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営業利益倍増掲げるヤフー、全社員にiPhone/iPad配布、社内番付・黒帯制度も

第1四半期決算説明会で宮坂社長が方針


 ヤフー株式会社は25日、2013年3月期第1四半期(2012年4〜6月)の連結決算を発表した。売上高が775億9600万円(前年同期比8.0%増)、営業利益が421億5800万円(同8.6%増)、経常利益が427億7100万円(同8.8%増)、四半期純利益が250億9400万円(同7.6%増)。

子会社ファーストサーバのデータ消失事故で特損を計上

 なお、当期は特別損失として13億3900万円を計上しており、前年同期の1億1400万円から大幅に増加した。その主な内容は、連結子会社であるファーストサーバ株式会社で発生したデータ消失事故の費用。ヤフーによると、被害に遭った顧客企業に対して規定の上限となる損害賠償額をファーストサーバから支払っており、その合計が約7億円に上るとしている。

 25日に行われた決算説明会でヤフーの宮坂学代表取締役社長は、アナリストからの質問に応じるかたちでこの事故について言及。ファーストサーバは別会社ではあるものの、ヤフーが親会社として支援できる部分では事故対応のアドバイスなどをかなり行っているほか、現状では顧客企業ときちんと話し合いをすることを重視しているとした。また、第三者委員会により事故の原因を究明し、その対策についてとりまとめた報告を広く公開することで、業界における事故防止などにも貢献したいとした。

201X年の営業利益倍増へ向けた3つの方針

 決算説明会において宮坂社長は、ヤフーの営業利益を倍増するための戦略についても説明。その目標に向けた「Only1戦略」「最強タッグ」「未踏領域への挑戦」という3つの方針を示した。なお、ヤフーの前期(2012年3月期)における営業利益は1650億円だった。これを「201X年3月期」に2倍に増加させるのだという。

 まず「Only1戦略」は、「Yahoo!オークション」や「Yahoo!ニュース」などのYahoo! JAPAN自身のNo.1サービスのほか、「mobage」「クックパッド」といった他社によるNo.1サービスと提携したコンテンツにより、「Only1サービスのポータルサイト」を目指すものだ。そのために、多数あるYahoo! JAPANのサービスを再編・統廃合するとともに、「トップ20」のサービスに対してリソースを重点的に配分する。宮坂社長によると、トラフィックでも売上でも、その4分の3以上をトップ20のサービスが生み出しているという。

 具体的には、約150あるというサービスを重要度などに応じて5段階に番付化する。トップ5以上のサービスが「Y!1」となって最優先され、トップ20以上が「Y!2」として優先される。トップ21以下は「Y!3」として、ヘビーユーザー率の高いサービスのみ継続。市場シェアの低いサービスは「Y!4」となり、終了または再編する。さらにその下には挑戦(チャレンジ)を表す「Y!C」があり、社内リソースを活用して新規サービスに取り組む。Y!Cに関しては、社内で毎月1日に「ハックデイ」を実施しており、新たな企画を積極的に募る。

 なお、この番付は固定されたものではなく、常時評価しながらランク入れ替えを行う。これによって社内に健全な競争環境を作り、より強力なサービスを提供していく考えだ。最近のトップ20の取り組みの事例としては、「Yahoo!ニュース BUSINESS」「MLB.jp」「Yahoo!お見合い」を挙げた。

Yahoo! JAPANのサービスの“番付制度”の概要(第1四半期決算説明会資料より)

 次に「最強タッグ」は、各業種でのNo.1企業とのタッグによる取り組みで、オフィス用品デリバリーサービスでNo.1だというアスクルとの連携サービスを年内に開始予定。また、「Tポイント」でオフラインポイントサービスNo.1のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)との連携を来春開始。このほか、スマートフォンでNo.1だとするソフトバンクとの連携による、オンラインから店頭への大規模集客施策「ウルトラ集客(予定)」も紹介した。

 「未踏領域への挑戦」としては、東日本大震災の復興支援活動として、被災地の企業の商品をネット通販するためのプロジェクト「復興デパートメント」や、復興支援活動の拠点となる「ヤフー石巻復興ベース」の設立(ヤフーの仙台事務所を石巻に移転)などを挙げたほか、海外への「プロジェクトDEJIMA(出島)」について説明した。

 プロジェクトDEJIMAでは、ソフトバンクキャピタルと連携してニューヨークに駐在員を派遣。ソフトバンクキャピタルの投資先や投資先候補に対して、ヤフーとの連携や日本進出時のジョイントベンチャー創設を提案する。宮坂社長は「海外企業との提携で第二のYahoo! JAPANを作る」と表現。明確な売上が見えている事業ではないが、じっくり腰を据えて取り組みたいとした。

スマホファースト〜社内の業務もパッドのリズムで

 決算説明会ではこのほか、Yahoo! JAPANのスマートフォン向けサービス/スマートフォン対応を重視する姿勢を示した「スマホファースト」の取り組みの進ちょく状況も説明した。スマートフォン版Yahoo! JAPANのデイリーユニークブラウザー数(DUB)は、4〜6月の四半期平均で1335万となっており、前年同期の446万から大きく増した(画面サイズが7インチ未満のスマートフォンが対象、iPadやAndroidタブレットは含まず)。また、Yahoo! JAPANが提供しているアプリの数は100種類以上に上り、iOS向けとAndroid向けアプリのダウンロード数は累計で約3000万件になるとした。

 宮坂社長はスマホファーストに関連して、これからはパッドのリズムで業務をこなし、コンテンツを生み出してほしいとして、今期中に社員全員にiPhoneとiPadを配布することも明らかにした。さらに開発部門を強化するために、優秀なエンジニアを採用するとともに、「黒帯制度」という表彰制度を開始することも発表した。

 アナリストからはこのほか、米Yahoo!のCEOに、元Googleの著名幹部であるMarissa Mayer氏が就いたことに関連し、米Yahoo!とYahoo! JAPANとの関係の変化をたずねる質問もあった。これに対して宮坂社長は、「メールのやりとりをちょっとしたぐらい。まだ特に何かあるわけではない。マネジメントを楽しみにしている」とコメントした。


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(永沢 茂)

2012/7/25 20:35