レビュー

見積・請求の手間が最小限に、仕事効率大幅アップできる「見積ソフト」

注文書・納品書・請求書・領収書・売掛管理までできるビジネスソフトを徹底レビュー

見積ソフトを使うと、どう便利?

 事業を営んでいる人にとって、見積書や請求書の作成は欠かせない作業。しかし、作成には手間がかかるのが悩みの種だ。一週間に1~2枚、一か月に数枚程度しか請求書を発行しないのであれば、Excelなどの表計算ソフトでも対応できるだろう。

 一方で、例えば、材料をメーカーから仕入れて業者などに販売したり、パーツをベンダーから仕入れてショップに卸したりなど、取引先や扱う商品が多い場合は書類作成も大変だ。また、週に何度も見積書や請求書を発行するような場合は、Excelで作成しようとすると膨大な時間がかかり、不整合などのミスが起きる可能性も高くなってしまう。

 そのような場合は、市販の見積ソフトを導入するのがお勧めだ。見積書で入力した明細や金額がそのまま納品書、請求書に反映されるので、作業時間の短縮もできるし、ミスを減らすこともできる。商品台帳や得意先台帳を用意すれば、リストから選択するだけで入力が完了するので、事務効率を大幅にアップすることができる。

「ツカエル見積・納品・請求書 17」を使ってみる

 では、見積ソフトを使うと、実際にどう作業が楽になるのかを見てみよう。

 今回使用するのは、ビズソフト株式会社の「ツカエル見積・納品・請求書 17」。見積書の作成はもちろん、商品を販売した際の納品書、請求書、回収した際の領収書、さらに仕入の際の注文書まで対応している製品。2017年4月18日時点でのAmazonの価格は3387円。1つのパッケージに2枚のCD-ROMが入っており、2ライセンス分が含まれているので、2台のパソコンで使用できる。1ライセンスあたり1700円程度になる計算なので、お手ごろな価格だ。

 まず最初に、事業所の設定を行う。会社の名称や住所などの情報を入力しよう。会社のロゴや社印を見積書や請求書に印刷することもできる。社印の画像は、スキャナーで取り込んだ印影をデータ化して使うこともできるし、社名を入力してフォントを選び作成することも可能だ。

事業所の基本データを入力する
会社のロゴ画像を登録。「会社印を作成する」をクリックして社名を入力すると、会社印を作成することができる

見栄えのよい見積書をサクっと作る

 早速、見積書を作成してみよう。ナビゲーションバーの「取引」をクリックして「取引管理」画面を開く。この「取引管理」画面が、見積書の発行、請求書の発行、商品データの管理など、あらゆる作業への入り口となる。

 「見積書の発行」をクリックしよう。まず最初は、「得意先」欄の「+」ボタンをクリック。続く画面で、得意先の詳細な情報を入力する。すると、相手先の情報が入力された状態で見積書の作成画面が開く。品名や数、金額など、見積内容を入力しよう。件名、納入期限、取引方法などの必要事項も入力して「登録」をクリックしよう。これで、見積書の作成は完了だ。

「見積書の発行」ボタンをクリック
「得意先」欄の「+」ボタンをクリック
得意先の情報を入力する。「連絡先」を押して相手の住所や部署名、敬称などを設定しておくと、見積書に自動反映されるので、次回以降の入力の手間を省ける
見積内容を入力する。品名、数量、単位、金額を入力。単位はリストから選ぶ。使用したい単位がリストにない場合は、直接入力すれば追加される。件名、納入期限、取引方法など必要事項も入力して、「登録」を押す

 続いて、見積書を印刷してみよう。再度、「取引管理」画面を開いて、「見積書の発行」ボタンをクリック。「<」や「>」ボタンを押して印刷したい見積書を表示する。「印刷」ボタンをクリックしよう。使用しているプリンターが選択されていることを確認して、印刷を実行すればよい。これで、見栄えのよい見積書を簡単に印刷できる。また、見積書を印刷する際は、色の変更、送付メモを付ける、社印を付ける、見積条件を印刷するなど、さまざまなバリエーションを選ぶことができる。

「<」「>」ボタンを押して、印刷したい見積書を表示。「印刷」ボタンをクリックして、印刷する
プリンターが正しく選択されていることを確認して、「印刷」を押せばよい
「拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」といった送付メモや社印を印刷する設定にしてみた
さまざまな印刷パターンが選択できる。カラーパターンは6種類から選択可能。宛先は「会社名+御中」「部署名+御中」「担当者名+様」などと変更できるし、送付メモや社印、見積条件などを印刷しないようにすることも可能

商品コードから簡単入力。CSVでの取り込みも可能

 見積書を作成する際、その都度、商品名を入力するのは面倒だ。商品コードや略称から商品名を素早く入力できるようにしておくと便利。それには「商品設定」で商品の情報を登録する必要がある。一度情報を登録しておけば、単位や単価も自動で入力されるので、作業効率がグンと上がる。

 取引先の情報も一度入力したらリストに追加されているので、次回以降、同じ取引先宛ての見積書を作成する場合はリストから選択できる。そのほかの得意先もリストから選んで簡単に入力できるようにしておきたい場合は、「取引先設定」で得意先の情報を登録しておくとよい。

「取引」→「商品設定」を開く。「新規」ボタンをクリックし、商品の情報を入力しておく
「取引」→「得意先設定」を開く。「新規」ボタンをクリックし、得意先の情報を入力する。

 このように商品や得意先の情報をあらかじめ登録しておけば、見積書の作成が楽になる。取引先をいちいち入力しなくても、リストから選ぶだけでOKだ。商品名や単価も、その都度入力しなくて済む。

見積書の作成画面で、得意先のリストから取引先を選べばよい
「D-001」といった商品コードや「genkan」などの検索キーで手軽に商品名、単価を入力できる
単価を設定してある商品の場合は、数量を入力すれば自動的に金額も入力済みになる。単価を設定していない商品については、「単価」欄をクリックして単価を入力する

 すでに、フリーの見積ソフトを利用していたり、Excelなどで商品リストを作成している場合は、いちから商品情報を登録する必要はない。CSV形式で商品リストを用意すれば、一気に取り込むことができる。同様に、得意先の一覧も同様に取り込むことが可能だ。

 どのような体裁でCSV形式のリストを作成すればよいかは、ビズソフトのウェブサイト(ツカエルシリーズ サンプルダウンロード)で公開されているサンプルデータをダウンロードし、それをもとに修正すると、分かりやすい。サンプルデータを開くと、「ビズリフォーム株式会社」という架空の企業のデータを閲覧できる。その商品リストや得意先一覧をCSV形式でエクスポートし、Excelで自社用のデータに書き換える。それをインポートすればよいわけだ。

サンプルデータ「【サンプル】ビズリフォーム株式会社.bzf」をウェブサイトからダウンロードして開く。「取引」→「商品設定」を選び、印刷ボタンの隣にある「▼」ボタンをクリックして「エクスポート」を選ぶ
エクスポートしたCSVファイルをExcelで開く。商品名、略称、商品コードなど、必要事項を適宜、書き換えて保存する。「メニュー」→「ファイル」→「開く」を実行し、自社データのbzfファイルを開く。その後、「エクスポート」と同様の手順で「インポート」を実行する

取引先に応じて単価を変えたい

 同じ商品でも、取引先によって単価を変えたい場合がある。例えば年間の取引額が大きい代理店には仕切価格が60%、通常の代理店は65%、直取引のある販売店は70%などと、得意先によって卸価格が異なる場合だ。このソフトは、そうした複数価格に対応していて、定価(上代)と、5通りの販売単価を設定できる。また、得意先に対する掛率や単価区分を設定しておくと、見積書の作成画面を開いたとき、自動的に価格が反映される。

「取引」→「商品設定」を開き、商品名を選択して「修正」をクリック。「単価」を選択すると、5通りの販売価格を設定できる
同様に、「取引」→「得意先設定」を開き、得意先を選択して「修正」をクリック。「取引」をクリックすると、その得意先に対する掛率と単価区分を設定できる

簡易型ネットワークに対応し複数人で作業も可能

 「ツカエル見積・納品・請求書 17」は、簡易型ネットワークに対応している。見積書や請求書などのデータに、複数のパソコンから同時にアクセスが可能だ。例えば、営業マンとアシスタントが同じ顧客の見積書や請求書を作成するといった作業が同時にできる。データを社内ネットワーク上のパソコンやNASに設定した共有フォルダーなどに保存しておけば、社内ネットワーク内で同じソフトがインストールされているパソコンから同時にアクセスが可能。商品や得意先、取引のデータをそれぞれのパソコンに保存する必要はないので、情報漏えいのリスクを減らせるとともに、同じデータファイルを皆が利用できるので、価格変更や得意先の移転などがあっても、ミスを減らすことができる。

簡易型LANに対応。共有フォルダーを利用して見積書や請求書などのデータに複数のパソコンからアクセスし、同時に入力ができる

請求書を作成しよう

 「ツカエル見積・納品・請求書 17」で請求書を作成する方法は、何通りかある。手っ取り早く請求書を作成するには、「取引管理」画面から「請求書の発行」を実行すればよい。得意先を選択しよう。次に、入金先を設定する。「+」ボタンをクリックすると、新たに銀行口座を登録して、それを入金先として選択できる。件名を入力し、品名、数量、金額などを適宜入力しよう。商品情報を登録していれば、商品コードから品名、単位、単価を自動で入力できる。

「取引」→「請求書の発行」をクリックし、請求書の作成画面を開く。必要事項を記入して請求書を作成する

 見積書を作成している場合は、見積書から請求書を作成することもできる。その場合は、見積書で入力した明細や金額がそのまま納品書、請求書に反映できるので、作業時間の短縮もできるし、ミスを減らすこともできる。

目的の見積書を表示し、「複写」ボタンの隣にある「▼」をクリックして「請求/領収書作成」を選択する。続く画面で、入金先や日付等を指定する

 請求書を印刷する際、納品書と請求書を一緒に印刷したり、納品書のみを印刷することもできる。ビズソフトの専用用紙を使うと、モノクロプリンターでも、カラフルな請求書・納品書を印刷できる。なお、用紙のサンプルがパッケージに付属しているので、試してみることができる。専用用紙を使うと一味違うインパクトがある。さらに、市販の窓付き封筒で送付すると会社がワンランク上にみられるかもしれない。

納品書と請求書を一緒に印刷した例。見積書の場合と同様に、社印やロゴ画像を印刷する、文章を変更するといったカスタマイズが可能だ
請求書のみを印刷した例。商品と別に請求する場合はこちらも使用できる

合計請求書の作成にも対応

 法人取引の場合、1カ月の取引を月末や締め日ごとにまとめて、翌月末などに入金される「掛け売り」が一般的だ。取引ごとに請求書を送っていると、同一の顧客に対して月に何通も請求書が届いてしまう。相手にとっても、煩雑な照らし合わせの作業が発生するので好ましくない。ここでは1カ月の売り上げをまとめて請求する「合計請求書」を作成しよう。

 「取引管理」画面から「合計請求書の発行」を実行する。得意先を選択し、期間を指定しよう。すると、その期間の取引が表示され、合計請求書を作成できる。

「取引」→「合計請求書の発行」をクリック。得意先をリストから選択し、対象期間を指定して「集計」ボタンをクリック
次回以降は、「前回ご請求額」「ご入金額」が自動で反映される
合計請求書の印刷例

追加機能を備えた上位版やお試しで使えるフリー版も

 このように、「ツカエル見積・納品・請求書 17」は見積書の作成はもちろん、納品書、請求書、領収書なども作成できる。また、売掛金の回収を管理するのにも役立つ製品だ。単に見積ソフトというだけでなく、商品の販売をまとめて管理する「販売ソフト」と呼べる機能を持っている。

ツカエル見積・納品・請求書 17 匠
ツカエル経理 17

 さらに、上位版として「ツカエル見積・納品・請求書 17 匠」、「ツカエル経理 17」があり、建築関係 でよく使われる内訳明細書や原価計算書、給与明細作成機能にも対応している(製品機能比較表)。各製品の帳票サンプルはWEBサイトに掲載されており、フリー版・体験版も用意されているので製品選びの参考になるだろう。

 ちょうど、新年度を迎えたこの時期。業務効率を上げるため、新しい業務ソフトの導入を検討してみてはどうだろうか。

(協力:ビズソフト)