テレワーク、空いた時間でなにしてる?

【ファミコン救出大作戦その1】レトロゲームはテレビに映すのも難しい! 実家に放置した100本以上のソフトで息子と遊ぶまでの奮闘記

1983年発売のゲーム機「ファミリーコンピュータ」

ファミコンで息子と遊ぶ、40年越しの夢を叶える時が来た

 1983年に発売された任天堂のゲーム機「ファミリーコンピュータ」、通称ファミコンが我が家にやってきたのは、発売日の7月15日。新しい物好きの親父は「郡内で一番に手に入れた」と言っていた(都内ではなく郡内、郡とは近くの町村がまとまった行政区画のこと)。息子へのプレゼントではなく本人が遊ぶためのもので、当時6歳だった筆者はしばらく触らせてもらえなかった。

 小学生になって遊ぶ許可が出ると、それからはゲーム三昧の日々だった。ド田舎で娯楽がほぼなかったこともあり、ファミコンは子供の遊びの中心的存在だった。数年間で我が家にやってきたゲームソフトは100本近くになった。1本1本に思い出があるゲームが山と積まれていく。

 それから筆者も成長し、大人になっていった時、1つの夢が生まれた。「このファミコンのゲームを、いつか自分の子供と遊びたい」。大学進学で実家から出た後も、自分の部屋(だった場所)の一角にゲーム一式を置いたままにしておいた。

 ……そしてファミコンの発売から40年が経った2023年、息子は小学生になった。コロナ禍で外出が制限されたこともあり、息子は既に各種テレビゲームには触れている。いよいよ夢を実現する時が来た。

実家からゲームを引き上げてくるだけでは済まない

 実家から各種ゲーム機とゲームソフトを持ち帰れば準備完了、となればいいのだが、そう簡単にはいかない理由がいくつもある。

 まず筆者の実家は距離約500㎞の遠方にある。クルマでの行き来は1日がかりで頻繁には帰省できない。さらにファミコンのほか複数のゲーム機と、100本以上あるゲームソフトを持ち帰るのもかなりの荷物だし、何とか持ち帰ったとしても置き場問題で夫婦喧嘩は必至だ。

 さらに大きな問題は、ゲーム機そのものにある。故障していて動かない可能性もあるが、それ以上にテレビへの接続が大変だ。ファミコンではRFスイッチによるアンテナ接続(しかもアナログ)を使っていた。当時ファミコンを遊ぶために、テレビの2chを使っていた方も多いと思う(関西出身の筆者の場合は1chだ)。

 しかし現在はテレビ放送がアナログからデジタルに移行し、アナログ放送が終了していることから、アナログ放送を受信できるテレビは売られていない。よってRFスイッチを使って映像を出力するファミコンは、現在のテレビには接続できないのである。

 またスーパーファミコン以降の世代では、赤白黄のAVケーブルが標準的に使われていた。ただしこちらも最近のテレビはHDMI接続が主流で、AVケーブルを繋げられるテレビはほとんどない。

左がAVケーブル、右がHDMIケーブル。AVケーブルは長らく標準的存在だったが、現在は繋げられないテレビが多い

 テレビの接続に関しては、変換機などを使えば対応は可能だが、接続が複雑化する上に機材も増えるというデメリットが大きすぎる。本体も故障して動かないならまだマシで、よろしくない保存環境で何十年も置かれた機械を、当時のACアダプタで接続して動かすとなると、発火の危険性すらある。さすがに中身を開いて電子工作する元気はない。

 どうしたものかなと思っていたところ、これらの問題を一気に解決してくれる素敵なアイテムを発見した。レトロゲーム互換機「レトロフリーク」だ。

かさばる荷物もテレビ接続も「レトロフリーク」で全て解決

 レトロゲーム互換機とは、ファミコンなどの古いゲームが動作するマシンのこと。見た目は純正品とは異なるが、ゲームソフトを挿入すればゲームを遊べる。より細かく説明すると、ファミコン互換機はファミコンの動作をエミュレートするもので、作ったのは任天堂ではなく、“他社が勝手に”ファミコンが動作するマシンを作っている。

 ファミコンの純正品はもう生産されていないので、ファミコンが動作する本体が欲しいなら、現在は数少ない中古品を探すか、あるいはファミコン互換機を購入することになる。互換機はテレビへの接続方法が現代的なものを採用しているのもメリットだ。

 こうした互換機はさまざまな種類があり、特にファミコン用の互換機は無数に販売されている。ただし純正品の動作をエミュレートするという特性上、製品によっては正常に動作しないゲームがあったりもする。

「レトロフリーク」のレッド×ホワイトカラー。他にもいくつかのカラーバリエーションがある

 筆者が選んだ「レトロフリーク」は、ファミコンのほか、スーパーファミコン、ゲームボーイ、ゲームボーイアドバンス、PCエンジン、メガドライブなど、多機種に対応したレトロゲーム互換機となる。テレビ接続はHDMIで、純正品よりシャープな映像を出力できる。

 開発したのは、ゲームの周辺機器などを販売するサイバーガジェット。レトロゲーム互換機は出所が不明な怪しいマシンも多いが、多数のゲーム関連機器の販売実績があるサイバーガジェットの製品なので安心感がある。互換性に関しても、販売後にアップデートを提供するなどして対応を進めてきている。

 そして筆者が本製品を購入する決め手となったのが、ゲームのコピー機能だ(サイバーガジェットは「インストール」と呼んでいる)。本製品はゲームソフトを挿入して普通に遊ぶことももちろん可能だが、それだけではない。本体にmicroSDカードを挿入しておけば、ゲームソフトのデータをmicroSDカードにコピーでき、その後はカートリッジなしにmicroSDからゲームを読み込んでプレイできる。

コピー作業は本製品にカートリッジを挿入後、表示される確認画面で「はい」を選ぶだけ。とても簡単だ

 つまり本製品を実家に持っていき、実家にあるゲームソフトを片っ端からmicroSDカードにコピーして、本製品だけを自宅に持ち帰ればいい。古いゲーム機や大量のゲームソフトはそのまま実家に置いておきつつ、自宅では全てのゲームをmicroSDから呼び出して遊べるようになるわけだ。テレビとの接続もHDMIなので心配ない。

microSDカードにコピーしたゲームをリスト表示したイメージ。カートリッジの抜き差しなく、遊びたいゲームを選ぶだけですぐ遊べるのもメリット

レトロゲーム互換機に法的な問題はないのか?

 ここまで読んで、もしかしたら「違法じゃないの?」と気になった方もいると思う。筆者もその辺りは気になったので、調べてみたことをお伝えしたい。

 まず、任天堂以外の企業がファミコン互換機を開発・販売することは問題無いのか、という点。

 これについては、ファミコンを含むゲームソフトには著作権が存在するが、ハードウェアであるゲーム機には著作権はなく、20年間の特許権のみが存在する。つまりファミコンやスーパーファミコンの特許権は既に切れているので、互換機を開発・販売することに法的な問題はないということになる。

 次にゲームソフトをmicroSDカードにコピーすることについて。

 こちらについては、ゲームソフトの著作権は少なくとも50年は続くため、ファミコン用ゲームソフトはまだ権利が守られている状態だ。よってコピーは基本的には違法行為となる。

 ただし、著作物は私的利用の範囲であればコピーが認められている。「レトロフリーク」のコピー機能では、この私的利用の範囲での使用を呼び掛けている。具体的には、レトロフリーク使用許諾の第3条に書かれている。

 端的に言うと、コピーした後もゲームソフトを手放さずに所有し続けること、コピーしたデータを他人に渡さないことだ。これらを守れば、著作権法での私的利用範囲でのコピーとなり、適法に利用できる。

 筆者の場合、ゲームソフトをmicroSDカードにコピーした後も、実家に置いたままにしておく。あとは実家の誰かがゲームソフトを勝手に処分してしまわない限りは、私的利用の範囲として認められるはずだ。

 法律について個人でしっかり調べるのはなかなか難しいが、本製品については使用許諾の内容を守っている限りは心配ない。ただ便利な機能を実装するだけでなく、法的な面まで配慮してガイドを用意してくれているので、ユーザーとしても安心できる。

 以上で実家のレトロゲーム救出作戦の道筋は立てられた。ここからは実践へと移っていく……、のだが、先に言っておくと、「レトロフリーク」を入手する段階でそこそこ大変だった……、ので続きは次回お届けしたい。

テレワークで余裕ができた時間を有効活用するため、または、変化がなくなりがちなテレワークの日々に新たな風を入れるため、INTERNET Watch編集部員やライター陣がやっていることをリレー形式で紹介していく「テレワーク、空いた時間でなにしてる?」。バックナンバーもぜひお楽しみください。