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お手本は中国タオバオ、ストア増のYahoo!ショッピング、API公開を積極化
(2014/3/14 13:07)
ヤフー株式会社は13日、「Yahoo!ショッピング デベロッパーミーティング2014」を開催した。各種手数料の無料化によって出店者の急増が予想される「Yahoo!ショッピング」において、出店者をサポートする各種ツールの需要もまた伸びるという観点から、外部開発者へAPIを積極的に公開していくとの方針が示された。
中国タオバオにならってAPI公開を積極化
ヤフーではセミナー前日の12日、Yahoo!ショッピング関連のAPI約50本を公開した。これにより、ヤフーと資本関係のない第三者企業でも、Yahoo!ショッピングの主要機能を容易に利用したり、派生サービスを開発できるようになる。
セミナー冒頭では、ヤフーの小澤隆生氏(執行役員 ショッピングカンパニー長)が登壇し、API公開強化の狙いを説明した。小澤氏によれば、モール型ショッピングサイトにおけるAPI公開は、競合他社も含めてあまり一般化していないという。「重要なサービスはなるべく隠す。重要なツールは、我々(モール運営者)が内部で作る。そういうコンセプトが長らく支配的だった」。
ただし、成功したIT企業の多くは、APIを公開する方向性で動いている。その代表例として小澤氏が挙げたのがFacebookだ。ユーザー情報などをAPI経由で外部企業が利用でき、しかもそれについてFacebook側は課金しない。
Yahoo!ショッピングでは2013年10月の事業改革宣言にあたって、中国最大のeコマースサイトであるタオバオ(淘宝)を参考にした。両サイトとも、外部の出店者(売り手)が複数参画しているモール型のショッピングサイトで、いずれもソフトバンクと資本関係がある。
小澤氏は、淘宝が中国で圧倒的存在感を誇る理由の1つとして、API公開に積極的である点を挙げた。タオバオ社外の独立した開発者が、タオバオのサービスをより効率的に使う派生サービスを開発することで、ショッピングサイトとしての魅力がさらに高まったという。
これを参考に、ヤフーでも外部開発者に対しAPIを広く公開していく。小澤氏は「まずは50本公開した。これからも100本、200本と、必要なものをドンドン公開していく。その大前提で動いていることを開発者を皆さんに知っていただきたい」とアピールした。
また、市場の面でも日本国内のeコマース率は3~4%台で、今後20%前後にまで拡大する余地があるという。「そのためには売り手が増えなければ。Yahoo!ショッピングが出店料やシステム利用料を無料化したのも、そのためだ」
Yahoo!ショッピングでは、各種手数料の無料化発表以降、出店を希望する企業が増加。新規出店希望社(個人を含む)は約9万件で、うち約6万件が実際にオープンした。取り扱い商品点数は手数料無料化後に約3割増加し、3月中に1億点に達する見込みという。
小澤氏は「このように、出店者は増え続けていく。その中で、売り手からも買い手からも新しい要望が出てくる。店が多すぎる、商品が多すぎてどれを選べばいいか分からない……。そこにチャンスが生まれてくる」とし、直接の売り手や買い手ではないプログラム開発者にも恩恵があると強調した。
外部開発者の力を借りて、まずは売り手向け機能を強化
続いて、平田源鐘氏(ショッピングカンパニープロダクション本部長/テクニカルディレクター)からは、API公開の背景について詳細が語られた。
Yahoo!ショッピングの事業改革にあたっては、出店する企業の関係者からヒアリングを行った。商品のレコメンデーション機能を強化したい、リアル店舗の運営が忙しくてネット店舗に手が回らない、ヤフーが持っているデータを元に売れる商品を分析して欲しい、効果の高い広告を選んで買いたい、商品ページが寂しいなど、さまざまな意見が寄せられた。
Yahoo!ショッピングが参考にしたタオバオは、2012年の年間取扱高は約18兆円。2013年11月11日のビッグセール時には、日商約6000億円を記録したという。平田氏は「タオバオの関係者から直接話を聞いたが、これだけの規模を誇る企業でも、すべての出店者の課題を解決させることができていないと悩んでいる。そのために、すべてのシステムをAPIとして公開し、外部開発者の力を借りている」と説明する。現在、タオバオが公開するAPIは400本以上あり、これらを使って開発された出品サポートツールやサービスは約7000種類に上る。
こういった背景を踏まえてYahoo!ショッピングでは、数多くある課題の中から、まず売り手向けのストア機能強化を最優先すべきという判断に至った。そのためにAPIを公開し、外部開発者の参入を促していく。平田氏は「ヤフー社内エンジニアと全く同じ開発環境を、APIやクラウドのオープン化を通じて外部デベロッパーにも使っていただけるようにしたい」と説明する。
3月12日には公開した50本のAPIは、いずれも「商品系」カテゴリーのもので、続く7月には「注文系」のAPIを公開する予定。秋以降には、統計、販促、ユーザー情報、物流に関するAPIも公開したいという。