6月8日開催の「World IPv6 Day」って何? 多くのサイトが1日だけIPv6に対応


 世界規模のIPv6トライアル「World IPv6 Day」が、6月8日の24時間(日本時間では6月8日午前9時~)にわたり実施される。

World IPv6 Dayのサイト

World IPv6 Day
http://www.worldipv6day.org/

 現在、インターネットで使用しているIPv4アドレスは枯渇状況にあり、4月には日本でもISPなどに対するIPv4アドレスの通常割り振りは終了となった。「World IPv6 Day」はこうした状況を受け、Internet Society(ISOC)の呼びかけにより、各国のサービス事業者などが参加し、6月8日の24時間にわたってサービスをIPv6に対応させる取り組みとして実施される。

 ISOCの呼びかけに対し、Google、Facebook、Yahoo!、コンテンツデリバリーネットワークのAkamaiとLimelight Networkが当初参加を表明。その後、日本からはNECビッグローブやNTTコミュニケーションズ、ソニー、Yahoo! JAPANなどが参加を表明するなど、世界各国の400以上の企業・団体が参加を表明している。

 World IPv6 Dayでは、各企業が自社のサイトやサービスを、現在のIPv4に加えてIPv6によるアクセスにも対応させる。たとえば、Googleでは2008年からIPv6専用のサイト「ipv6.google.com」を提供しているが、World IPv6 Day当日は通常サイトの「www.google.com」「www.youtube.com」などもIPv6に対応させる。

 日本のサイトでは、NECが「BIGLOBEクラウドホスティング」を利用してウェブサイトをIPv6に対応させ、動作検証を行うことを発表した。Yahoo! JAPANではトップページをIPv6に対応させるほか、World IPv6 Dayの特設サイトを開設。NTTコミュニケーションズのOCNでは、6月8日にウェブサイトをIPv6に対応させ、その後もIPv6への対応を継続していくとしている。このほか、World IPv6 Dayのサイトには、参加企業・団体の一覧が掲載されている。

Google Japan Blogの該当記事
http://googlejapan.blogspot.com/2011/06/ipv6.html
NEC
http://www.nec.co.jp/press/ja/1106/0701.html
Yahoo! JAPAN
http://recommend.yahoo.co.jp/ipv6day/
NTTコミュニケーションズ(OCN)
http://www.ocn.ne.jp/info/announce/2011/06/02_2.html
World IPv6 Day参加リスト(英文)
http://www.worldipv6day.org/participants/

 また、今回のトライアル以前から、IPv6でのアクセスに対応済みとなっているサイトもある。KDDIのサイトは既にIPv4/IPv6のどちらからでもアクセスできるようになっており、各ページの右上にはIPv4とIPv6のどちらでアクセスしているかを示すアイコンが表示される。ISPではこのほか、IIJとぷららのウェブサイトが同様のアイコンが表示されるようになっている。

KDDIのサイトではIPv4/IPv6のどちらでアクセスしているかを示すアイコンが表示される

KDDI
http://www.kddi.com/
IIJ
http://www.iij.ad.jp/
ぷらら
http://www.plala.or.jp/

 一方、これらのサイトにIPv6でアクセスするための一般ユーザー向けの接続サービスは、2011年になってようやく対応が進んできた段階だ。NTT東西の「フレッツ 光ネクスト」は6月1日に、KDDIの「auひかり」は4月18日にそれぞれIPv6接続サービスを開始した。また、IIJやOCNでは、IPv4上の仮想回線でIPv6接続を実現するサービスを提供しており、これらの接続環境があれば今回のトライアルでIPv6による接続が体験できる。

フレッツ 光ネクスト IPv6 PPPoE対応プロバイダ(NTT東日本)
http://flets.com/next/ipv6_pppoe/isp.html
IIJ、個人ユーザ向けにIPv6接続機能を強化
http://www.iij.ad.jp/news/pressrelease/2011/0602.html
OCN IPv6 サービス案内
http://www.ocn.ne.jp/ipv6/service/index.html
IPv6サービスリスト(IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース)
http://kokatsu.jp/blog/ipv4/data/ipv6service-list.html

 World IPv6 Day当日も、IPv4によるサービスはそのまま提供されるため、基本的に大部分の一般ユーザーには影響は無い。ただし、日本ではNTT東西の「フレッツ光」環境において、IPv6対応サイトの表示が遅くなったり、アクセスできないといった障害が発生する可能性がある。

 NTT東西のフレッツサービスでは、映像配信サービスなどで利用するためにIPv6アドレスを割り当てているが、このIPv6アドレスがフレッツ網内での利用を前提としているため、IPv6では外部には接続できないという問題が生じることが確認されている。

 この問題は以前から確認されており、NTT東西やISP側でも対応を進めている。World IPv6 Dayの当日も、障害は発生しないケースが多いと考えられるが、多数のサービスがIPv6に対応することから、これまで気付いていなかった障害が発生する可能性もある。

 日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)では、この問題への対処法をまとめた解説ページを公開している。また、日本マイクロソフトでもこの問題についてのページを公開しており、障害が発生した場合にはIPv6を使用しない設定にするなどの対処法を紹介している。

World IPv6 Dayについてのご案内(JAIPA)
http://www.jaipa.or.jp/ipv6day/index.html
World IPv6 Dayに関する重要なお知らせ(日本マイクロソフト)
http://www.microsoft.com/japan/mscorp/mic/interop/ipv6ie.aspx

 携帯電話のキャリア各社も、スマートフォンのWi-Fi接続を使ってフレッツ光経由でインターネットに接続した場合、障害が発生する可能性があるとして、案内を行っている。対処法については、一時的にWi-Fi接続を無効にすることで、3G回線による接続を行ってほしいとしている。

NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/page/110603_00_m.html
au
http://www.au.kddi.com/news/information/au_info_20110603b.html
ソフトバンクモバイル
http://mb.softbank.jp/mb/information/details/110607.html
イー・モバイル
http://emobile.jp/topics/info20110606_01.html


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(三柳 英樹)

2011/6/8 06:00