UstreamでJASRACなどの管理楽曲を演奏可能に、包括的利用許諾契約を締結

JRC管理楽曲のうち687曲はCD音源も利用可能


 USTREAM Asia株式会社は6日、音楽著作権管理事業者である一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)、株式会社イーライセンス、株式会社ジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)の3社と、同日付で包括的な利用許諾契約を締結したと発表した。これにより、動画ライブ配信サービス「Ustream」のユーザーは、これら3社が管理する楽曲を歌ったり演奏した映像を配信できるようになる。

 楽曲を使用する場合は、使用した楽曲の情報をUstreamへ報告する必要がある。連絡方法は、7月中旬ごろにUstreamのサイト上で案内するという。楽曲使用料はUSTREAM Asiaが負担するため、ユーザーは無料で使用できる。

 なお、契約締結後においても、CD音源やプロモーションビデオなどをそのままライブ配信する場合は従来通り、一部の楽曲を除き、別途、著作隣接権者の許諾が必要となる。

JRC管理楽曲のうち“ホワイトリスト”の687曲はCD音源も利用可能

 Ustreamにおける楽曲の利用許諾契約に関しては、マイスペース株式会社が今年3月末、Ustreamの日本法人が設立されるまでの権利処理を代行するかたちで、JRCとの間で暫定許諾契約を締結。4月から6月までを実験期間として、JRC管理楽曲のうち著作権者の許諾を得られた一部の楽曲を「USTREAM利用可能作品検索データベース」としてJRCが自社サイトで公開し、Ustreamでの演奏や歌唱に利用できるようにしていた。

 さらに画期的な試みとして、著作隣接権者から原盤の利用許諾を得られた楽曲についても同データベースで公表。Ustreamユーザーが自ら演奏・歌唱するだけでなく、CD音源などをBGMやDJプレイなどに使えるようにした。

 これら利用可能な楽曲の“ホワイトリスト”は5月17日の最終更新時点で、スピッツやホフディラン、坂本龍一、浜田省吾をはじめとしたアーティストの1553曲が含まれていた。さらに、そのうちスピッツなどの687曲が原盤も利用可能となっていた。

 今回のUSTREAM AsiaとJRCとの正式契約では、まず、演奏・歌唱が可能な楽曲について、JRCで管理する約8400作品の全楽曲に拡大。一方、上記687曲については、原盤も利用可能とする措置を延長することにした。今後、許諾期間について関係権利者と引き続き協議していくという。これに伴いJRCでは、サイト上で公開している“ホワイトリスト”について、原盤利用可能な楽曲のみをリストアップする方式に切り替えた。

 JRCによると、原盤も含めた利用許諾の試みについて、Ustreamのユーザーから前向きに受け止められたほか、権利者の中にもこうした試みを評価し、同社に管理業務を委託しようと問い合わせてくる例もあったという。

 なお、カラオケルームなどを展開するシダックス株式会社とUSTREAM Asiaは6月より、
レストランカラオケ「渋谷シダックスビレッジクラブ」(東京都渋谷区)で、Ustream中継が行える「USTERAMルーム」を提供している。しかしこれまでは著作権の関係から、カラオケルームでありながら、歌をUstream配信することはできなかった。今回、利用許諾契約を締結した3者の管理楽曲であれば歌唱は可能になるわけだが、カラオケの演奏部分の音源の権利許諾が残されているため、カラオケで歌う様子を配信することはできないままだという。


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(永沢 茂)

2010/7/6 15:15