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子どもの“ネットデビュー”はPCで、「段階的利用モデル」提案


 「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」(事務局:ヤフー、ネットスター)は22日、子どもの“ネットデビュー”や“ケータイデビュー”に必要な能力をまとめた「段階的利用モデル」を発表した。子どもにインターネットを使わせたり、携帯電話を持たせてもいい時期かどうか、保護者が判断する際の目安を、子どもの成長段階に対応付けて示している。

 「段階的利用モデル」では、能力の発達段階を「体験期」「初歩的利用期」「利用開始期」「習熟期」の4ステップに分け、子どもが使うことを認めるインターネットデバイスやサービス、コミュニケーション手段などを各ステップごとに規定した。


「段階的利用モデル」の概要図(「子どもたちのインターネット利用について考える研究会 第二期 報告書」より)

 例えば「体験期」では、携帯電話については、やむを得ない場合のみ通話だけ許容し、インターネットは認めない。PCによるインターネットは、サイト閲覧は認めるが、メールは認めない。また、フィルタリング強度を強く設定し、利用中は子どもの隣で見守る。

 こうした制限を子どもの能力の発達段階に応じて緩めていき、「習熟期」では、携帯電話のメール機能およびサイト閲覧機能の使用を認めるほか、PCではチャットやSNSの利用、オンラインショッピングも許容する。フィルタリングも緩め、場合によっては個室への持ち込みも認める――といった具合だ。

 「段階的利用モデル」では、これら各ステップに進むために必要な能力を提示している。例えば「体験期」であれば、1)約束や決まりを守ることができる、2)危険なことに出会ったら大人に相談できる、3)インターネット上には危険なWebサイトや誤った情報が存在することを知っている、4)個人情報の大切さ、他人に漏らしてはいけないことを知っている――という4項目だ。3)と4)のような知識・スキル面だけでなく、1)と2)のようなモラル・コミュニケーション面の能力も求めているのが特徴。

 「習熟記」になるまでには、知識・スキル面9項目/モラル・コミュニケーション面10項目の全19項目の能力が必要となる。保護者は、子どもにインターネットや携帯電話の使用あるいは使用範囲拡大を認めていいかどうか判断するにあたって、ステップに応じた能力が子どもに備わっているのかチェックするとともに、不十分であれば、それを保護者が子どもに見に付けさせる必要がある。

 なお、各ステップは年齢ではなく能力により分けているが、おおよそ、「体験期」に必要な能力が小学校中学年相当、「初歩的利用期」が小学校高学年相当、「利用開始期」が中学生相当、「習熟期」が高校生程度と説明している。

 また、「習熟期」であってもインターネットを利用する上で完全なものではないという。あくまでも、大人の利用が前提となって発展してきたインターネットを、子どもが利用するにあたっての「スタート地点」までの道筋を示すものだとしている。

携帯ゲーム機のインターネット接続機能にも注意

 今回の「段階的利用モデル」では、子どもの“ネットデビュー”は携帯電話からではなく、PCから行うことを提案している。PCの方が保護者による見守りや指導がやりやすいこと、フィルタリングソフト/サービスが高機能であること、PCサイトには学習に役立つ優良コンテンツも多いことなどが理由だ。

 ただし、すでに携帯電話を持たせてしまっている場合は、現時点での使用内容(ステップ)を確認するとともに、携帯フィルタリングのカスタマイズ機能などを保護者が理解・活用することなどを推奨している。また、子どもは知識・スキル面では保護者より詳しいが、モラル・コミュニケーション面が抜け落ちてしまいがちだとして、そうした面での子どもの能力を把握することも必要だとしている。

 さらに、携帯ゲーム機についても注意を呼び掛けている。携帯電話を持つより早く、就学前から使いはじめる子どももいる一方で、携帯ゲーム機にインターネット接続機能があることを認知している保護者が少ないと指摘。成長段階に応じてインターネット接続機能の制限やフィルタリングを行うことが必要だとしている。

 研究会では、「段階的利用モデル」を保護者向けに説明する教材「小中学生のお子さんを持つ保護者のためのインターネットセーフティガイド〜親子で歩むリスク回避の4つのステップ〜」(前編・後編)をまとめ、研究会のWebサイトで無償公開した。PTAや教育委員会などでの活用を期待している。また、研究会でも、これをテキストにした講演会を全国で開催していく予定だ。


「小中学生のお子さんを持つ保護者のためのインターネットセーフティガイド〜親子で歩むリスク回避の4つのステップ〜」のページ。PowerPointのスライドとして公開されているほか、PDF版もダウンロードできる

 研究会に委員として参加した東京都小学校PTA協議会会長の新谷珠恵氏は、「段階的利用モデル」の重要性を保護者の立場から訴えた。PTAとしては、必要がなければ携帯電話を持たせないというのが原則方針だが、子どもとの連絡や友人関係などの面から、持たせざるを得ない状況になってきているのが実情であり、子どもに携帯電話所持を一律に禁止するのではなく、「どうやって持たせるべきか考えるべき」という。

 しかし、保護者にとっては手探りの状態であり、現実にはクラスの誰かが持ち出したことで一気に所持が広まったり、携帯電話会社による安全教室を一度受講しただけで安心し、一気に子どもに持たせる家庭が増えるといった危険な事例もあるという。


(左から)「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」の座長を務めたお茶の水女子大学教授・坂元章氏、委員の江戸川大学准教授・玉田和恵氏、同じく東京都小学校PTA協議会会長・新谷珠恵氏

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(永沢 茂)

2010/1/22 20:20

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