Googleが中国からの撤退示唆、「検閲をこれ以上容認できない」


Google.cn

 米Googleは12日、中国の人権活動家のGmailアカウントに対して攻撃が行われたことを明らかにした。この問題などを受け、場合によっては中国事業からの全面的な撤退も辞さないとの見解を公にした。

 米Google公式ブログにて、同社最高法務責任者でコーポレートデベロップメント担当シニアバイスプレジデントであるDavid Drummond氏がコメントした。

 Drummond氏によると、Googleは2009年12月中旬、中国を発生源とする「高度に洗練され、Googleの企業インフラをターゲットにした攻撃」を探知したという。調査の結果、これは通常の攻撃とは異なり、Googleだけに対するものではなく、インターネット、金融、テクノロジー、メディア、化学など、最低でも20社の大企業に対するものであることも判明した。Googleは現在、これらの企業に事実を通知するとともに米司法機関とも連携しつつ対処している。

 さらに、この攻撃の主要な目的が、中国の人権活動家のGmailアカウントにアクセスすることにあったことも判明した。しかし調査の結果、Gmailアカウントの限定的な情報(アカウント作成日付、件名等)が盗まれただけで、メール本文は読まれていないとしている。

 これに加えて、Googleに対する攻撃とは別に、米国、中国、欧州の中国人権活動支援者のGmailユーザーのアカウントが、フィッシングやマルウェアなどの手法により定期的にアクセスされていたことも判明した。

 Googleがこのような攻撃の具体的内容について公表するのは異例だ。それでも公表に踏み切った理由として、「この情報が言論の自由に関するより大きな地球的議論の核心に迫るものだからだ」と説明している。

 Googleでは今回の調査結果と、これまでの「インターネット上の言論の自由を制限しようとする数年にわたる試み」を合わせて考慮した結果、中国における事業撤退も視野に入れていることを明らかにした。

 Googleでは「Google.cn」における検閲をこれ以上容認する意思はないとし、今後数週間をかけて中国政府と話合いを持ち、フィルタリングを行わないサーチエンジンを合法的に提供できるかどうか検討する。ただし、最終的に「Google.cn」および中国支社の閉鎖も辞さないとしている。

 なお、Drummond氏はコメントの中で、一連の調査や決断はすべて米国在住の幹部により行われており、「中国支社の従業員のいかなる情報や関与も受けていない」と明記している。

 また、このコメントの中でGoogleは、一連の「洗練された攻撃」の源について、中国政府の名前を言及することを注意深く避けている。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2010/1/13 13:39