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テレビ放送帯のホワイトスペースで通信できるAndroidタブレット、NICTが開発

 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は27日、テレビ放送帯(470~710MHz)のホワイトスペースで通信可能なタブレット端末を開発したと発表した。

 市販のAndroid 2.3搭載10.1インチタブレットに、周波数変換装置を追加実装。IEEE 802.11b/gの2.4GHz帯をUHF帯に周波数変換することで、テレビ放送帯のホワイトスペースでも無線LAN通信できるようにした。すでにNICTで開発済みのホワイトスペース用無線LAN基地局に接続することで、インターネットにアクセスできる。

今回開発したタブレット端末(左)と、以前開発した据え置き型基地局(右)
今回開発したタブレット端末の内部構成

 通常の2.4GHz帯無線LANや3G回線にも対応しており、トラフィック量などに応じて、使用する周波数帯を自動的に切り替え可能。ホワイトスペースで通信するにあたっては、同じくNICTが開発した「ホワイトスペースデータベース」に対して利用可能な周波数を問い合わせるようになっており、テレビ放送に干渉しないような運用が可能だという。GPS位置情報や地形情報などが考慮されるほか、場所・時間の状況によりタブレットからの出力レベルを制御する機能も備える。

ホワイトスペースで運用する際のネットワーク構成例

 NICTでは、携帯型のタブレット端末によるホワイトスペース利用が可能になれば、据え置き型機器による固定地点間通信だけでなくモバイル利用の道も開けるとともに、さらなる周波数資源の有効利用が期待できるとしている。

 ただし、実運用に向けては、テレビ放送への干渉を確実に回避するためのホワイトスペース判定方法の策定が必要だという。NICTでは今後、同タブレット端末を用いた伝搬特性評価などを実施し、技術基準・制度の設計に役立てたいとしている。

(永沢 茂)