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東北大、スマホのWiFi数珠つなぎ、さらに無人飛行機も経由してメールリレー

 東北大学工学部情報知能システム総合学科は、7月30日・31日に開催する同大学のオープンキャンパスにおいて、スマートフォンのWiFi機能で数珠つなぎにネットワークを構築する「スマホ de リレー」のデモンストレーションを実施する。さらに今回は、小型無人飛行機による空中基地局やインターネット通信衛星とも連携した通信実験も行う。

 スマホ de リレーは、スマートフォンのWiFi機能のみを使ってネットワークを構築する技術で、東北大学の加藤寧教授・西山大樹准教授らの研究グループが取り組んでいるもの。今年2月に行った実験では、仙台市内で約30台のスマートフォンを用いて約2.5kmの区間でメールリレーに成功した。3Gなどの携帯電話回線が圏外であってもメールを伝達できるため、災害時などに有効な通信手段として期待されており、「東日本大震災を体験した大学として、総勢30名を超えるメンバーが一丸となって取り組んでいる」という。

 今回のオープンキャンパスのデモンストレーションでは、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の協力により、「耐災害ワイヤレスメッシュネットワーク実験設備」の一部も使用。地上回線が被災して孤立したエリアをつなぐことなどを想定し、NICTで研究・開発している通信基地局システム搭載の小型無人飛行機を展示するとともに、飛行する様子も公開する。

 また、加藤教授・西山准教授らの研究グループは、総務省からの受託事業でスマートフォンと無人飛行機を使った通信技術の研究・開発に取り組んでおり、今回のデモンストレーションでは、スマホ de リレーと小型無人飛行機を連携したメール送信実験も行う。同様に、高速インターネット衛星「きずな」とも連携。メールリレーの範囲を大きく拡大できるため、被災エリア内だけでなく、遠隔地を含めた情報共有が可能になるとしている。

(永沢 茂)