ヤフーとGoogleの提携、公取委「現時点で独禁法上の問題なし」


 ヤフー株式会社が米Googleから検索エンジンなどの技術提供を受けることをめぐって、独占禁止法上の問題になるかどうかを調査していた公正取引委員会は2日、「現時点では独禁法の措置をとるために引き続き調査を行う必要はない」との考えを示した。

 ヤフーがGoogleから検索エンジンおよび検索連動型広告システムの提供を受けることについて、公取委は以前に両社から相談を受けており、7月には両社の説明内容を前提とすれば独禁法上問題となるものではないと回答していた。

 しかし、両社の提携によりGoogleが日本国内の検索エンジン技術の約9割を占め、検索サービスおよび検索連動型広告の分野に大きな影響を与える可能性があるとも指摘。こうしたことから公取委は引き続き、技術提供の実施に向けた進ちょく状況を調査していた。

 公取委はが調査したのは以下の3点だ。

 1)ヤフーが自社にとって最適であると判断してGoogleから技術提供を受けたか
 2)技術提供は、両社が公取委に説明した通りに実施に向けて進ちょくしているか
 3)その他独占禁止法上問題となる恐れがある行為があるか

 1)に関して公取委は、米Yahoo!が2009年7月に自社の検索エンジン開発を停止する方針を示すとともに、米Microsoftからの技術提供を受けることを発表した際に、ヤフーでも米Microsoftの検索エンジンなどの性能を比較・検討していたことを指摘。

 その際、ヤフーはMicrosoftの検索エンジンの性能が米Yahoo!のそれに勝るものではないと判断したことなどから、Microsoftからの技術提供は困難であると判断し、現時点で最も優れた検索エンジンと評価した米Googleからの技術提供を依頼したとしている。

 2)については、Googleとヤフーは検索サービスおよび検索連動型広告に関する独自性が確保される手段が講じられていると評価。また、現時点では広告価格などの情報共有などによって協調的な行為が行われている事実も認められなかったとしている。

 3)に関しては、一方がすでに事業活動を行っている分野に相互に進出しない、両社に関する情報や広告などの表示順位を恣意的に高くするなど、独占禁止法上問題となる恐れがある行為は見られなかったとしている。

 こうしたことから公取委は、両社の提携について「現時点において独占禁止法上の措置を採るべく引き続き調査を行う必要はない」と判断。ただし、今後も技術提供について注視し、独禁法違反の疑いのある具体的事実に接した場合は、厳正に対処するとしている。


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(増田 覚)

2010/12/2 18:58