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違法ダウンロードの心配なし、正規配信示す「エルマーク」発行先は1493サイト


 一般社団法人日本レコード協会(RIAJ)は28日、正規の音楽・映像配信サイトであることを示す「エルマーク」の発行先をとりまとめた。同日時点で260社/1493サイトがリストアップされている。

 エルマークは、正規に許諾を受けて音楽・映像を配信しているサイトであることを、利用者が識別できるように表示するマーク。2008年2月に運用を開始した。音楽のダウンロード販売サイト、レコード会社のプロモーションサイト、アーティストの公式ホームページ、映画などのストリーミング動画配信サイト、アニメサイトなどが対象となっている。具体的には、サイトのトップページやダウンロード・購入決済ページ、再生画面などに表示される。

「エルマーク」

 RIAJはこれまでも月次で発行先リストをまとめ、エルマークのウェブサイトで公表していたが、10月1日に改正著作権法が一部施行されるのを前に広く認知を促すため、今回、報道発表を行ったかたちだ。

 著作権法ではすでに2009年の改正(施行は2010年1月1日)で、違法にアップロードされた音楽・映像(録音・録画物)と知りながらそれらをダウンロードする行為を、私的複製として認める範囲から除外し、罰則なしで禁止していた(いわゆる“ダウンロード違法化”)。さらに今回の改正で、そのうち有償著作物の違法ダウンロードに刑事罰(2年以下の懲役または200万円以下の罰金、あるいは併科)が設定されたことが背景にある(いわゆる“違法ダウンロード刑罰化”)。

 こうした著作権法改正を巡る議論では、インターネットで配信されている音楽・映像が果たして違法に配信されているものなのかどうか、ユーザーにとってわかりにくいという指摘もあり、そのような判断が難しい行為を対象として違法化、さらには刑罰化する法律改正には反対意見も根強い。とはいえ、すでに改正された以上、インターネットユーザーは違法ダウンロードを行ってしまわないようにするために、違法配信サイトなのか合法配信サイトなのかを見分けながら行動する必要に迫られることになる。

 RIAJでは、「ユーザーは、このエルマークを確認することにより、正規の音楽や映像の配信であることを識別することができ、安心して利用いただける」としている。

 9月28日現在のエルマーク発行先リストは、計18ページのPDFファイルで公開されており、管理番号(RIAJ+数字8桁)、サイト名称、サイトURL、申請者(国内の事業者名)を一覧できる。ただし、アプリ展開のみのためにURLがないサービスもあるほか、表示準備中でまだマークを確認できないサイトも一部あるとしている。「Amazon MP3」など、URLが「未定」となっているサービスもある。

 なお、エルマークは、レコード会社や映像製作会社との契約によって配信されているレコード(CD)音源や映像などに表示されるもので、それ以外のコンテンツは原則として対象になっていないという。従って、エルマークの表示がないことをもって、必ずしも違法配信コンテンツだとは言えないとしている。

日本レコード協会のウェブサイト内にある「エルマーク」のサイト

動画共有サイトのコンテンツは合法? 違法?

 違法ダウンロード刑罰化を求める最近の流れの中では、違法ダウンロード元としては、P2Pファイル共有ソフトや携帯電話向け掲示板などよりも、むしろ動画共有サイトの存在がやり玉に挙がっていたと言える。

 RIAJが2011年3月に公表した「違法配信に関する利用実態調査」では、動画共有サイトやP2Pファイル共有ソフトなどを介して43.6億ファイルもの音楽・映像が不正にダウンロードされていると推定(違法アップロードされたファイルのダウンロードのほか、閲覧のみ許可されている公式ストリーミングサイトなどからの“不正ダウンロード”を含む)。正規音楽配信の販売価格に換算すると、6683億円に上るとしている。

 あわせて、違法ファイルのダウンロードの利用率として、P2Pファイル共有ソフト(5.0%)や携帯電話向け掲示板サイト(9.4%)よりも、動画配信サイト(29.6%)が高かったことを指摘していた。

 しかしながら現行のエルマーク制度では、合法・違法が混在する動画共有サイトにおいて、ユーザーがこれを識別できるようにすることができない。確かに、動画共有サイトのサービスはストリーミング視聴を想定しており、例えばYouTubeでは現在はダウンロードをサポートしていない。そのため、ユーザーが違法ダウンロードを回避するという観点からは、動画共有サイトにおいて合法・違法を区別できるようにする措置は必要ないという考え方も当然ながら成り立つ。

 一方でエルマークは現在、ダウンロードサイトだけでなく、前述のようにストリーミング動画配信サイトなどにも対象が拡大している。そうした運用を踏まえれば、ストリーミング視聴が想定されている動画共有サイトであっても、同様に識別できるようになるのがユーザーにとって自然だ。

 実際、最近では動画共有サイトに公式チャンネルを開設してコンテンツを配信する事業者も珍しくはなくなってきている。また、明示的に許諾されていれば、ダウンロードが認められるサービスもあるようだ。今後、動画共有サイトの規約でダウンロードが禁止されているかどうかにかかわらず、何らかのかたちでエルマークを動画共有サイトを対象に運用していくことも求められそうだ。


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(永沢 茂)

2012/9/28 20:58