イベントレポート

CEATEC 2025

万博で人気の「人間洗濯機」も(一部)体験可能、スマートホームをまとめて制御するアプリをエディオンや積水ハウスなどがアピール

「くらしのDXパビリオン」レポート

くらしのDXパビリオンにはエディオンやヤマダデンキといった家電量販店や、ハウスメーカー、スマートホーム関連企業や団体が集まった

 家電の見本市と見られる時代もあったCEATEC。家電の新製品そのものの展示はほぼ姿を消したが、スマートホームの提案では「くらしのDXパビリオン」において製品そのものよりも製品を使った新しい生活シーンの提案などを行っている。

 パビリオンに参加した出展者は、家電量販店のエディオンのほか、家電の販売ではなく新築やリフォームを訴求したヤマダホームズ(ヤマダデンキ)、住宅メーカーの積水ハウス、スマートホーム機器を扱うAqaraといった企業のほか、エコーネットコンソーシアムのような業界団体など。

万博で注目の「人間洗濯機」を自宅に導入?体験も可能

 新しい生活の提案で注目されたのは、ヤマダデンキやヤマダホームズですでに取り扱っているサイエンスのミラバスとミラブル。これは、大阪・関西万博で注目された「ミライ人間洗濯機」の一般向けとも言えるもので、マイクロバブルを発生させて洗剤なしに汚れを分離させるもの。

 ミラバスは既存の浴槽に改造して取り付け、ミラブルはシャワーヘッドをミラブルに交換し、マイクロバブルの効果を得る。ミラバスではミライ人間洗濯機と違って浴槽に浸かっていない首から上には効果がないが、ミラブルと併用することでミライ人間洗濯機と同等の効果を得ることもできるとしている。

 ブースでは、ミラブルの実演のほか、ミラバスでは実際に人間を入浴させ、油性ペンで皮膚に書いたインクが落ちるデモを行い、多くの人を集めている。

サイエンスのミラバス。パネルは大阪・関西万博で展示したミライ人間洗濯機の市販モデル
ミラバスはマイクロバブルの力で洗浄するため、スイッチオンするとマイクロバブルで水が白くなってくる
モデルさんの手に油性ペンで「汚れ」を付ける
マイクロバブルの湯に浸す
10分ほどたって擦ってみる……
洗剤なしでここまで落ちた。ちなみにモデルさんは今日2回目のデモのため、最初のデモで皮脂が落ちてしまい、その状態で油性ペンを塗ったため、汚れは落ちにくい状態。1回目ならもっと落ちたという

 ミラバスについては、実際に手を入れて体験できるコーナーも用意。時間は2分ほどかかるが、実際に汚れが落ちる体験ができる。

ミラバスの体験コーナー。この水槽に2分ほど手を入れると、汚れの落ちや、手のしっとり感を体験できる
手を入れているところ

 ヤマダデンキとヤマダホームズのブースでは、新しい生活に活用できる製品を利用シーンとともに展示している。

各社のスマート家電をまとめて操作できる「エディオンスマートアプリ」を出展コスパ重視のスマート家電も

 家電量販店としてはエディオンが同社の「エディオンスマートアプリ」を軸に展示、メーカーの垣根を超え、スマート家電を1つのアプリから操作できる。これは、対応する製品であれば操作する家電製品をエディオンで購入したかどうかに関係なく利用できる。

エディオンのブース
エディオンスマートアプリの展示。画面はスマートフォン画面をそのままミラーリングして表示している

 エディオンスマートアプリで連携する家電はECHONET Lite Web APIに準拠したものとなる。エディオンではアプリを通じて、家電の利用体験の向上や、見守り、地方自治体とデータ連携で防災モデル構築などを実現する。さらに取得データなどで地域のエアコン利用率が上がったとき、熱中症防止から利用を促すプッシュ通知を送るなどの機能を提供する。

見守りや防災モデルの構築といった狙いがある
三菱電機、東芝ライフスタイル、シャープとメーカーはばらばらだがエディオンスマートアプリから操作可能
ダイキンのエアコンや日立の洗濯機も操作可能。奥にあるのは11月発売予定のPB商品の洗濯機。エディオンスマートアプリに対応する

 エディオンでは、実店舗でアプリを軸にスマートホームの提案をしていくほか、アプリに対応するPB商品を独自ブランドの「e angle(イー アングル)」で導入する。一般的にスマート家電は上位機種から設定されることが多いが、11月に発売予定の洗濯機は容量が8kg、洗剤自動投入などの機能があり6万円前後の価格を実現する「タイパ/コスパ重視モデル」になるという。

 ブースでは「エディオンスマートアプリ」を展示し、各社の製品を制御することを体験できるようにしていた。

家の見取り図をもとにスマートホームを操作する積水ハウス「PLATFORM HOUSE touch」

 住宅メーカーの積水ハウスは、家の図面と機能を結び付けたアプリサービス「PLATFORM HOUSE touch(プラットフォームハウスタッチ)」とリビング空間を設置して体験ができるようにしていた。

積水ハウスのブース

 アプリ上に家の間取りの図面を表示し、照明、エアコン、鍵といった操作する機器の位置が分かり操作しやすくなっている。一般的なスマートホーム機器では、機器の名称や部屋の名称の設定はできるが、間取り図面と一緒に表示する機能はない。建築時からスマートホーム機器を組み込める住宅メーカーならではの機能と言えよう。

PLATFORM HOUSE touchのアプリで家を表示させたところ。図面上にスマート機器を配置して、どこの何を操作するかが分かりやすい
ブースの壁面にはPLATFORM HOUSE touchの導入について書かれている
PLATFORM HOUSE で集めたデータはサービスとして「お返し」する

 なお、PLATFORM HOUSE touchはすでに提供しているサービスで、積水ハウスで立てた戸建て住宅限定のサービス。現在のところ新築ユーザーの3割程度が導入しているとのことだ。

「スマートホーム」テーマの出展が多数、LIXIL「Life Assist2」やアクセスのアバターなどMatterは開発環境も紹介

 パビリオンでは、そのほかにもスマートホーム機器のAqaraをはじめスマートホーム関連の企業や団体も出展した。統一規格のMatterのブースでは対応機器のほかMatter機器の開発環境も展示されたほか、経産省らが進めるIoT向けセキュリティ制度「JC-STAR」も出展してアピール。さらに、パビリオンに隣接してLIXILもブースを構え、スマートホームシステム「Life Assist2」などスマート機器を訴求している。

スマートホーム機器のAqaraのブースはパビリオン内に設置。Aqara製品はすでに家電量販店などで売られている
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)と経済産業省によるJC-STARのブース。JC-STARを取得したスマート家電やネットワーク機器が展示されている
Matterのコーナー
Matterで制御できる機器
Matterの開発環境も展示されている
スマートホームの中の組み込みソフトウェアなどのプラットフォームを作るアクセスのブース
アクセスのブースにあったスマートホーム向けのAIアバター。スマートホームによって得られた情報を元にユーザーに語りかけてくれる
パビリオン内ではないが、隣接した場所にLIXILのブースがあり、スマートホーム機器や設備を展示
LIXILのスマート宅配ポスト。投入がわかったり遠隔で扉を解錠するなどのことが可能