パイオニアが自転車市場参入、サイクルナビゲーション販売へ
ドコモの3Gモジュール内蔵で通信料が2年間無料
パイオニア株式会社は25日、自転車で街を散策する“ポタリング”を楽しむための機能を搭載したサイクルナビゲーション「SGX-CN700」(通称:ポタナビ)を2012年2月に発売することを明らかにした。想定価格は4万円前後。カラーはホワイトとブラックの2種類。
SGX-CN700-W(ホワイト) | SGX-CN700-B(ブラック) |
●ポタリング向けのナビ機能を各種搭載
ナビ機能としては、内蔵GPSで把握した現在地と、目的地・出発地をラインで結んで表示する「ポイントライン表示」機能や、ポタリングの時間にあわせた往復可能な範囲を地図上に円形グラフィックで表す「タイムサークル表示」機能などを搭載する。
ショップや観光地のほか、公園やコンビニ、トイレなどポタリングで必要なジャンルに絞った周辺検索が可能。テレビで紹介されたスポットの情報や周辺の天気情報などを、本体内蔵の通信モジュールで自動受信してポップアップ表示する機能も備える。
なお、ルートに関しては、走行前に専用サイト「サイクルラボ」のマイページで作成したものが、通信モジュールによって本体にダウンロードされるが、「○メートル先を右折」といったルート案内は行わない。また、現状ではサイクリングロードのデータに対応する予定はないという。
加速度センサーを内蔵しており、本体を傾けるだけで地図をスクロールしたり、周辺の情報を確認することが可能。地図を確認しながら本体のボタンを押すことで、目的地を設定できる。
自転車に装着したイメージ | 「ANT+」の通信規格に対応したセンサーの装着イメージ |
現在地と、目的地・出発地をラインで結んで表示する「ポイントライン表示」機能 | ポタリングの時間にあわせた往復可能な範囲を地図上に円形グラフィックで表す「タイムサークル表示」機能 |
●ドコモの3G通信が2年間無料利用可能
SGX-CN700のボタンと画面 |
通信はNTTドコモの3G通信回線を利用しており、製品購入から2年間は無料で通信機能を利用できる。無料期間終了時には、ユーザーが料金を負担する形で延長契約すれば、引き続き通信機能が利用できる。延長契約の料金は未定。
この通信機能により、走行データが定期的に自動でアップロードされ、ウェブ上のマイページに保存される。本体にはUSBポートが設けられているが、これはPCと有線で接続するためのものではなく、充電用となっている。
マイページ上ではさらに、走行前にルートやスポット情報を登録したり、速度やケイデンス(クランク回転数)といった各種センサー情報のレイアウト変更、他のユーザーとのルート共有などが行える。
このほか“エンタメサイコン機能”として、ケイデンスに応じて画面内のキャラクターの動きが変化するダイエットモードを搭載。これにより、理想的なケイデンス値が確認でき、運動効率の高い走行が可能になるという。
テレビで紹介されたスポットの情報や天気予報などを通信で定期的に自動受信し、ポップアップで表示する | 専用サイトでルートを作成し、サイクルナビ本体から通信で取得できる。ただし、ルート案内機能は搭載していない |
速度やケイデンス(クランク回転数)といった各種センサー情報のレイアウトを変更できる | ケイデンスに応じて画面内のキャラクターの動きが変化するダイエットモード |
本体には「ANT+」の通信規格に対応したケイデンスセンサーが付属しており、センサーからの情報を本体にリアルタイムで表示する。センサー設置時の配線は不要。センサーは内部スイッチの切り替えにより、スピードセンサーとしても利用できる。
本体駆動時間は最大約10時間、耐振/防塵設計に加えて、IPX5相当の防水性能を備える。ディスプレイは240×320ドットの2.4インチ半透過型カラー液晶。ワンタッチで本体を取り外せる自転車専用クレイドルも付属する。本体サイズは60×90×18mm(横×高さ×奥行き)、重さは約100g。
サイクルナビ専用サイト「サイクルラボ」 | 本体スペックの概要 |
●なぜ自転車業界参入?
パイオニア代表取締役社長の小谷進氏 |
25日にはパイオニア代表取締役社長の小谷進氏らが記者会見を行い、今回の自転車業界への参入は、同社の成長戦略の骨子のひとつである「新規事業の開発」を具現化したものだと説明した。
パイオニアは2015年に向けて「街でも家でも車でも、笑顔と夢中が響きあう」というビジョンを掲げており、車で使われるカーナビ、家で使われる音響機器に加えて、新たに街で使われる自転車向け商品を投入することで、同社の存在感を高める狙いがあるという。
自転車産業振興協会によれば、日本の自転車人口は約7500万人。うち、主に移動手段として使う「一般層」が7000万人と圧倒的に多く、サイクリングを楽しむ「スポーツサイクリスト層」は300万人、レースやトレーニングを楽しむ「アスリート層」は30万人と続く。
車体の販売台数は横ばいだが、スポーツサイクリスト層が購入する「スポーツバイク」に関しては増加傾向にある。また、健康・美容意識の高まりやポタリングブームに後押しされ、一般層からスポーツサイクリスト層に移る人も多く見込まれるという。
こうしたことからパイオニアは、スポーツサイクリスト層をポタナビのメインターゲットに据え、スポーツサイクル専門店を通じて販売していく。2012年度までに10万台、その後は海外展開も視野に入れ、2015年度までに100万台の販売を目指す。
関連情報
(増田 覚)
2011/10/25 17:27
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