やじうまドメインWatch
マグロのように競り落とされていくドメイン名、一晩でオークション総額153万ドル
(2016/4/1 13:26)
まるでマグロの競りのようオークションでした。たった一晩の間に、94個のドメインが合計153万1433ドル(約1億8000万円)で落札されていきました――。
“中古ドメイン名”を売買するセカンダリーマーケット。日本ではあまり認知されていないが、1個のドメイン名が40億円以上で売買された例も過去にはあるという。そのオークションはオンラインだけなくリアルでも行われており、市場規模は年間200億円~600億円とも。萌えgTLD「.moe」のレジストリとしてもおなじみ、株式会社インターリンク代表取締役の横山正氏が、実際に体験してきたドメイン名のリアルオークションの模様をお伝えする。(編集部)
このオークションは、築地ではなくラスベガスのTropicanaホテルで開催されたカンファレンス「NamesCon」で1月11日に行われました。日本ではあまり知られていませんが、毎年1月、“ドメインビジネスで大金を得た人(ドメイナー)”“ドメインビジネスで稼いでいる人または稼ぎたい人”が、一攫千金の可能性を秘めたドメイン名を手に入れるため、世界中から集まります。
2014年1月にスタートしたNamesConですが、以前は「DOMAINfest」というイベントも人気を博していました。DOMAINfestを2015年に買収したNamesConは、ドメイン名オークションを行うカンファレンスの中で最大規模となり、「GoDaddy」など大手レジストラがスポンサーを務めています。カンファレンスの基調講演の中でプレミアムドメインがプレゼントされることも大きなメリットですが、やはり一番の目玉はオークションです。
オークションに初参加の人も多いので、まずは練習を行います。私に割り当てられた番号札は「335」。入札する時は、こんな感じで番号札を上げます。
練習が終わると、いよいよオークションの本番です。会場の参加者以外に、インターネットや電話からの参加者も競います。
では、「water.ski」のオークション経過をご覧ください。司会者が「次は『water.ski』、500ドルから開始(Current Bid $500)」と言います。
すぐに会場から500ドルの入札がありました。「High Bidder Floor」は、会場から入札があったという意味です。「Asking $600」は、「600ドルで入札する人いますか?」と聞いています。
オンライン参加者から600ドルの入札がありました(Bid Amount $600)。オンライン参加者は左側の「High Bidder」に表示されます。アカウント「rotda1192」さんが入札です。
すかさず会場から700ドルの入札(Current Bid $700)。オンライン参加者からの入札ではないので、左側に何も表示されていません。「800ドルで入札する人いますか?(Asking $800)」と聞いています。
今度は、オンライン参加者から800ドルの入札(Bid Amount $800)。アカウント「rotda1176」さんが入札です(High Bidder rotda1176) 。先ほどのオンライン入札者「rotda1192」さんとは別の人です。このように次々と値段が上がっていきます。
入札額2750ドル(Current Bid $2,750)に対して、3000ドル(Asking $3,000)で入札する人が誰もいないことを確認した司会者が、「ラストコール」と言って決着です。「water.ski」は2750ドル(約33万円)で落札されました。
これは、今回のNamesConで行われた全オークション131件の動画です。1件あたり、1分数十秒です。
このようにオークションが行われ、131件中、最低希望価格に届かなかったものを除き、94件が売れました。合計153万1433ドル(約1億8000万円)です。
落札額トップ5は、「lawn.com」の24万ドル、「tuscany.com」の15万7500ドル。「penis.com」の11万ドル。「erotica.com」の8万ドル、「88.xyz」の7万ドル。
「.com」が強いですね。「erotica.com」は8万ドルで売れましたが、実はこのドメイン名、2009年に85万ドルで取引されています。今回のオークションまでの間に個人売買やパーキングで広告収入がなければ、売った人は77万ドルの損をしたかもしれません。
新gTLDで唯一トップ5に入った「88.xyz」の落札者は、中国系の人です。中国人はドメイン名も爆買いしていて、中国人が好きな数字や文字列の情報交換もNamesConでは行われました。ちなみに「8」は中国人に最も人気のある数字です。
最低希望価格に届かず落札されなかったドメイン名は、その後、オンラインでオークションにかけられました。
NamesConは、一攫千金の夢が膨らむラスベガスで、年に一度開催されます。成功したドメイナーのように、自家用ジェットでベガスに行くことも夢ではありません。インターネットや電話からも参加できますが、まずは来年、現地参戦してみてはいかがでしょうか。