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NICT、テレビ放送帯のホワイトスペースを利用したLTE移動通信システムを開発

 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は27日、テレビ放送帯のホワイトスペースで利用可能なLTE技術を活用した移動通信システムを、世界に先駆けて開発したと発表した。

開発したホワイトスペース対応基地局と端末アダプター

 ホワイトスペースとは、放送などの目的で割り当てが行われているが、地理的条件や技術的条件などにより他の目的にも利用可能な周波数帯のこと。テレビ放送用に割り当てられているが、その地域では利用されていないチャンネル(周波数帯)を通信用に利用するといった用途が検討されている。

 NICTが今回開発したシステムは、基地局と端末アダプタから構成され、現在使用されている携帯電話用通信帯(2GHz帯)以外に、テレビ放送帯(470~710MHz)のホワイトスペースでLTE技術による移動通信を技術的に可能にするもの。テレビ放送帯のUHF帯は、電波の回折などにより地形や建造物による影響を受けにくく、省電力でも比較的長距離の通信が可能であるため、カバーエリアの広いモバイル機器向けのブロードバンド通信での利用などが期待できるという。

 通信帯域幅は、テレビの1チャンネル分(6MHz)に収まる5MHzのほか、連続する数チャンネルを同時に用いて10MHzや20MHzでも運用が可能。運用周波数は手動による設定ができるほか、NICTが開発した「ホワイトスペースデータベース」に基地局が接続して、基地局の位置情報や無線諸元に基づいて計算される利用可能チャンネルを取得し、自動的に設定することができる。

 また、通信時に利用可能な周波数の状況や、アプリケーションやトラフィック量に応じて、全二重通信方式を周波数分割複信(FDD)と時分割複信(TDD)の中から選択できるなど、柔軟な周波数の利用が可能としている。

 NICTでは、開発したシステムの実験試験局免許を取得して、評価試験を行う予定。実際の利用シナリオを想定した通信性能の評価や高度な制御方式の開発を行い、評価実験を通じて伝搬特性や通信性能を測定し、技術基準および制度設計に資する情報として提供していくとしている。また、11月28日~29日に東京・小金井のNICT本部で開催する「NICTオープンハウス」で、今回のシステムを展示する。

構築したネットワークの構成

(三柳 英樹)