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「PC事業で一発逆転はない、スマホ事業で頂点を」〜新生NHN Japan

ライブドア出澤社長、ネイバー舛田室長が語る経営統合の狙い


 NHN Japan株式会社と同社子会社のネイバージャパン株式会社および株式会社ライブドアの3社が2012年1月1日、NHN Japanとして経営統合する。「まずはスマートフォン事業でナンバーワンを目指す」という新生NHN Japan。ライブドア代表取締役社長の出澤剛氏と、ネイバージャパン事業戦略室室長の舛田淳氏に、経営統合の背景や狙いを聞いた。

ライブドア代表取締役社長の出澤剛氏(右)とネイバージャパン事業戦略室室長の舛田淳氏

PC事業で「一発逆転」はない、スマホ事業にすべてのリソースをつぎ込む

――経営統合に至った経緯は。

出澤氏:昨年以降スマートフォン市場が急拡大する中で、NHN Japanグループを取り巻く競争環境は国内のみならず、国境や言語を越えたグローバル競争へと一層の厳しさを増しています。この流れは来年はさらに速くなる。我々はこれを「チャンス」と感じており、3社のリソースをスマホ事業に結集して勝負するために経営統合に至ったのです。

 NHN Japanがライブドアを買収して1年半が経過し、いくつかの連携サービスが実現したり、お互いの社員が良い刺激を与え合っているなど、一定の成果が得られました。しかし、その中でいくつかの「壁」もありました。例えば、本社所在地による距離や、各社が設定する目標の違いなどです。経営統合はこうした壁を取り払うことが狙いでもあります。

――スマートフォン市場に注力する理由は。

出澤氏:PC事業はすでにトッププレーヤーが決まっているため、多くのリソースを費やしても一発逆転が見込めません。一方、スマホ事業は今後、きちんと間違えずに正しい手を着実に打てばナンバーワンになれるチャンスは大いにあります。それを実現するための経営統合なのです。

舛田氏:例えば、スマホのアプリを見てみると、これまでは少人数で面白いアイデアを具現化したようなアプリがヒットすることはありましたが、来年以降はそういう次元ではない。海外でも大資本をもとに世界を相手にビジネスしている。これはアプリのダウンロードランキングを見てもわかることです。

 これまで我々は「スマホで何ができるか」を考え、結果も出してきました。しかし、今後は他社もスマホ事業に最大限の投資を行うことが予想されます。そうなると、勝つためには普通ではいけない。従来のような部分的な連携ではなく、壁をいっさいなくして、グループのリソースをすべてつぎ込んでスマホ時代に勝負を仕掛けていきます。

スマホプラットフォームとして「LINE」を世界規模のサービスに

――NAVERが手がけるメッセンジャーアプリ「LINE」は、日本だけでなく中東・東南アジア地域でも利用が広がり、公開後4カ月で累計300万ダウンロードを達成するなど好調です。

舛田氏:国内のアプリのニーズについて考えるとき、これまでは「日本」というくくりがあったかと思います。しかし、スマホは国境がないに等しい。LINEに関しては、良いものをリリースすれば世界中で使ってもらえるという経験ができました。

 LINEは単なるメッセンジャーアプリとしてではなく、さまざまなサービスや広告が掲載されるようなプラットフォームになると考えています。今後は、スマホプラットフォームとして世界規模のサービスに育てるとともに、LINE以外でも「日本発、世界」を視野に入れたアプリやサービスを出していくつもりです。

――経営統合ではネイバージャパンとライブドアのメディア事業を統合して「ウェブサービス本部」を発足させますが、既存サービスのブランドの位置づけはどうなるのでしょうか。

出澤氏:NAVERがフラッグシップブランドとなり、その中に「powered by NAVER」として、NAVER検索やNAVERまとめなどのNAVERブランドと、livedoor Blogやlivedoorニュースなどのlivedoorブランドのサービスがあるイメージです。

 今後はlivedoorニュースやlivedoor Blog、NAVERまとめなどのメディアカテゴリー、ロケタッチなどのジオロケーションカテゴリー、検索カテゴリーの3分野に重点を置き、各カテゴリーでキラーサービスを生み出していきます。収益モデルの面では、従来の広告モデルに加え、ゲーム本部の持つ課金モデルノウハウを積極的に生かし、収益の最大化を目指します。

ウェブサービス本部のサービスブランドの位置付けについて

国内最大級の開発陣がキラーサービスを作り出す

――経営統合で懸念していることは。

舛田氏:経営統合によってユーザー離れが起こるのではないかと心配されるかもしれませんが、NHN Japan、NAVER、livedoorのブランドは継続しますし、サービスの運営方針もこれまでと変わりません。ライブドアをNHN Japanの子会社化したときもユーザー離れを懸念する声がありましたが、むしろサービスは順調に成長しています。

――ライブドアという法人格がなくなることについては?

出澤氏:さみしいと感じる社員もいるかもしれませんが、みんなの根源にあるのは「価値のあるサービスを作りたい」という欲求のはず。それを達成するには、経営統合によってリソースを結集して勝負するのが近道だと思うので、理解してくれると考えています。

――新生NHN Japanの強みは。

舛田氏:グループ全体で約400人のエンジニアやデザイナーが在籍するなど、国内最大級の開発陣を有していることです。NHN Japanにはゲームや課金、ネイバーとライブドアにはメディアや検索、SNS、広告といった強みもあります。ゲームとウェブサービスを開発から運営まで一貫して手掛ける企業は国内では唯一です。

 こうした武器を背景に、スマホ事業を中心として、新しいサービスモデルや価値を持ったキラーサービスを世の中に送り出していきます。LINEは企画から1カ月半でリリースしたのですが、そうした仕掛けの早さにも期待してほしい。アプリのダウンロード数やユーザー数、収益などスマホ事業のあらゆる面でナンバーワンを取るつもりです。

出澤氏:エンジニアやデザイナー、ディレクターなど制作に携わるスタッフが全体の7割近くを占めているのですが、ウェブサービスにここまでリソースをつぎ込んでいる会社は珍しいと思います。国内では検索やゲーム、ジオなどの各分野に特化した会社はいくつも存在しますが、これらの熱い領域を一環して手がける会社なので、今後の行方が自分でも楽しみです。そういうことがやりたいエンジニア、デザイナー、ディレクターも多いと思いますので、お待ちしております(笑)。


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(増田 覚)

2011/11/7 16:00