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「国土地理院ランドバード」発足、ドローンによる測量を推進、災害時に空撮も

 国土地理院は、国土交通省が推進する「i-Construction」の一環として、無人航空機(ドローン)を使った測量環境の整備を開始すると発表した。同院内に会議体として「i-Construction推進本部」を設置するほか、ドローンを活用した測量を推進するための体制「国土地理院ランドバード(GSI-LB)」を発足する。16日、i-Construction推進本部の第1回会合を開催するとともに、国土地理院ランドバードの発足式を行った。

「国土地理院ランドバード」発足式

 i-Constructionは、ICT技術を活用することで建設現場の生産性や安定性の向上、工程管理の改善などを実現するための取り組み。ドローンが建設・測量現場で広く利用されることを目標に、標準的な作業マニュアルや安全基準を作成するとともに、測量業者が安全・円滑にドローン測量を実施できるように関係機関と連携しながら普及促進などに努める。

 今回、国土地理院に発足したGSI-LBのプロジェクトでは、i-Constructionに関する測量に対応した必要な指導・助言を行うため、ドローンに精通した技術者を育成する。また、災害時には国土地理院の職員が自ら、現場で必要な撮影や測量を行うことができるようになる。

 国土地理院では、2015年9月に発生した関東・東北豪雨において鬼怒川水害地域をドローンを使って空撮したが、災害時にこのような取り組みを全国で迅速に行えるような体制作りを目指している。同時に、平常時には技術力の確保・向上、i-Constructionへの対応、公共測量への助言なども行う。

 発足式では、鬼怒川で空撮を行ったスタッフを含む国土地理院の職員によるデモフライトも行われた。GSI-LBのフライトチーム構成は、現場責任者(隊長)となる「安全飛行管理者」が1名、操縦者が1名以上、補助者が1名以上という体制で、最低3名で活動する。この日に使用したのはDJIのドローン「S900」と、小型ドローンの「Phantom」。まずはPhantomを中心に配備を進める方針だ。

デモフライトを行った国土地理院スタッフ

 災害時の撮影の流れは、まずフライト前に機材チェックを10分ほどかけて行い、風向きや妨害電波の有無を調べてからフライトを実施する。災害現場では、離着陸時に、ドローンを安定して置く場所がないという場合を想定して、基本的にハンドリリース/ハンドキャッチとなる。

フライト前に機材チェックを実施
風向きなども計測
離着陸はハンドキャッチ/ハンドリリースで行う

 離陸したらドローンを高さ約3mの状態に保ち、メカに異常がないかを確認した上で災害現場まで飛ばし、撮影を行う。デモフライトの撮影高度はおよそ20mだったが、場合によっては高度を下げるなど工夫しながら撮影する。デモフライトでは、災害現場地点の周囲を回りながら、カメラは常に現場を向いて撮影するという操作を行った。なお、撮影後は画像が撮影されているかどうかを確認し、万一撮れていなかった場合は再度撮影を行う手順となっている。

DJIの「S900」
災害現場に飛ばして空撮
DJIの「Phantom」

 操縦については、災害現場が悪天候であることを想定しているため、操縦を手動で行えるような能力獲得を目指して練習に取り組む。地方測量部によっては、地元自治体と連携することで、練習場所なども確保する。

 今後、運用マニュアルや訓練カリキュラムの策定、研修、新技術の調査・研究などを行いながら、2016年10月からは、茨城県つくば市の国土地理院本院だけでなく、各地の地方測量部でも順次運用を開始し、2年後には全国展開することを目標としている。GSI-LBのスタッフは全国で100名規模の体制を目指している。

(片岡 義明)