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プリンター・インク・保守が丸ごと定額の「エプソンのスマートチャージ」、月額5000円プランなどラインナップ拡充

 エプソン株式会社は、プリンター本体・インク・保守サービスを定額料金で利用できるプリントサービス「エプソンのスマートチャージ」のラインナップを拡充する。従来のA3複合機に加え、新たにA3プリンター、A4複合機、A4プリンターの3モデルを追加する。A3プリンターとA4複合機は7月、A4プリンターは6月中旬より提供開始する。

これまで提供してきたA3複合機に加えて、A3プリンター、A4複合機、A4プリンターをラインナップに追加
スマートチャージ用プリンターに搭載されるインクタンク。インクタンク1回の装填でA3モデルでは7万5000枚、A4モデルでは5万枚の印刷が可能

 スマートチャージは、プリンターの導入、管理、インクなど使用にかかわるコストを導入費ゼロ、月額定額料金(超過枚数は従量課金)で提供するサービス。印刷頻度の高いユーザーをターゲットに、2014年8月よりA3複合機を投入。エントリーコピー機市場を対象に展開してきたが、今回よりビジネスプリンター市場にも拡大。従来のA3複合機プランの月額1万円(税別)に加え、ビジネス向けA4プリンターを月額5000円(税別)で利用できるプランなどもラインナップし、SOHO用途も取り込む。

 スマートチャージ用のプリンターはベースモデルがあり、A3プリンターは「PX-S7050」、A4複合機は「PX-M840F」、A4プリンターは「PX-S840」となる。通常モデルと異なり、スマートチャージ用に大容量のインクタンク用のホルダーが装着されている。大容量インクはCMYKの4色で、1回の装填でA4モデルで5万ページ、A3モデルで7万5000ページの印刷が可能。

A3複合機/プリンターの性能。Wi-Fi接続にも対応する
A4複合機/プリンターの性能。こちらもWi-Fi接続に対応

 大容量インクのメリットとして交換の手間や廃棄物の削減が可能だとしており、5万ページを同社のA4ページプリンター「LP-S820」で印刷した場合、トナー/感光体は36本分に相当。同社のA3ページプリンター「LP-S5300」では、7万5000ページの印刷に必要なトナー/感光体は58本に相当する。これは通常のインクジェットプリンターと比較してもユーザーメリットとなる。

 また、ページプリンターと比較して動作電力の低さをアピールした。LP-S820の最大消費電力である1100Wと比較して10分の1以下(最大消費電力100W)であり、マンションやアパートなどを借りている事業者や、消費電力の高い機器が設置できない建物でも利用できるとしている。そのほか、ページプリンターと比較して熱源を必要としないため、ウォーミングアップにかかる時間の短縮や、室内の熱効率の改善が図れるという。窓付き封筒などページプリンターで利用できない紙への印刷も可能。

消耗品管理の削減をアピール
CO2の排出量は、パッケージの製造工程や流通も含めて、ページプリンターと比較して95%削減するという
低コストでのカラー印刷
インクジェットの天敵である水になじまない顔料由来のインクを使用している

 プランは、A3複合機、A3プリンター、A4複合機、A4プリンターで分かれている。プランにはそれぞれ印刷上限枚数が設定されており、同一金額でモノクロとカラーの上限枚数をそれぞれ設定した「スタンダード」と、フルカラー印刷のみの「フルカラー」のどちらかを選択できる。なお、A3複合機/プリンターではカセット2段の「ベーシック」のほか、カセット4段の「フルセット」も選択できる。フルセットは設置型ではなく自立型となる。

A3複合機
プランベーシックフルセット
契約年数5年
月額基本使用料金1万円(税別)1万2000円(税別)
基本印刷枚数
(スタンダードプラン)
モノクロ2000枚
カラー600枚
モノクロ2400枚
カラー720枚
基本印刷枚数
(フルカラープラン)
モノクロ・カラー問わず1000枚モノクロ・カラー問わず1200枚
A3プリンター
プランベーシックフルセット
契約年数5年
月額基本使用料金8000円(税別)1万円(税別)
基本印刷枚数
(スタンダードプラン)
モノクロ2000枚
カラー600枚
モノクロ2400枚
カラー720枚
基本印刷枚数
(フルカラープラン)
モノクロ・カラー問わず1000枚モノクロ・カラー問わず1200枚
A4複合機・A4プリンター
プランA4複合機
ベーシック
A4プリンター
ベーシック
契約年数5年
月額基本使用料金6000円(税別)5000円(税別)
基本印刷枚数
(スタンダードプラン)
モノクロ1000枚
カラー400枚
基本印刷枚数
(フルカラープラン)
モノクロ・カラー問わず700枚

 印刷枚数を超過した場合は従量課金制で印刷できる。すべてのモデルで同じ料金となっており、ベーシックプランでは、モノクロ1枚あたり1.5円、カラー1枚あたり5.0円の料金が発生。フルカラープランでは、1枚あたり5.0円が発生する。ただし、カラープリントのランニングコストは、ページプリンターと比較して安価なため、気軽にカラー印刷が可能としている。

 枚数のカウントは「DSS」と呼ばれるシステムでネットワーク管理されるほか、販売担当者による定期的なチェックで行う。複数のプリンターを設置するユーザーには「グループ割引」が適用され、1台のプリンターで上限枚数を印刷してしまっても、ほかのプリンターがまだ上限枚数に達していない場合は、上限までの枚数を譲りあうことができる。なお、A3複合機で付属するFAX機能は、A4複合機ではオプション(月額1000円)扱いとなる。

 ラインナップの拡充で、A3複合機で訴求してきたコピー機のリプレイスに加え、ページプリンター/インクジェットプリンターの置き換えや、複合機とプリンターの組み合わせによる適正配置を提案する。

ページプリンターからの置き換えにおけるコストメリット
インクジェットプリンターからの置き換えにおけるコストメリット
複合機からの置き換えにおけるコストメリット
医療法人への導入事例
税理士法人への導入事例
旅行業への導入事例

一般販売のビジネスプリンターと一部食い合うが、5年間顧客をしっかりキープ

 スマートチャージの新ラインナップ発表にあわせて、エプソン販売株式会社が都内で記者発表会を開催した。エプソン販売取締役販売推進本部長の鈴村文徳氏は、「いろいろあったがまずまず順調にサービスを開始できた」と1年を総括。また、スマートチャージの商談スピードの早さに言及し、「通常のコピー機の商談はなかなか決まらない。これは、導入コストゼロで月額1万円からというシンプルなメニューが大きい」と理由を述べた。コピー機の販売は通常、顧客によって額が変わるというが、値段が均一なのも影響しているという。

 また、既存のビジネスインクジェットプリンターとの棲み分けについて、エプソン販売BPMD部部長の北村光一氏は、印刷のボリュームで分けられると説明。印刷頻度の低いユーザーには、無理にスマートチャージに切り替えてもらうのではなく、従来通り一般販売しているモデルを利用してもらうとしている。また、一般販売しているビジネスプリンターと食い合いが少し発生する可能性はあるが、5年間顧客をしっかりキープすることを重点に置くとしている。

 販売チャネルは2014年度末時点で250社。2015年度までに3万2000台の販売を見込んでいる。また、ハイエンドモデルも検討しており、さらなるラインナップ拡充を見込んでいるという。大容量のインクモデルは、米国、欧州、新興国など50カ国に展開予定で、海外でのビジネスモデルはそれぞれの商習慣に合わせつつ、印刷頻度の高いユーザーをターゲットとしていく。

エプソン販売取締役販売推進本部長の鈴村文徳氏
エプソン販売BPMD部部長の北村光一氏
A4プリンターのCMYのインクタンク部分
インクの交換はインクタンク取っ手部分をアタッチメントに装着するだけ
A3複合機(フルセット)
A3プリンター(フルセット)
A3複合機(ベーシック)
A3プリンター(ベーシック)
A4複合機(ベーシック)
A4プリンター(ベーシック)

(山川 晶之)