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「縦書きWebデザインアワード」結果発表、「京都アニメワールド」が高校生以下の部で最優秀賞
自由部門・課題部門は該当者なし
(2016/3/14 13:56)
縦書きWeb普及委員会は12日、「縦書きWebデザインアワード」の最終審査会と表彰式を東京・秋葉原の秋葉原UDXカンファレンスで開催した。
同アワードは、ウェブにおける縦書きの普及促進を目指し、インターネット上のデザインや表現を多彩にすることを目的に開催。「CSS Writing Modes Level 3」を利用した縦書きウェブサイトを募集した。
個人またはチームでの参加が可能で、制作したサイトをウェブ上に公開して応募。素材を問わない「自由部門」、主催側で用意したテキストおよび画像コンテンツを利用して制作する「課題部門」、自由部門・課題部門に応募した高校生以下の特別枠「高校生以下の部」の3部門で審査が行われた。
最終審査会に先立って、審査員長を務める慶應義塾大学教授・W3C Keio Site Managerの中村修氏があいさつした。中村氏は「縦書きは文化。ITが進んでも文化は捨てたくない」と述べ、ウェブにおける縦書きの重要性を指摘。「現在、ブラウザーベンダー間では縦書きの標準化の議論が最終段階にきているものの、実際に縦書きを使ってもらわないと議論が進まない」とし、同アワードを開催した経緯を語った。そして、「このアワードをきっかけに、ウェブでも縦書きができることを広めていきたい」と述べた。
最終審査会では、まず各部門で1次選考を通過したノミネート作品のプレゼンと質疑応答が実施された。応募期間の1月4日~2月8日に寄せられた応募総数は41作品、そのうち有効作品は39作品で、自由部門7作品、課題部門3作品、高校生以下の部1作品がノミネートされた。自由部門では、企業のコーポレートサイトやランディングページ、電子書籍サイト、ホラーサイトなど、さまざまなジャンルのノミネート作品が紹介された。
プレゼン終了後、別室で5人の審査員が審査し、続いて結果発表と表彰式が行われた。高校生以下の部では、唯一のノミネート作品となった「京都アニメワールド」が最優秀賞を受賞した。同サイトは、京都にあるアニメ作品の“聖地”をタイトルや地図から検索できる縦書きのウェブサイト。プログラミング担当の廣田大地さん、イラスト担当の黒田涼子さんの高校生チームが制作した。
廣田さんはプレゼンで「自分はアニメをきっかけに京都が好きになったが、同じような外国人が多いことが分かった。そこで、外国人にもアニメの聖地の場所が分かりやすい縦書きのサイトを作った」と制作の意図を説明。表彰式で審査員長の中村氏は、「日本語をきれいにデザインとして使っていた。全体的なデザインも良かった」と評価を述べた。同チームには、賞金5万円とトロフィーのほか、副賞として協賛団体の1つであるMozilla JapanよりFirefox OS搭載スマートフォン「Fx0」が贈られた。
課題部門、自由部門は審査の結果、最優秀賞および優秀賞は“該当者なし”で、全ノミネート作品を入賞とすることになった。審査員長の中村氏が「皆さんが一生懸命取り組んでいただけたことは感じたが、自分を含め審査員は満足しなかった。優劣を付ける状況ではない」と理由を説明し、各審査員が総評を述べた。
Mozilla Japan代表理事の瀧田佐登子氏は「ウェブには見る人がいる。ユーザーの立場では、縦書きが使えるようになったウェブの世界がどう変わるのかが見えるような突き抜けた作品に巡り会えなかった」とコメントした。また、グラフィックデザイナーの鷹野雅弘氏は「縦書きが実装できるようになったというだけでなく、次の段階として、より美しく縦書きをデザインし、内容にユーザーが自然と入っていけるような、もう一段階上の作品が見たいと感じた」と述べた。