ヤフー、第2四半期も対前年で増収増益。決済・金融事業の強化拡大へ


 ヤフー株式会社は24日、2013年6月期第2四半期(2012年7~9月)の連結決算を発表した。売上高が787億8600万円(前年同期比6.8%増)、営業利益が432億8900万円(同6.7%増)、経常利益が439億6300万円(同7.2%増)、四半期純利益が271億2800万円(同11.8%増)。

 第2四半期の売上高構成では、マーケティングソリューション事業が533億円で前年同期比10.4%増、コンシューマ事業が252億円で同2.8%増。新たに今期から金融事業などを「その他」として別に切り出して集計。「その他」事業については前年同期比6.9%増となった。

 広告関連の売上高は448億円で、同社売上の約57%を占め、前年同期比で43億円のプラス、率では10.7%増となった。ヤフー社長兼CEOの宮坂 学氏は、「リスティング広告は14.8%増と好調で、中でもスマートフォン向けリスティング広告が伸長した」と述べた。

 一方で、前年同期比0.9%増と伸び悩んだディスプレイ広告については、「広告のリッチ化、ソーシャル化などでテコ入れしたい」としたが、「ディスプレイ広告はブランディング広告としてなくなることはないと考えているが、景況感の影響を受けやすい。下半期には伸長するとか、そういった短期スパンで市場が拡大するとは考えていない」とコメント、当面は現状維持を考えているとした。

 宮坂氏は金融や決済サービス事業について、「Eコマースに付随するような形で自社サービスのためのシステムとして運営してきたが、他社も含め通用するようなサービスにしたい。決済はヤフーの証券窓口や保険などいろいろな商品・サービスを扱っているので、そちらの方でもっとチャンスがあるのではないかと思っている。1.1兆円のコンシューマ決済があるので、Tポイントとの提携を資本提携を含めて展開していきたい。“スマホファースト”で、シンプルに使えて、ユーザー視点でもっともポイントが貯まるサービスにしていきたい」と述べ、金融や決済を事業の柱に育てていく考えを示した。
 
 金融分野では、国内の新興企業への投資事業を行なう国内投資ファンド「YJキャピタル」をヤフー100%出資で設立している。

四半期売上高推移四半期売上高構成決済・金融事業の強化

 中期ビジョンとしては、「201x年に売上高2倍」の目標を掲げ、「これを実現するには11%程度の成長率を維持する必要がある。現在は11%より下振れしているが、達成できるよう施策を練っていく」とした。

 また、3つの戦略として(1)Only 1 戦略、(2)最強タッグ、(3)未踏領域への挑戦を挙げた。サービスの選択と集中のため、社内リソースの再編、統廃合を行ない、人事制度も10月1日から刷新。

 広告では、Yahoo!JAPANのトップページで9月中旬からリッチアドを導入し、好調な伸びのモバイル広告に注力。Yahoo!オークションでは、本人確認手続きを簡略化し、従来は郵送で確認していたため入会から出品できるまで1週間程度かかっていたが、「モバイル確認」を導入し、入会から1分もかからずに出品できるようになり、出品登録が増えているという。

 「Yahoo!プレミアム」では、スマートフォン向け会員特典を充実させ、会員費を10月1日より330円から380円(いずれも税抜)へ値上げした。プレミアム会員は、ソフトバンクショップ店頭での会員受付登録を開始h。これにより、新規加入数が2倍以上に伸びたとした。

 ファシリティでは、白河データセンターが稼動を開始。災害時にもノンストップで運営できる体制を強化した。

 説明会では「手元資金が豊富なヤフーに対して、スプリント買収が発表されたソフトバンクからの資金援助要請の可能性は」との質問もあった。宮坂氏は、「あくまで独立した上場企業なので、個別に判断していくことになる」として、独立した経営方針の下で判断することを強調しながらも、資金援助の可能性に含みを残した。

 


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(工藤 ひろえ)

2012/10/25 06:00