楽天とANAが提携拡大、海外旅行のダイナミックパッケージも取り扱い開始


楽天トラベルの岡武公士代表取締役社長(左)と、全日本空輸の片野坂真哉取締役営業推進本部長(右)

 旅行予約サイト「楽天トラベル」は1日、全日本空輸株式会社(ANA)の国際線を利用した個人向けダイナミックパッケージ旅行商品「ANA楽パック(海外)」の取り扱いを開始した。ANAが運航する国際線と、楽天トラベルが扱う海外の宿泊施設、現地ツアーなどを組み合わせ、利用者の日程や予算に応じたプランを組み立てて予約・購入できる。

 ANAが運航する週846便の国際線と1日900便超の国内線、楽天トラベルが扱う5万9000件の海外施設、世界各都市の現地ツアーオプションを組み合わせられる。目的地は、ソウル、北京、上海、香港、台湾、バンコク、ロンドン、パリ、フランクフルト、ミュンヘン、ホノルルの計11都市を第1弾として展開。順次、ANAが国際線を就航するすべての都市に拡大していく。

 羽田空港の新国際線旅客ターミナルがオープンし、ANAでも合計9路線(12月1日時点ではうち7路線)の国際線を同空港から運航するが、ANA楽パック(海外)では、羽田でANAの国内線・国際線を乗り継いで海外に向かう行程を設定できるため、特に地方発の利用者に便利だという。国際線は、羽田のほか、成田、関西、中部の各国際空港からANAが運航している便も利用できる。

 ANA楽パック(海外)で予約するメリットとしては、航空券の予約完了後すぐに座席指定が行える点を挙げている。従来は通常、航空券の発券時点で座席を確定する流れだったため、どうしても座席を指定するタイミングが遅くなりがちだったという。最大で7カ月前から事前座席指定が可能になり。希望の座席を確保できるチャンスが拡大すると説明している。

 マイレージ付与率も、通常の旅行商品で航空券を購入した場合は付与率が50%だが、ANA楽パック(海外)では70%に引き上げたという。また、国内線乗り継ぎ区間については付与率100%となっている。

 楽天グループとANAグループは2006年4月、50%ずつを出資して合弁会社「楽天ANAトラベルオンライン株式会社」を設立。同年10月、国内線を対象としたANA楽パックを提供開始した。


楽天ANAトラベルオンラインの宮川純一郎代表取締役社長航空券の予約画面イメージ

 楽天ANAトラベルオンラインの宮川純一郎代表取締役社長によると、国内線のANA楽パックの取り扱い額は順調に増加しており、2010年度は2007年度の5倍に成長する見込み。また、2010年末には累計利用者が100万人を突破するという。一方で、楽天トラベルにおける海外旅行の予約流通額も増加傾向にあり、特にウェブで自由に航空券や宿泊施設を組み合わせられるダイナミックパッケージ商品の伸びが顕著。2010年度は前年度比2倍を超える規模となる見込みだ。こうした背景のもと、今回、ANA楽パックの取り扱い範囲を国際線にも拡大したかたち。

 楽天とANAの提携拡大では、日本から海外旅行に行くアウトバウンド需要への対応を今回行ったほか、海外から日本に来るインバウンド需要でも連携を開始した。その第1弾として、楽天トラベルとANAのそれぞれ多言語サイト(英語、韓国語、繁体字中国語、簡体字中国語)で相互リンクを行い、インバウンド需要の取り込みを図る。


関連情報


(永沢 茂)

2010/12/1 16:45