CMPテクノロジー、「Interop Tokyo」などイベント事業を譲渡

新運営会社の藤原社長「Interop本来の役割を強化」


ナノオプト・メディアの藤原洋社長

 ナノオプト・メディアは4日、「Interop Tokyo」などを手掛けるCMPテクノロジージャパンからイベント事業の営業権を引き継ぐと発表した。

 CMPテクノロジージャパンのイベント営業権や関連事業の従業員などはナノオプト・メディアが継承し、ナノオプト・メディアの「F2Fフォーラム事業部」として営業する。これにより、2010年6月に開催する「Interop Tokyo 2010」のほか、2009年8月末開催の「Interop Conference」や、2009年11月開催の「世界天文博」などのイベント運営もナノオプト・メディアが行う。

 ナノオプト・メディアは、産学連携による研究開発型企業ナノオプトニクス・エナジーの子会社として、デジタルメディア事業やサイエンスカフェ事業、出版事業などを展開。今回、CMPテクノロジージャパンのイベント事業を継承することで、情報通信やデジタルメディア関連のイベント事業に進出する。ナノオプトニクス・エナジーおよびナノオプト・メディアの社長は、インターネット総合研究所代表取締役所長の藤原洋氏が務める。

 藤原氏は、「インターネット成功の理由のひとつは産学連携であり、ナノオプトグループはこの成功モデルを他の新しい産業分野にも適用していこうとしている企業。Interopは『Interoperability(相互運用性)』が名前の由来であるように、多くの企業と研究者が参加して『マーケット標準』を作り上げてきた。情報通信分野にとどまらず、放送や自動車など、消費者が必要としている分野にInteropの世界を広めていきたい」とコメントした。

慶應義塾大学の村井純教授

 Interop Tokyo 2010の実行委員長を務める慶應義塾大学教授の村井純氏は、「標準規格の決め方には一般的に、国や国際機関が規格を定める『デジュール標準』と、企業の製品やサービスが事実上の標準規格になる『デファクト標準』がある。インターネットの世界は、マーケットに受け入れられた規格が標準になる『マーケット標準』。規格を実際に運用してみて、それが使い物になるかどうかが最も重視される」と説明。RFCなどの標準仕様を策定するIETFと、相互運用性を検証する場であるInteropがインターネットの両輪となってきたとした。

 一方、今後の技術的な課題としては、「電話や放送もIP化を進めており、自動車もITS(高度道路交通システム)ではIPを使うことが決まっている。あらゆる産業がインターネット技術を利用することになり、Interoperabilityはさらに重要になる」と説明。これらの産業分野で日本の果たす役割は大きいとして、Interop Tokyoではこうした産業分野の参加も呼びかけていきたいとした。

 藤原氏は、「イベント事業としては来場者や出展社が増えればいいという話になるが、これまで通り最新技術の展示会という部分は大事にしつつも、Interopの本来の役割である相互運用性の検証という部分を強化していきたい」と説明。Interopの会場では、企業が持ち寄った機器やサービスを接続して相互運用性を検証する大規模ネットワーク「ShowNet」を毎年構築しており、こうした取り組みをさらに他の産業分野にも拡大していきたいとした。


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(三柳 英樹)

2009/8/4 18:18