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訪日外国人の端末、技適なしでも“サクサク”通信可能に!? 制度見直しへ
(2014/6/13 21:10)
総務省は12日、訪日外国人向けの無料Wi-Fi環境などを整備するためのアクションプラン「SAQ2(サクサク) JAPAN Project」を発表した。東京オリンピック/パラリンピックが開催される2020年を見据え、「訪日外国人が我が国の世界最高水準のICTを『サクサク』利用できるよう、選べて(Selectable)、使いやすく(Accessible)、高品質な(Quality)、ICT利用環境を実現することを目指した」という。
アクションプランでは、1)無料Wi-Fiの整備促進と利用円滑化、2)国内発行SIMへの差し替え等によるスマートフォン・携帯電話利用の円滑化、3)国際ローミング料金の低廉化、4)「言葉の壁」をなくす「グローバルコミュニケーション計画」の推進――という4項目を掲げている。
このうち1)と2)については、近年では、訪日外国人の利用を想定した観光地や公共交通機関などの無料Wi-Fiスポットの整備が推進されつつあるほか、モバイル通信サービスにおいても訪日外国人の利用を想定したプリペイド式SIMカードを国際空港で販売するといった事例も一部で出てきた。無料Wi-Fiの利用手続き簡略化などの課題はあるものの、こうした通信サービス側の環境整備は進みつつある。
一方で問題となるのが、訪日外国人が一時的に持ち込むスマートフォンなど、「技適(技術基準適合証明/認定)」マークのない無線機器の取り扱いだ。このマークは、日本の電波法令で定めている技術基準に適合している機器であることを証明するもので、Wi-Fi機器や携帯電話などについては、この認証を受けている機器であればユーザーは無線局の免許が不要で使用できる。
これは、国内で販売された製品でなくとも、例えばグローバルで販売されるiPhoneなどは各国の技術基準の認証を受けた上でリリースされるため、日本で使用して問題はない。
一方、認証を受けていない機器は、たとえ国内製品と技術的には同じ無線規格の製品であっても、使用するにはユーザーが免許を取得する必要がある。通常、訪日外国人がいちいち持ち込み端末の免許を取得申請することは考えにくく、また、Wi-Fiなどでは特に機能面では問題なく通信できてしまうため、そのまま使用してしまっていることも考えられる。その場合、制度上は法令違反に該当するのが現状だ。
今回のアクションプランでは、こうした訪日外国人の“技適なし”端末の取り扱いについて検討し、総務省の「電波政策ビジョン懇談会」の議論も踏まえながら、2014年度中に結論を出すこととしている。
同懇談会でも、9日に公表した「中間とりまとめ(案)」においてこの問題について言及。「国内電波利用環境を維持しつつ円滑な利用が可能となるよう、制度整備に向けて検討を行うことが適当」と述べている。
具体的な解決策は今後の検討になるが、他の無線システムに重大な影響を与える可能性の低いWi-Fiなどについては、訪日外国人が持ち込み端末を使用したとしても法令違反とならないような方向で制度見直しが進むものとみられる。