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当たり前の簡単さを追究した「やよいの青色申告 オンライン」

クラウド連携が強化された「弥生 15 シリーズ」も

 弥生株式会社は16日、青色申告向けのクラウド会計ソフト「やよいの青色申告 オンライン」を同日より提供開始すると発表した。また同時に、クラウドとの連携などを強化した業務ソフトの新版「弥生 15 シリーズ」を10月31日に発売する。

「弥生 15 シリーズ」のパッケージなどを手にする、弥生の代表取締役社長 岡本浩一郎氏

 弥生では、登録ユーザー数が125万を突破したほか、業務ソフトの本数シェアでは57.8%、会計ソフトの本数シェアでは68.0%(いずれも弥生調べ)と、業界の中での存在感は非常に大きなものを持っている。また企業としても、年々売り上げを伸ばしており、特にWindows XPのサポート終了、消費税率の改定といった大きなできごとがあった2014年度(2014年9月期)は、前年から50億円以上の増収を達成する見込み(速報ベース)など、業績は好調だ。

 しかし弥生の代表取締役社長 岡本浩一郎氏によれば、「何が何でもやらないといけないのは市場開拓だ」なのだという。それは、まだまだ業務ソフト市場が発展途上だから。岡本社長は提示した会計業務における業務ソフトの普及率(2010年)は、20~99名の企業では60%なのに対し、個人事業主は31%、4名までの法人では29%、5~19名までの法人では34%と、小規模法人を中心に、まだまだ低い数字にとどまってしまっている。

 では、こうした状況に対してできることはないのか。岡本社長によれば、それがクラウドなのだという。クラウドベースのシステムであれば、導入や運用に手間がかからず、必要な時にすぐ使うことができるし、金額面でも初期投資を抑えられるので、利用までのハードルは低い。こうした一般的なクラウドのメリットを踏まえ、岡本社長は「クラウドは目的ではなく手段で、手段としては活用しがいがある。クラウドを手段として、さらなる市場を開拓したい」と述べた。

業務ソフト市場はまだまだ発展途上という
クラウドを利用してさらなる市場開拓を図る

青色申告を簡単に行えるクラウドサービス

 その弥生が提供するクラウドサービスが、「やよいの青色申告 オンライン」である。先行する「やよいの白色申告 オンライン」を土台として開発されており、簿記や会計に関する専門的な知識を必要とせず、誰でもかんたんに帳簿と確定申告書を作成できる。

 具体的には、あらかじめ設定しておいた銀行明細やクレジットカード明細などを自動で取り込み、仕訳する「スマート取引取込」機能を搭載しているので、記帳の手間を省くことが可能。また、手動での入力についても「仕訳ではなく、あくまで取引を入力する『かんたん取引入力』により、簿記・会計の知識のない方でも、迷うことなく使っていける」(岡本社長)とのこと。なお、スマート取引取込機能は、外部アプリケーション/サービスと弥生製品を連携させるYAYOI SMART CONNECTの仕組みを利用している。

スマート取引取込
かんたん取引入力

 また、「難物である確定申告書類の作成についても、画面で聞かれた内容を順番に入力していけば、それで作成できる」そうで、「税金についても、一連の計算を自動で行う。当たり前だと思われるかもしれないが、実はクラウド会計の世界ではそうではない。お客さまが理解されている情報を入力すれば、システムが自動で計算する」(いずれも岡本社長)と、利用にあたってのハードルを低く抑えられるように配慮した。

確定申告書類の作成も簡単に行えるという
帳票やレポートの出力機能も備える

 ラインアップとしては、「やよいの白色申告 オンライン」と同様、電話・メールサポートが付属する「ベーシックプラン」と、サポートを省いた「セルフプラン」、最大2カ月試用できる「無料体験プラン」を用意する。有料版の価格はそれぞれ、年額1万2000円(税別)、年額8000円(税別)。ただし2015年3月16日までの申し込みに対しては、ベーシックプランを年額6000円(税別)、セルフプランを初年度無料で提供するキャンペーンも実施する。

セルフプランでは初年度無料のキャンペーンを実施

 「1月に先行して白色申告 オンラインをリリースしているが、圧倒的に青色申告の方が有利。申請をしていれば白色申告から移行できるので、白色申告 オンラインから青色申告 オンラインへのデータ移行にも対応している」(岡本社長)。

 対応環境は、Windows 8.1/8/7/VistaとMac OS X 10.6以降。

クラウド連携を強化した「弥生 15 シリーズ」

 一方、パッケージソフトの「弥生 15 シリーズ」では、これまで通り「弥生会計 15」「弥生給与 15」「弥生販売 15」「やよいの青色申告 15」「やよいの給与計算 15」「やよいの見積・納品・請求書 15」「やよいの顧客管理 15」の各製品を提供する。

 今回は、弥生のクラウドサービスとの連携が拡大されているのが、もっとも大きな強化点。「弥生会計 15」「やよいの青色申告 15」もYAYOI SMART CONNECTと連携し、スマート取引取込が可能になっているほか、クラウドストレージ「弥生ドライブ」も強化され、「弥生給与」「やよいの見積・納品・請求書」などでもデータ共有の操作性が向上している。

クラウド連携を大きく強化
弥生ドライブの連携対象を増やしている

 また、2015年10月に施行予定の消費税改正に完全対応。現時点での法令から内容が変わったとしても、2015年10月時点で適用される消費税率への完全対応を実施する。なお、製品発売後の法令改正事項については、順次オンラインアップデートでの対応になるとのこと。

 さらに、法人決算書をe-Tax/XBRL形式で出力できるようになったため、他社の法人税申告ソフトで作成した法人税申告書データとあわせ、e-Taxソフト経由で電子申告が可能になる。

新・消費税に完全対応

 「あんしん保守サポート」についても、新たなメニューとして、伝票や帳票の作成、管理方法など一般的な経理業務に関する質問に電話・メールで対応する経理業務相談を新設する。岡本社長はこの狙いについて、「よくある質問に対する回答ではあるが、『弥生に聞ける』という安心感をお客さまに提供したい」と説明した。

 なお「弥生 15 シリーズ」を新規購入し、所定の条件を満たしたユーザーに対し、「あんしん保守サポート」を最大15カ月間無償で提供する“あんしん”キャンペーンは今回も継続するとのこと。

(石井 一志)