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「縦書きブラウザー」日本語実装のバグ修正で報奨金、国際標準化に向け

 ウェブブラウザーに縦書きレイアウトを普及させることを目的とした「次世代Webブラウザのテキストレイアウトに関する検討会 電子書籍関連分科会」が、日本語実装のバグを修正した開発者に報奨金を支払う取り組みを行なっている。

 分科会は、電子書籍関連事業を展開する複数の民間企業が参加。現在は、SafariやGoogle Chromeに採用されるオープンソースのレンダリングエンジン「WebKit」などを対象に、縦書きレイアウト実装の国際標準化を進めている。

 今回の取り組みを行う背景について、検討会に参加する担当者は、「オープンソースの世界は人材難で、なかなかバグフィックスが進まなかった」と説明。そこで、運営事務局を務めるNTTソフトウェアが、日本語実装のバグ修正を一般から公募することにしたという。

 調査項目はWebKitのバグやCSSのテストなど合計11項目で、課題抽出のための調査を実施して報告書を提出する。調査過程には、プログラムの実装やテストスイートの作成、これらの標準化団体への登録、レビューアーへのレビュー依頼やレビューへの回答も含まれる。必達条件を満たせば、10〜20万円の報奨金が支払われる。応募期間は2月28日まで。

 必達条件としては、レビューアーによって「レビュー完了」と判定され、最終的なコミットができた状態(W3Cではapproved、WebKitではlandの状態)になっているか、NTTソフトウェアがそれと同等の成果と認めたことが挙げられている。応募者は個人やグループを問わない。詳細は公募要領を参照してほしい。

 現在、ウェブ標準化団体の「W3C」ではHTML5の標準化に向けた作業が進められており、ブラウザーでの日本語の縦書きレイアウトの表示についても、ブラウザーの基本機能となるよう議論が進められている。分科会は2015年を目標に、縦書きレイアウトの国際標準化を目指している。

 縦書きレイアウトがブラウザーに実装される意義についてNTTソフトウェアは、「日本の文化である縦書き表現を継承する観点や、世界に向けた日本語コンテンツの発信を維持・強化する観点から、非常に重要」と説明している。

(増田 覚)