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ニフティ、高齢者宅の異変を察知するためのIoTサービス、プロ版を投入

暑くて寒い埼玉県熊谷市での実証実験を経て商用化

 ニフティ株式会社は、高齢者のいる住宅の気温・湿度などをIoTを活用して遠隔モニタリングし、エアコンの遠隔操作も行えるサービス「おへやプラスPRO」を、介護サービス事業者などを対象に提供する。

 ニフティではすでに2014年12月より、同様のモニタリング機器を用いて、離れた家族をスマートフォンで見守ることのできる個人向けサービス「おへやプラス」を提供している。新たに提供を開始するおへやプラスPROは、これを事業者向けに機能強化したもの。複数宅の状況をPCのウェブブラウザー上で一括モニタリングできる管理機能を用意したほか、気温・湿度に加えて、照度もモニタリング対象に追加した。また、設置先となる高齢者宅にはインターネット回線がない場合が多いため、ニフティのMVNOサービス「NifMo」の通信回線もセットで提供するのが特徴。

 モニタリングする住宅内には、ニフティのVPNサービスなどで用られている「スマートサーブ」のサービスアダプターと、気温・湿度・照度のセンサーや赤外線学習リモコン機能を搭載した株式会社グラモの「iRemocon Wi-Fi」を設置する。サービスアダプターには、NifMoのSIMカードがセットされたLTEドングルを装着してWAN側の回線として使用する。ニフティのクラウド上に設置されるサーバーとの通信は、VPNでセキュアに行われる。

LTEドングルを装着したサービスアダプターとiRemocon Wi-Fi

 管理画面は、ニフティのクラウドインフラ上で提供。介護サービス事業者などがログインすることで、おへやプラスPRO設置宅の気温・湿度・照度を一覧できる。気温・湿度のデータに基づき、熱中症の恐れがある状況になるとアラートを提示。エアコンの操作も管理画面から行える。照度の推移をグラフで見ることも可能だ。夏の熱中症や冬のヒートショックの危険、生活サイクルの変化や昼夜逆転、あるいは「夜になっても明かりがつかない」「夜中まで明かりがついている」などの異変をデータから早期に察知できるとしている。データはCSV形式で出力でき、介護プランの作成や本人・家族へのレポートに活用可能。

管理画面イメージ
照度グラフイメージ

 利用料金(税別)は、初期費用が1万円、月額費用が1万500円。設置する機器が1セットあたり初期費用6万円、月額費用1800円(NifMoの通信料を含む)。セット数により割引プランを用意するほか、サービス契約前に実際に機器セットを貸し出してもらって試用できる期間も設ける。

 ニフティでは“夏暑く・冬寒い”埼玉県熊谷市において今年1月より、特定非営利活動法人日本福祉ネットワークと連携し、おへやプラスをベースにした介護事業者向け見守りサービスの実証実験を行ってきた。そのスタッフらからの要望を反映し、照度のモニタリングも行えるように機能強化した。また、モニタリング対象の住宅では、サービスアダプターおよびiRemocon Wi-Fiを電源コンセントにつなぐだけの作業で設置・接続が完了するよう、機器セットをキッティングした状態で提供するなどの改善を図った。熊谷市での実験はまだ8月まで継続する予定だが、熱中症が増加する夏季に備えられるよう、実験終了を待たずに商用サービス化して提供開始することにした。

「おへやプラスPRO」について説明するニフティ株式会社の澤木然氏(ネットワークサービス事業部カスタマーサービス部)
特定非営利活動法人日本福祉ネットワーク/日本福祉カレッジ熊谷の山中規光氏

(永沢 茂)