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心に刺さった名言を共有、実名制ソーシャル読書サービス「Booklap」

 株式会社 Prosbeeは17日、本の中の心に残ったフレーズを共有するソーシャル読書サービス「Booklap」を公開した。利用するにはFacebookによるログインが必要。

Booklap

 自分が読んだ本で感動したり、覚えておきたいフレーズを共有できるサービス。フレーズを投稿するにはまず、Booklapでキーワード検索してから、該当する本を選択。その上でページ数やフレーズ、フレーズに対する感想(任意)を入力する。

 Booklapユーザーの全投稿は「ビジネス・経済」「趣味・実用」「コンピュータ・IT」といったカテゴリーごとに閲覧できるほか、Booklap上でフォローしたり、同じ本を読んだユーザーの投稿、「お気に入り」に登録された件数の多い投稿を閲覧することも可能だ。

 Booklapの開発にあたっては、本で惹かれたページの端を折る「ドッグイヤー」や、フレーズにマーカーや付箋を貼るといった本好きの行動に着目。これらの行動をオンラインで共有することで読書体験向上を図りたかったという。

 すべての投稿には投稿者の氏名やフレーズの引用元を表記し、「著作権に配慮したサイト構造にした」と、Prosbeeの笠井レオ代表取締役CEOは語る。

 「僕たちが何より意識しているのは、『本を売れる仕組み』を作ること。本が売れるためには、既存の匿名性のレビューや本の要約ではなく、誰かが気に入ったフレーズから新しい本との出会いを提供できると思っている。僕自身もBooklapの投稿がきっかけで、尊敬する起業家が読んだ本を“課題図書”として買っている」。

 共同創業者でサイトデザインを担当する現役大学生の池田知晶氏も、「Facebookによるログインで実名制を担保したデータを持っているのが強み」と語る。「誰がこの本のどこに感動したのか」という点を可視化することで、匿名のレビューサイトでは実現しなかった「新たな本の出会い」を提供できるという。

目指すはクックパッド流データベースビジネス

共同創業者の笠井レオ氏(左)と池田知晶氏

 Prosbeeは、1992年生まれの笠井氏が5月に設立した学生ベンチャー。現在休学中だが、在学中は講義ノートの共有サービスを開発したり、14歳の時にはスペインのサッカーチーム「レアルマドリード」下部組織に所属するなど異色の経歴の持ち主だ。

 ノートの共有サービスでは、講義1回分のノートを300円でダウンロード販売し、150円を投稿者に還元する“ビジネスモデル”を考案。しかし、「教授に著作権の問題を指摘されて」(笠井氏)サービス開始後2日で閉鎖したが、約5000人が登録したのだという。

 「ノートの共有サービスの反響が大きくて、(シードマネーを調達した)インキュベイトファンドの和田圭祐さんと会うことができた。その中で、ノートの共有がダメでも、印象に残った本の言葉の共有ならいけると考えるようになった。」

 その後、5月にクローズドベータサービスを開始。現在は300人が登録し、書籍登録数およびフレーズの投稿数はともに約1300件に上る。

 現在の主な収益元は、Amazon.co.jpや楽天ブックスのアフィリエイト。今後は、Booklap上に投稿されたフレーズのデータをKindleやKoboなどの電子書籍プラットフォームに提供するデータベース事業も視野に入れている。

 「とにかく今はデータベースを充実させて読書体験を向上させたい。クックパッドはお金と時間をかけてレシピを集めたが、今ではそれがすごい価値になっている。Booklapはそんなクックパッド流データベースビジネスを目指したい。」

 2013年1月末には、カメラで撮影したフレーズをデジタル化できるiPhoneアプリをリリースする。アップロードしたデータは最終的にオペレーターが手作業でテキスト化する体制を用意する予定だ。

 また、現時点で登録したフレーズはすべて公開される仕様となっているが、今後はフレーズ単位で公開・非公開を選べる機能の導入も検討する。2013年末までに書籍登録数1000万冊、フレーズ投稿数100万件を目指す。

(増田 覚)