レビュー

“動画版Instagram”の本命か、Twitter公式動画アプリ「Vine」の実力は

米国App Storeソーシャルネットワーキング部門無料アプリランキング

 米Twitterは1月24日(現地時間)、6秒間の短い動画を投稿できる無料のiOS向けソーシャル動画アプリ「Vine」を発表した。このアプリを開発した米Vine Labsは、昨年10月にTwitterに買収された企業だ。

 Vineは28日11時時点で、米国App Store ソーシャルネットワーキング部門で無料アプリランキング首位を獲得、全無料アプリランキングでも14位につけており、出だしは好調だ。App Store内でEditor’s Choiceに選ばれ、大きく露出し続けていることもいまの好調を助けているだろう。

 一部では“動画版Instagram”とも言われるVine。本稿では、その使用感をレポートする。

 Vineを利用するにはTwitterアカウントでのログインかメールアドレスによるサインアップが必要だ。

起動時画面
Twitterアカウントでログインする際の認証画面

 メインの画面はInstagramのようなインターフェイスで、画面をスクロールし表示された動画は自動で再生される。

メイン画面

 動画の下には、アカウント名、動画キャプション、投稿したタイミング、Like数、コメントが列挙される。コメントに続く「顔マーク」をタップするとLikeしたことになり、その隣の「吹き出し」をタップするとコメントを入力できる。さらに右端にある「3つの点」をタップすると、不適切な動画として報告、自分の動画であれば削除することができる。

動画下にあるスペース

 メインの画面左上にあるのは「メニュー」。タップすると、メインの画面に戻る「Home」、動画を検索する「Explore」、自分の過去の活動を表示する「Activity」、プロフィールを表示する「Profile」の4つが上から降りてくる。

 「Explore」では、Vineのスタッフが選出した「Editor’s Picks」、人気のものを集めた「Popular Now」、投稿された動画すべてを表示させる「All Posts」、また各種ハッシュタグから動画を検索することができる。

4つのメニュー
Exploreの画面

 動画を撮影するには、メインの画面右上にある「カメラ」をタップする。カメラで撮影する被写体を捉えたら画面をタップ。その間、動画が撮影され、タップした指を画面から離すと、撮影は一時停止される。上部でたまっていく緑色のゲージで残り時間を確認しながらこれを繰り返す。つまり、撮影する動画は6秒一続きである必要はないということ。いくつかのシーンを自分でつなぎ合わせることができるのだ。

撮影中の画面

 撮影した動画を投稿するには、任意でキャプション、動画を撮影した位置に関する情報を追加し、共有するメディアをVineのみ、Twitter、Facebookから選択して「Done」をタップ。これで完了だ。

動画投稿画面

 ちなみに、「Popular Now」で紹介される人気の動画には、幼児がハイハイで部屋を駆け回る様子や、描きかけの絵を撮影した数秒の短い動画を自分でつなぎ合わせた、「コマ撮りアニメ」風のものが多い。

描きかけの絵を撮影した、「コマ撮りアニメ」風動画

 Vineでユーザー同士がつながる方法は「iPhone内の電話帳」「Twitterのフォロワー」「Vine内の検索」「テキストメッセージ」「Eメール」の5つ。しかし「Facebook」を経由してつながることはできない。Vineの公開から1日も経たずして、Facebook側がVineからのAPIへのアクセスをブロックし、データを抽出できないようにしているからだ。

「Find People」画面

 米Facebookは1月25日(現地時間)、Facebook向けアプリケーション開発プラットフォーム「Facebook Platform」のポリシーを改定していた。Facebook Platformパートナーシップおよび業務担当ディレクターのJustin Osofsky氏は開発者向けブログの中で、「Facebookユーザーにほとんど価値をもたらさないようなやり方で、機能の模倣を図ったり、自分の成長を促進しようとするごく少数のアプリケーションに対してポリシーを改定し、当社の姿勢をより明確に示す」としている。メッセージングアプリ「Facebook Poke」でよりインスタントなユーザー間のやりとりも取り込もうとしている同社の、Vineに対する警戒の表れと言えるだろう。

FacebookがVineからのAPIへのアクセスをブロック

 VineからTwitterに投稿された動画は、Twitterのタイムライン上で表示させることもできる。すでに多くのユーザーを抱えるTwitterで動画というつぶやきが受け入れられれば、ユーザーや広告媒体として利用する企業に新しいコミュニケーションの楽しみ方を提供し、新たな収益源となる可能性もある。

 動画に特化したソーシャルアプリは昨年から注目を集めていた。その最たる例は「Viddy」だろう。国内では、子どもの成長過程を動画に収めて投稿するなど、テーマを絞ったアプリが登場した。しかしどれも今ひとつ定着してしない。Vineがその二の舞にならないためには、動画を投稿することの楽しさ、写真ではいけない理由を、ユーザーのシーンに合わせてより分かりやすく訴求する必要がある。

 一部報道によると、Vineではポルノ動画が流通しているといった問題も発生しているようだ。質の高い動画とユーザー数、このニワトリの卵のような関係を高い水準で相互に高め合うことができるだろうか。

岡 徳之(tadashiku)