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テレビ周波数帯を利用する中距離無線「IEEE 802.22」、NICTが実証実験に成功

 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)と株式会社日立国際電気、株式会社アイ・エス・ビーは23日、テレビ放送周波数帯のホワイトスペースを使った中距離地域無線の国際規格「IEEE 802.22」に準拠した基地局装置と加入者局装置の開発および実証実験に、世界で初めて成功したと発表した。

 IEEE 802.22は、放送用などに既に用いられている周波数帯において、地理的・時間的な条件などにより他の目的にも使用できる「ホワイトスペース」を活用し、無線LANとは異なる中長距離での利用を想定した通信規格。

 NICTと日立国際電気では、IEEE 802.22に準拠した物理層(PHY)およびメディアアクセス制御層(MAC)を搭載した、中距離伝送可能な地域無線システムの基地局装置と加入者局装置を世界で初めて開発。装置は、IEEE 802.22の利用モデルとして想定されていた半径10~40km程度の距離の通信エリアにおいて、最大20Mbps前後の通信速度を提供する。

 装置には、日立国際電気が開発した装置に、NICTが開発したMAC層ソフト、干渉回避用ソフト、IP通信用ソフトを実装。また、アイ・エス・ビーが提供する、一次利用者と二次利用者の干渉を計算して利用可能な周波数を通信機に知らせるホワイトスペースデータベースに接続し、テレビ放送周波数帯(410MHz~710MHz)において、一次利用者に影響を与えない周波数を自動的に選択。IPを用いて無線通信を行うことができることを実証した。

 NICT、日立国際電気、アイ・エス・ビーは、現在、IEEE 802.22標準化の主要メンバーであり、引き続き技術のさらなる拡張を想定して国際標準化活動を推進していくとともに、ホワイトスペース無線通信システムの業界標準規格・相互認証を行うホワイトスペースアライアンスと強調し、商用化に向けた無線機開発を進めていくとしている。

(三柳 英樹)