使える?

 バッテリーの容量は20000mAhで、ノートPCなどで分かりやすいようにWhに換算すれば約72Whということになる。筆者のノートPCのバッテリーが約40Whなので、1回半以上ということになるが、バッテリーから充電するときは変換ロスなどもあるので、実際にはそこまでは使えない。

 実際の使い勝手では、ノートPCが残り20%の段階で満充電のモバイルバッテリーを接続、使用を継続しながら充電していき、100%になったところでモバイルバッテリーの残量は4つランプのあるうち最後の1個が点灯するような感じだ。

 使いながら充電するということで単純に充電するよりも多く電力を消費した分もあるのだが、満充電のモバイルバッテリーを用意すれば、バッテリー容量が40Wh程度のノートPCのバッテリー稼働時間を倍以上増やすことができると言えそうだ。

ノートPCへも充電ができた。20V出力で1~2A程度の電流が流れている

 筆者のPCを例にとれば、4時間使えるところが8時間は大丈夫ということになる。使える時間はノートPCの種類によって大きく変わるのだが、筆者のPCならだいたいビジネスタイムの1日使える計算になる。

 ただし、朝から夜までなると、さすがに苦しいかもしれない。この間にはモバイルルータやスマートフォンのバッテリーも消費してくるので、それらの充電も必要となる。

 また、MOT-MB20001の場合、ノートPCなどへのUSB Type-C端子のほかに、一般的なUSB Type-A端子もある。同時出力の場合はType-Cが45W、Type-Aが15W(5V3A)となり、Type-A側でスマートフォンやモバイルルータなども充電できる。

 細かい話になるが、Type-Cだけしか出力がないモバイルバッテリーや充電器では、まだまだ存在するMicro USB Type-B端子の機器を充電する場合に変換が必要。詳しい説明は別に譲るが、Type-Cからは変換の制限もあって少々ややこしい。ならば、従来ながらType-A端子があればいくらでも転がっていそうなMicro USB Type-Bのケーブルを使って簡単に充電できて便利となる。

Type-A端子があると、microBの機器への充電がしやすい

 もう少し容量があったらさらに便利そうなMOT-MB20001だが、必要なら同じものを買い増しし、複数持ち歩けばいい。重さは約350gなので、3本持っても1kgを少し超える程度。価格も約8000円×3で約2万4000円だ。2万円程度で買えるポタ電の小容量タイプは60000mAhを少し超える程度なので、ポタ電よりも容量単価は低いかもしれないが、ポタ電の重さが3kg程度あることに比べれば、機動力ではモバイルバッテリーを複数用意するほうが勝っている。このあたりは使い方次第と言える。

実際に外でテレワークをしてみる

 屋外でテレワークをすると、意外と問題になるのが日当たりだ。直射日光が当たる状況だともちろんまぶしいが、それ以上に画面輝度も高めていかないといけない。液晶、有機ELともに画面を明るくすれば消費電力が多くなり、バッテリーの消費も早く進み、会議室で使っているときよりもバッテリー稼働時間は短くなる。

屋外でテレワーク中。輝度が足らないので、このあとすぐにプライバシーフィルターは外した

 天気が良い日の屋外テレワークは、その点を注意して装備を考えてほしい。筆者は基本的には曇りの日がいちばんテレワークしやすいと感じている。

 また、外では風の心配もある。風が強いと日差し以上にテレワークがやりにくい。資料を参照しながらという場面では資料が飛ぶ。また、風で飲み物が倒れてしまい大惨事になるかもしれない。砂埃が舞うような場所や、花粉の季節も風が強い日の屋外作業は無理だろう。

PC作業中は膝置きでも、横にテーブルを用意しておくと便利。
バッテリーはこちらに。資料をおさえる文鎮がわりにも使えそうだ

 ちなみに今回試した日はちょうど曇りの日ということで、テレワークに適した日だった。そのままPCに向かい、仕事を進めることができた。風はあまりなかったが、紙の資料を置いておくときは、今回のモバイルバッテリーを文鎮がわりにしておくこともできるだろう。

 なお、人気の花見スポットだと、平日といっても人が多くてなにかと騒がしく、落ち着いて仕事をしたい人には向かない感じだったが、桜の季節が終わり、公園の芝生や木々の緑が増してきたあたりになれば、もっとも仕事がしやすくなるのではないだろうか。

湯沸かし問題は…… 固形燃料を使ってみる

 最初にあきらめてしまったテレワーク中の湯沸かしだが、最後に解決方法のひとつを紹介しておきたい。

 あくまで火気を扱っても大丈夫な場所での話に限るが、電気の代わりに固形燃料を使う方法だ。幸いなことに今は100円均一ショップにキャンプ用品が豊富に揃っている。今回は100円均一ショップで買った固形燃料とストーブを使って湯沸かしを試みた。

屋外で湯沸かし。ケトル以外は100均のセリア揃えて合計330円。固形燃料はアルミホイルのベースがあるタイプのほうがストーブが汚れない

 ストーブは110円、固形燃料は3個で110円、着火装置が110円。ケトルだけは直火でまともに使えるものが100均で見つからなかったので別で揃えたが、量が少なくてよければ格安なメスティンなどで代用することもできるだろう。

 くれぐれも火の扱いは厳重に注意してほしいが、これなら手軽に屋外での湯沸かし環境が手に入る。

湯沸かし中
湯気がでてきた。量によっては固形燃料1つでは足りないかもしれない
カップラーメンが待機中
コーヒーも淹れてみた

 なお、今回の湯沸かしは桜の場所とは別の、火気を使用しても大丈夫な場所で行なっている。火が使えるキャンプ場やBBQスポットなどであれば、キャンプ道具の力と100円均一ショップをうまく活用すれば、手軽にホットコーヒーやカップラーメンを作る環境を揃えることも難しくない。

これからは屋外作業のいい季節

 実はコロナ禍の最初のころから、公園でテレワークや、情報機器を持ち込んで一日過ごすという人はそれなりに見受けられた。筆者は基本はインドア派なのと、そういう時期に外出するのはなんとなく落ち着かなかったから控えていたが、世の中が回復に向かう今、屋外ワークもありだとあらためて思った。

 ノートPCも充電できる高出力タイプのモバイルバッテリーは、一般的なモバイルバッテリーよりは高価となるが、出張などの時にもPCのバッテリー不足の不安から解放してくれる。今使っているPCがUSB PDに対応していない旧モデルだとしても、今後買い換えるノートPCではUSB PDに対応している可能性が高い。今後、モバイルバッテリーの購入を検討するときには、選択肢の幅を広げてみると、これからの季節、楽しめるかもしれない。

INTERNET Watch編集部員やライター陣が、実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズをリレー形式で紹介していく「テレワークグッズ・ミニレビュー」。もし今テレワークに困りごとを抱えているなら、解決するグッズが見つかるかも!? バックナンバーもぜひお楽しみください。