iOS 6ユーザーに朗報!? 「MapFan」の無料地図アプリ「MapFan+」が登場

有料オプションでVICSやオフライン地図にも対応


 インクリメントP株式会社は19日、iOS 6に対応する地図アプリ「MapFan+」を公開した。App Storeより無料でダウンロードできる。オンラインでの地図表示、地図検索、ルート検索、音声ガイド付きナビゲーションなどの機能が提供される。

 さらに有料オプション機能として、VICSの渋滞情報やオフライン地図などの機能も用意している。

「MapFan for iPhone」とほぼ同等の機能をオンラインで無料提供

 インクリメントPのiOS向け地図アプリとしては、端末に地図データを格納しておき、オフラインでも利用できるタイプの「MapFan for iPhone」が2300円で販売されている。今回公開したMapFan+は、このMapFan for iPhoneとほぼ同等の機能を、オンラインではあるが無料で使えるアプリだ。テレビ番組で紹介されたスポットの検索など一部の機能は省かれたが、表示される地図は同一だという。オフライン環境では使えないわけだが、通常の利用方法であればオンライン環境で十分に使えるだろう。逆に巨大な地図データでストレージを食わない分、オンライン地図アプリの方がありがたいかもしれない。

 地図は、住所や施設名、駅名、電話番号、郵便番号のフリーワード入力または住所の階層をたどって検索が可能。周辺スポットは、駅、銀行、ガソリンスタンド、駐車場などさまざまなジャンルで検索できるほか、これらのジャンルを横断した串刺し検索も行える。

 ルート検索は、「高速(有料)道路利用」「高速(有料)道路回避」「簡易歩行者/自転車」の3種類が指定可能で、所要時間、到着予想時刻、距離、料金も確認できる。自動車用ルート案内では、走行中のリルートにも対応。方向看板やレーン情報も表示される。音声ナビゲーションは英語音声も選択可能だ。

ルート検索結果画面ナビゲーション画面

 このほか、Twitterやメールで位置情報をシェアするための機能もあり、待ち合わせの場所などを、コメントや画像を添付して相手に伝えられる。ナビゲーションで目的地に到着した時にもシェアアイコンが表示されるため、到着したことを簡単に報告できるとしている。

 MapFan+はユニバーサルアプリとなっており、iPadの大画面向けにもユーザーインターフェイスなどを最適化した。現時点での公式な対応機種は、iPhone 4S/4、第4世代iPod touch、iPad 2/第3世代iPadとなっているが、iPhone 5および第5世代iPod touchの4インチスクリーンとiPad miniでも動作確認済みだという。

iPad向け地図画面(横位置)

iPad向けルート検索結果画面(縦位置)

iPad向けナビゲーション画面(横位置)

 iOS 6で「Google マップ」に代わって提供が開始されたApple製「マップ」アプリは、表示される情報の誤りや不足といった不備が多々指摘されているのは周知の通り。Apple自身がこれを認めて謝罪し、他社製の地図アプリを勧める事態にまでなっている。その一方で、地図の回転や拡大・縮小がスムーズに行え、拡大表示も美しいベクター方式を採用しているという特徴がある。MapFan+もこうしたメリットを備えたベクター方式の地図であり、無料アプリとして利用できるのは日本のiOS 6ユーザーにとって朗報と言えそうだ。

 なお、公式に発表されてはいないが、インクリメントPが日本の地図データをAppleに提供していることがコピーライト表記などから知られている。もちろん、MapFan+にも自社の地図データを用いており、Appleと同じ地図データという意味ではMapFan+の品質に不安を持たれる人がもしかしたらいるかもしれないが、同社の地図データ自体は以前よりカーナビ専用機にも供給されている実績のあるものだ。また、表示についても、同社が10年以上も前から提供している「MapFan」シリーズのPCソフトや地図サイトと同様、ランドマークや鉄道路線・駅の表示・情報など、日本の利用スタイルに合わせた分かりやすい地図デザインを継承している。

 さらにMapFan+では細かな改良も施した。注記(施設名や住所など、地図上に記載される文字情報)をふちどりすることで、文字が重なるような注記の多い場所でも読みやすいよう配慮した。また、注記の文字サイズは、従来の2段階から、さらに小さいサイズを追加した3段階から設定できるようにした。

iPad向け地図画面(縦位置)

有料オプションでオフライン地図として使用可能、オンデマンドVICSも

 さらにMapFan+では、有料オプション機能をアプリ内課金で提供する。これには、地図データのダウンロード、渋滞情報、駐車場の満空情報が含まれる。料金は、30日間450円、180日間1800円、365日間2950円。

 有料オプションを使えば、MapFan for iPhoneと同じように、地図データをダウンロードして端末内に格納しておくことが可能だ。通信状態の悪い環境でも地図を利用できるほか、オンライン表示に比べて地図の表示やスクロールなどが速くなり操作がより快適になるという。オンライン地図とオフライン地図を手動で切り替えて使用することも可能だ。ダウンロード用地図データは年4回程度の更新、オンライン地図のデータはサーバー側で逐次更新である点などを踏まえ、利用シーンに応じて使い分けられる。ただし、オフラインでの住所検索・駅検索には対応していない。

 MapFan for iPhoneからの改善点として、地図データをアプリ本体から分離するとともに、全国6地域に分割したことが挙げられる。MapFan for iPhoneでは地図データが一体化しており、アプリ容量は1.9GBに達する。インストール時の空き容量も4GB以上必要だったため、地図の更新などによるアップデートの際にもネックとなっていた。

 これに対してMapFan+は、無料で提供されるアプリ本体は24MB程度。これに必要な地域の地図データだけをダウンロードすれば、容量を最小限に抑えられる。地図データの容量は、北海道・東北が約300MB、関東が約550MB、中部が約450MB、近畿が約370MB、中国・四国が約300MB、九州・沖縄が約300MB。

 地域別の地図データには、各地域の詳細地図が含まれるほか、いずれの地域のデータでも全国の広域地図が付属する。広域地図では家形(家屋の輪郭)までは表示されないが、道路地図としては十分に使えるレベルまで拡大できるため、ダウンロードしていない地域でも自動車のルート案内程度であれば十分に実用的だとしている。なお、6地域の地図データをすべてダウンロードした場合の総容量は、重複する広域地図が除かれるため約1.7GBとなる。

広域地図データでここまで拡大できる家形が表示されるこのレベルから先は、詳細地図データとなる

 ダウンロード済みの地図データは、課金期間が終了した後も継続して使用することが可能だ。ただし地図の更新はされないため、新しい道路や施設の情報は反映されないままで使い続けることになる。

 有料オプションではこのほか、渋滞情報が提供されるが、これはMapFan for iPhoneでは対応していなかった機能だ。オンデマンドVICSを利用したリアルタイム渋滞情報、規制情報、SA/PAの混雑状況が表示されるほか、渋滞を考慮したルート検索が可能になる。

 MapFan+の公開を記念し、11月26日までの期間限定で、オフライン地図の無料体験ダウンロードキャンペーンを実施する。全国の地図データを無料でダウンロードできるため、オフライン環境で地図を利用できるメリットを体験できるとしている。

渋滞情報駐車場情報

 インクリメントPでは、MapFan+を、MapFan for iPhoneの後継アプリとして位置付けており、MapFan for iPhoneの販売を2013年5月末で終了予定。それまでMapFan for iPhoneの販売は継続するものの、今後はユーザーに対してMapFan+の利用を勧めていくスタンスだ。さらにMapFan for iPhoneの販売終了から1年後に、同アプリのサポートおよびオンライン機能の提供も終了する予定だ。


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(永沢 茂)

2012/11/19 14:54