URLフィルタリングリストの構築などを手がけるネットスターは17日、「第9回 家庭でのインターネット利用実態調査」の結果を公表した。
調査は、第1子に小学生~高校生の子供を持つ保護者を対象に、3月27日・28日にWebアンケートで実施した。回答者の子供の学年・性別が、小学1年~3年、小学4~6年、中学生、高校生・高専生でそれぞれ均等になるよう配分されており、2064件の有効回答を得た。
● 学校への携帯持ち込み原則禁止、保護者の6割が賛成だが……
調査によると、学校への携帯電話の持ち込みを原則禁止とする施策について、「賛成」とする保護者が62.3%に上り、「反対」は11.3%にとどまった。「どちらでも構わない」が22.3%、「そのような取り組み(ルール)があることを知らない」は0.9%。
賛成の理由(複数回答)は、「授業中など学校内では携帯電話は不要」が94.4%に上り、以下は「原則的な指針を示すことは大切」が43.4%、「学校内の全員が同時に持たないことがさまざまな問題解決に効果的」が40.4%など。
しかしその一方で、子供のインターネット利用に関して現在起きている問題は、この施策では解決しないと考える保護者が全体の80.9%を占めた。
その理由(複数回答)としては、「インターネット利用は携帯電話経由だけではないから」が57.6%、「学校外でのインターネット利用が問題だから」が57.0%、「正しい利用方法を親が教育すべき問題だから」が37.8%、「子供ではなく、悪い大人が起こしている問題だから(法規制や取り締まりが必要)」が31.3%、「『持ち込ませない』ことは実質的にはできないだろうから」が25.9%、「取り上げるのではなく、少しずつ使わせながら解決すべき問題だから」が24.5%など。
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学校への携帯電話の持ち込みを原則禁止とする施策についての保護者の評価
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学校への携帯電話の持ち込みを原則禁止とする施策で、トラブルが解決するか保護者の見方
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● インターネットの利用方法は「保護者が教えるべき」が9割以上
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パソコン・携帯電話でのインターネット利用について決めている家庭でのルール
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インターネットの危険性も含めた利用方法を誰が教えるべきかとの設問(複数回答)では、「保護者」自身だとした人が92.3%に上り、以下、「学校」が63.0%、「携帯電話事業者やサービスプロバイダー(NTTドコモやOCNなど)」が30.9%、「サイト運営事業者(Yahoo!やモバゲータウンなど)」が26.4%と続く。
自宅パソコンでのインターネット利用について子供とどのようなルールを決めている(決める予定)か聞く設問(複数回答)では、「買い物はしない(その都度保護者の許可が必要)」が46.2%、「困ったことがあったらすぐ保護者に相談する」が46.0%、「氏名や住所などの個人情報は書き込まない」が45.8%で上位になった。
一方、携帯電話でのインターネット利用についても、同じく「買い物はしない(その都度保護者の許可が必要)」が30.0%、「困ったことがあったらすぐ保護者に相談する」が32.3%、「氏名や住所などの個人情報は書き込まない」が30.6%で上位に入っているが、「人に迷惑をかけない(悪口やうわさ話、チェーンメールなど)」を挙げた人も31.9%と多かった。ただし、全体的に携帯電話のルール策定率はパソコンに比べて低い。
このほか、「特になにも約束していない(する予定はない)」が、パソコンで11.4%、携帯電話で14.5%あった。また、そもそも「子供にはインターネットを利用させない」とした人がパソコンでは3.7%だったが、携帯電話では25.6%あった。なお、利用させない理由として、自由回答では「まだ早い」「判断力がないから」などが挙がったが、必ずしもリスクを懸念しているわけではなく、「そもそも必要ない」「子供の時にしかできないことをさせたいから」「本を読め」などもあったという。
● パソコンのネット利用「はじめは保護者の見ているところで」が6割
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子供にパソコン・携帯電話でのインターネット利用を開始させるにあたっての段階的手順
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子供にインターネットを利用させるにあたって、段階的手順を踏んだかどうか(踏む予定かどうか)たずねる設問(複数回答)では、家庭内での利用が主のパソコンと、保護者の目の届かないところでも利用される携帯電話では手順が異なることがわかった。
パソコンでは、「はじめは保護者の見ているところでのみ利用、その後、子供だけで利用」が61.3%と最も多く、以下、「特に手順を踏まず、子供だけでも利用させた(させる)」が20.3%、「はじめはメールのみ利用、その後サイト閲覧も認めるなどの段階に分けて許可」が12.4%、「サイト閲覧先の制限を段階的に解除」が12.1%の順。
一方、携帯電話では、「はじめは通話のみ許可し、メールやサイト閲覧は認めない」が28.6%、「はじめはメールのみ利用、その後サイト閲覧も認めるなどの段階に分けて許可」が22.4%、「特に手順を踏まず、子供だけでも利用させた(させる)」が21.8%、「はじめは保護者の見ているところでのみ利用、その後、子供だけでも利用」が20.4%、「サイト閲覧先の制限を段階的に解除」が12.5%の順だった。
● 携帯フィルタリング以外にも、きめ細かな制限機能を期待
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保護者が利用したいと考える携帯電話の子供向け付加サービス
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調査ではこのほか、携帯電話のフィルタリング利用状況についても聞いている。「利用している」のは全体の20.4%で、36.8%が「利用したことがない」、4.0%が「利用していたがやめた」と回答。また、35.4%は「インターネット利用自体を認めていない/そもそもインターネットを利用していない」だった。
また、現時点では提供されていない機能も含め、子供向けに利用したい携帯電話の付加サービス(複数回答)としては、「ダウンロードの制限」68.9%、「料金の制限」65.2%、「買い物の制限」60.6%、「通話、メールやサイト閲覧など機能ごとでの使用許可」53.7%、「インターネット利用時間の制限(1カ月あたり○時間など)」47.1%、「サイトアクセス記録(ログ)の閲覧」44.0%などが多く挙げられた。
ネットスターでは、保護者の多くが「持たせる」「持たせない」の二択では不十分と考えており、フィルタリングのカスタマイズ機能以外にも、よりきめ細かな制限機能が求められていると指摘。「子供たちのネット利用のトラブルを恐れるあまりに、ただ『持たせない』とする対策では、ネット利用リスク教育や段階的な利用解禁支援についての議論が進まず、トラブル解決にもつながらないことが懸念される」として、子供のインターネット利用について「段階的なネット利用解禁」のあり方について研究が必要としている。
なお、ネットスターがヤフーと共同で事務局を務める「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」では、子供の成長段階に応じた具体的なネット利用解禁の目安を9月までにとりまとめ、保護者向けに提供する予定だ。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.netstar-inc.com/press/press090417a.html
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・ 子供のネット利用、成長に応じた“解禁”の目安を策定へ(2009/04/09)
( 永沢 茂 )
2009/04/17 18:18
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