レビュー

経理・簿記の知識はゼロ。人生初の青色申告に「freee」で挑戦!

(4)取引入力を完了、いよいよe-Taxで申告!

 経理・簿記の知識はゼロの筆者が、クラウド型の会計サービス「freee」で青色申告に挑戦する本レビュー。第4回はこれまでfreeeで入力してきたデータをもとに、最終目的地であるe-Taxを使った確定申告に挑戦する。

◇第1回:準備から明細の取り込みまで~さっそくチャットサポートへ救いを求める
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/review/20140127_632007.html
◇第2回:売上、経費の取引登録~自動マッチングで漏れやミスのない帳簿を作る
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/review/20140210_634109.html
◇第3回:毎月決まった支払いや入金は「自動化」が便利
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/review/20140212_634521.html

e-Taxのメリット、デメリット

 e-Taxによる具体的な確定申告手順の前に、まずはe-Taxのメリットやデメリットについて簡単に触れておこう。e-Taxとは、従来であれば税務署に直接提出するか、郵送で提出していた確定申告の書類を、インターネットを通じて提出できるシステム。利用にはインターネット環境のほかに対応パソコンや住民基本台帳カード、ICカードリーダーなどが必要となる。

 メリットとしては確定申告に必要な書類を省略できること、還付金が発生する時期が早まることが挙げられる。書類の省略はすべての書類ではないものの、医療費の領収書や生命保険料控除の証明書などが不要になるため、人によっては一切書類を郵送しなくてもすむ。なお、支払調書に関しては、企業など支払った側は提出義務があるものの、支払いを受けた個人事業主に対して企業が交付する義務がないため、個人事業主の確定申告にはそもそも提出の必要がないことも付け加えておく。

 一方、デメリットとしては申告のためのコストが発生すること。パソコンやインターネット接続環境は持っている前提としても、さらにe-Taxに対応したICカードリーダーが1,000~2,000円前後、住民基本台帳カード(住基カード)の発行手数料として500円前後が必要。ICカードリーダーや住基カードを持っていない人はこれらが追加費用として発生することになる。

住民基本台帳カードは、写真付き・写真無しの2タイプから選択可能。どちらでもe-Tax申告に利用できる

 なお、これまでe-Taxを利用して確定申告を行なった場合は数千円程度の税金控除が行なわれていたが、残念ながらこの制度は平成24年度で終了しており、今回の確定申告期間である平成25年度分では控除が行なわれない。そのためこれまでは控除額を見込んでICカードや住基カードを新規購入できたものの、今回からは単純に追加コストとして負担することになる。

◇住民基本台帳カード総合情報サイト
http://juki-card.com/

e-TaxはWebサイトか専用ソフトで登録。汎用性の高いWebサイトがお勧め

 e-Taxで確定申告を行なう方法は2種類。1つが国税庁のWebサイト「確定申告書等作成コーナー」から登録する方法、もう1つが専用ソフト「e-Taxソフト」を使う方法だ。今回のレビューでは後者と比較するため、前者の「確定申告書等作成コーナー」は便宜上「e-Taxサイト」と呼称することにする。

 e-Taxサイトはいくつかのプラグインや証明書などのインストールは必要になるものの、基本的にはソフトをインストールすることなくWebサイトのみで確定申告を完結できる。インターフェイスも使いやすく、筆者の周りでも「確定申告のWebサイトは使いやすい」と評価は高い。

確定申告書等作成コーナー。本レビューでは「e-Taxサイト」とする

 e-Taxソフトはソフトのインストールが必要になるものの、「.xtx」形式のファイルを連携できる点が特徴。freeeでは決算データを「.xtx」形式のファイルで出力できるため、freeeのデータをそのままe-Taxソフトで利用できる。ただし、インターフェイスに関しては一昔前のWindowsソフトといった外観から推して知るべしというべきか、慣れるまではかなり取っつきにくく、e-Taxサイトに比べると使いにくさを感じる。

専用ソフト「e-Taxソフト」。汎用的な名前だがこれが正式名称
e-Taxソフトの画面

 どちらも一長一短ではあるものの、今回のレビューではe-Taxサイトの利用をお勧めしたい。というのも、e-Taxソフトは対応環境がWindowsのみに限定されてしまうためだ。e-TaxソフトはWebブラウザーで動作する「e-Taxソフト(Web版)」もあり、こちらはMacでも使えるのだが、e-Taxのヘルプデスクに確認してみたところ、e-Taxソフト(Web版)は機能が限定されていて確定申告には利用できないとのこと。そのため、e-Taxソフトで確定申告できるのは事実上Windowsのみということになってしまう。

 一方、e-TaxサイトであればWindowsだけでなくMac OSでも利用できる。残念ながら推奨環境はMac OS 10.8(Mountain Lion)までで、最新OSであるMac OS 10.9(Mavericks)は推奨環境に含まれていないのだが、今回のレビューでは、より多くのユーザーに試してもらうためにもe-Taxサイトを利用することにする。

 e-Taxサイトの場合、xlx形式のデータ連携ができないため、freeeで作成した決算書の内容を再度入力する必要があるが、freeeの決算書の項目をそのまま転記していくだけなので難しくはない。インターフェイスもわかりやすく、入力途中でのセーブもできるなど使いやすいほか、e-Taxを使わないで郵送または税務署へ提出する場合にも役に立つため、今回はe-Taxサイトを中心にレビューを進めていく。

【e-Taxソフトとe-Taxサイトの比較】

対応OSxtxファイル
読み込み
申請URL
e-Tax
ソフト
Windowsオンラインhttp://www.e-tax.nta.go.jp/e-taxsoft/
e-Tax
サイト
Windows/Mac×オンラインまたは郵送https://www.keisan.nta.go.jp/h25/ta_top.htm

確定申告前に動作確認や利用者識別番号の取得が必要

 前置きが長くなったが、いよいよfreeeを使って確定申告へ挑戦だ。なお、確定申告では基本的に決算書と確定申告書の2つを国税庁へ提出するが、筆者のレビュー時点ではfreeeで作成できるのが決算書のみのため、確定申告書はe-Taxサイトを使って別途入力することになる。このあたりはfreeeのヘルプにも解説があるので合わせて確認して欲しい。

◇freeeを使った確定申告の流れ : 会計ソフトfreee(フリー) ヘルプページ
https://support.freee.co.jp/entries/22380419-freee%E3%82%92%E4%BD%BF%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%A2%BA%E5%AE%9A%E7%94%B3%E5%91%8A%E3%81%AE%E6%B5%81%E3%82%8C

◇0. 確定申告書を作成しましょう : 会計ソフトfreee(フリー) ヘルプページ
https://support.freee.co.jp/entries/26003329-0-%E7%A2%BA%E5%AE%9A%E7%94%B3%E5%91%8A%E6%9B%B8%E3%82%92%E4%BD%9C%E6%88%90%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86

 まずはfreeeから決算書をダウンロード。「決算」「決算書の作成」から、会計期間が2013年であることを確認した上で「青色決算書をPDF出力」をクリック、決算書をPDFで保存する。e-Taxサイトで確定申告を行なう場合、freeeで作業を行なうのはここまでだ。

freeeのサイトから決算書をダウンロード
ダウンロードした決算書データ。書類提出の場合はそのまま印刷するだけと手軽

 続いて、国税庁のe-Taxサイト「確定申告書等作成コーナー」(https://www.keisan.nta.go.jp/h25/ta_top.htm)にアクセス、「作成開始」を選択する。次の画面ではe-Taxか書面での提出かを聞かれるので、ここでは「e-Tax」を選択。書面の場合はICカードの動作確認の代わりにプリンタの動作確認が行なわれるが、基本的な手順は同じだ。

 実際の手続きに入る前には、ブラウザやソフト、カードリーダーや電子書籍などの動作確認が行なわれる。全部スキップすることもできるが、ここは丁寧に全部の項目をチェックしておこう。一度すべてのチェックが完了し、再度手続きを行なう場合であればスキップするといい。

確定申告書等作成コーナーから「e-Tax」を選択
動作確認のチェック項目

 確認項目は「(1)パソコンとソフトウェア」「(2)カードリーダライタと電子証明書」「(3)事前準備セットアップ」「(4)利用規約」の4つだが、(2)で必要になる「JPKI利用者ソフト」は、(3)のセットアップ中にインストールするソフトのため、手順としては先に(3)を行ない、続いて(2)を行なうようにしよう。

 なお、電子証明書の確認には、住基カード発行の際に登録した「公的個人認証サービスのパスワード」が必要になる。このパスワードは5回間違えると自動的にロックがかかり、発行した自治体の窓口へ行かないとロック解除できない。なぜこんな事を知っているかと言えば筆者もロック解除の憂き目にあったためだが、窓口へ足を運ぶ手間がかからないよう、これから住基カードを発行する人はパスワードをしっかりと控えておこう。

「JPKI利用者ソフト」は事前準備セットアップの中でインストールできる
電子証明書の確認には住基カード作成時に登録したパスワードが必要

 動作確認が終わったら、次に「利用者識別番号」の登録を行なう。基本的には画面に従っていけば動作は完了するものの、ここでは半角英数8文字以上の「暗証番号」、半角数字のみ6桁の「納税用確認番号」の登録が必要。英文字も組み合わせられるので暗証番号ではなかろうという思いはさておき、新たに管理しなければいけない番号が2つも増えるので忘れず控えておこう。

利用者識別番号を新たに作成
利用者識別番号の暗証番号、納税者用確認番号を新規に登録

 手続きが終わると自分が登録した「暗証番号」に加え、利用者識別番号が新たに発行される。利用者識別番号と暗証番号はこの画面でしか確認できないため、ある意味利用者識別番号もパスワードや暗証番号に近い存在。つまりここまでの手順で4種類もの暗証番号やパスワードを控えなければいけないわけで、公的な個人認証の大変さを改めて実感させられる。

利用者識別番号と暗証番号はこの画面でのみ確認できる

freeeのデータを元に国税庁サイトで決算書を作成

 事前の手続きが一通り完了したら、いよいよここからが確定申告の本番だ。まずは「青色決算書作成コーナー」を選択、次に表示される「過去の年分のデータの利用確認」では「データを読み込まずに申告書等を作成する」で決算書の作成を開始する。

 作成の途中では提出方法の選択を問われるため、「e-Taxにより税務署に提出する」「青色申告決算書を作成する」を選ぼう。郵送または税務署へ直接提出する場合はe-Taxでなく「印刷して税務署に提出」を選べばいい。

「青色決算書作成コーナー」を選択
e-Taxか書類を印刷して提出するかを選択

 青色申告決算書は一般向けの「営業等所得がある方はこちら」を選ぶ。他の2つは農業または不動産所得がある場合なので筆者の場合は関係ない。

 あとは実際に決算書の数字を埋めていくだけ。一見難しそうに見えるが、先ほどfreeeからダウンロードした決算書と項目は同じなので、freeeの資料を見ながら入力していけばさほど難しいことはない。

営業等所得向けの決算書を選択
決算書の作成画面。freeeでダウンロードした決算書の項目を埋めていく
売上の入力画面
こちらはfreeeでダウンロードしたデータの売上月別金額。項目が同じなので該当する金額を入力していけばいい

 続いて青色申告特別控除の選択に移る。青色申告かつ複式帳簿の場合は65万円の控除となるため、freeeで複式帳簿をつけている筆者は65万円を選択。次に行なう貸借対照表の作成も、先ほどと同様freeeのダウンロードデータを見ながら入力していくだけ。あとは住所や氏名などのデータを入力すれば完了だ。

freeeで青色申告する場合は迷わず65万円の控除を選択
賃借対照表の入力画面
賃借対照表もfreeeのデータに従って入力

確定申告書を手動で作成

 決算書の作成が終わったら、次は「所得税および復興特別消費税の確定申告書」の作成だ。決算書作成から続けて行なってもいいし、データを保存している場合は再度サイトのトップから選んでもいい。

 こちらも基本的にはfreeeで出力したデータに従って「収入金額・所得金額入力」の数値を入力していく。freeeのヘルプにも確定申告書の入力方法が紹介されているのでこちらも合わせて確認して欲しい。

確定申告書の作成。サイトトップから作成する場合は画面中央の「左記に該当しない方」を選ぶ
確定申告書の収入・所得金額入力画面

◇2. 【基本的な流れ】収入(所得)入力 : 会計ソフトfreee(フリー) ヘルプページ
https://support.freee.co.jp/entries/26186124-2-%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E7%9A%84%E3%81%AA%E6%B5%81%E3%82%8C-%E5%8F%8E%E5%85%A5-%E6%89%80%E5%BE%97-%E5%85%A5%E5%8A%9B

 「収入金額・所得金額入力」の次は所得控除入力だが、こちらは医療費や生命保険料などなど所得を控除できるものを入力しよう。ここもfreeeのヘルプが参考になる。

所得控除の入力画面

◇3. 【基本的な流れ】所得控除の入力 : 会計ソフトfreee(フリー) ヘルプページ
https://support.freee.co.jp/entries/26106069-3-%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E7%9A%84%E3%81%AA%E6%B5%81%E3%82%8C-%E6%89%80%E5%BE%97%E6%8E%A7%E9%99%A4%E3%81%AE%E5%85%A5%E5%8A%9B

 続いて「税額控除・その他の項目の入力」は該当する項目がなかったので入力を省略し、次に進むと入力内容に基づいた所得税の納付金額が表示され、一連の情報入力作業が完了する。

税額控除・その他の項目の入力

◇3. 【基本的な流れ】「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」の入力 : 会計ソフトfreee(フリー) ヘルプページ
https://support.freee.co.jp/entries/26103529-3-%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E7%9A%84%E3%81%AA%E6%B5%81%E3%82%8C-%E6%89%80%E5%BE%97%E7%A8%8E%E5%8F%8A%E3%81%B3%E5%BE%A9%E8%88%88%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%89%80%E5%BE%97%E7%A8%8E%E3%81%AE%E6%BA%90%E6%B3%89%E5%BE%B4%E5%8F%8E%E7%A8%8E%E9%A1%8D-%E3%81%AE%E5%85%A5%E5%8A%9B

入力が完了し、納付金額が表示される

 なお、第2回でも触れたとおり、freeeでは今後確定申告書の作成にも対応する予定。現状は残念ながらこの機能が提供されていないため手入力で確定申告書を作成したが、本機能が提供された場合、郵送または税務署へ提出するのであれば、ダウンロードしたデータを印刷するだけで確定申告の書類一式を準備できることになる。

 残念ながらe-Taxの場合、冒頭の通りe-Taxソフトを使うのであればデータ連携できるものの、そうでない場合は手動入力が必要になるが、それでもまったく同じ項目を見ながら数字を転記していくだけですむので作業もより楽になるだろう。

作成した決算書と確定申告書をe-Taxで送信

 決算書と確定申告書が終わったら、あとはe-Taxでデータを送信する。「確定申告書コーナー」から確定申告書の作成に引き続き操作を行なうことでe-Taxによる申告が行なえる。

決算書と確定申告書を作成したらe-Taxでの送信が可能になる

 e-Taxによる申告では最初に取得した利用者識別番号が必要になるが、画面に従っていけばさほど難しいポイントはない。一点だけ途中で決算書の送付で「決算書・収支内訳書のデータや支払者から電子交付(xmlデータ)を受けた源泉徴収票などを一緒に送信する」という項目があるが、今回は決算書や収支内訳書を自分で作成しており、源泉徴収票も電子データでは取得していないので「上記以外(別途書面で提出するなど。)」を選べばいい。

利用者識別番号を入力
決算書等の送信は「上記以外」を選択

 最後にICカード発行元の認証局サービス名を選択。画面にも解説があるが、住基カードの場合は「公的個人認証サービス」なので、プルダウンから該当の項目を選び、「送信」を押せばe-Taxでの確定申告は完了だ。なお、当然のことながらICカードリーダーはPCに装着し、住基カードもICカードリーダーにセットするのを忘れないようにしよう。

住基カードを利用する場合は「公的個人認証サービス」を選択する

e-Taxソフトはfreeeの決算データを取り込める

 今回は汎用性を考えてe-Taxサイトでの確定申告を行なったが、データ連携できるe-Taxソフトの利用方法も簡単に紹介しておく。まずはe-TAXサイト(http://www.e-tax.nta.go.jp/download/e-taxSoftDownLoad.htm)から該当のソフトをインストールし、利用者識別番号と自分の名前を登録して利用を開始しよう。

利用者識別番号と名前を登録

 e-Taxソフトは初回インストール時は必要なプラグインがまったくインストールされていないため、そのままではfreeeのデータを読み込むことができない。そのため起動時に聞かれる追加プラグインから必要なものをインストールしよう。筆者の場合はまず基本プログラムである「共通」プラグインに加え、平成25年分の所得税プラグインをインストールした。

 次にe-Taxソフトへ取り込むfreeeのデータを準備する。freeeのサイトから「決算」「決算書の作成」を選び、画面下部の「e-Tax」項目からe-Taxソフトに取り込めるxtx形式のファイルをダウンロードできる。なお、ダウンロード前に「e-Tax用設定を編集」から、税務署情報と利用者識別番号を登録しておこう。これをしておかないとe-Taxソフトで読み込んだ時にエラーが発生してしまう。

追加プラグインをインストール
freeeのサイトからxtx形式のファイルをダウンロード。税務署情報と利用者識別情報はあらかじめ登録しておく

 freeeのデータが用意できたら、e-Taxソフト左側の「作成」から「申告・申請等」を選び、画面右下の「組み込み」からダウンロードしたxlxファイルを指定するとfreeeのデータが取り込める。基本的にはすでにfreeeで作成済みのため修正の必要はないと思うが、修正が必要な場合は該当のデータを選んで右下の「帳票一覧」を開き、次の画面で右下の「帳票編集」から可能だ。

e-Taxソフトの「組み込み」からfreeeの.xlxファイルを取り込む
「帳票一覧」「帳票編集」から取り込んだデータの修正が可能

 これで決算書の準備ができたので、次は確定申告書を作成する。「帳票一覧」から「帳票追加」を選び、上から2つめの「確定申告書B」の帳票にチェックを入れて「追加」を選択。必須帳票が足りないというアラートが表示されたのち、自動的に足りない帳票データも追加される。あとは「帳票編集」から入力が可能だ。なお、確定申告書Aは給与所得が基本で予定納税額がない人のための申告書のため、個人事業主は確定申告書Bを使うことになる。

 確定申告書Bの入力項目はe-Taxサイトと変わらないので、freeeから決算書をPDFでダウンロードし、該当項目を埋めていく。申告書が作成できたら画面右の「送信」から決算書と確定申告書の提出が可能だ。

「帳票一覧」「帳票追加」から確定申告書のデータを追加
自動的に足りない帳票データも追加される
確定申告書のデータが追加された
確定申告書の入力項目はe-Taxサイトと同じ

自動登録がfreeeの魅力。機能拡充とチュートリアルの向上に期待

 ユーザー登録からe-Taxを利用した確定申告まで、4回にわたってfreeeを紹介してきた。青色申告もfreeeの利用も初めてだった筆者にとってはすべてがおっかなびっくりではあったものの、一連の流れを体験することでfreeeの良さを実感できたと思う。

 正直に言ってしまえば、「全自動のクラウド会計」「経理/簿記の知識は要らない」というfreeeのキャッチコピーは、少なくとも現状のfreeeには合っていないと感じる。freeeの明細自動同期や取引登録の自動化といった機能は非常に便利だが、売上を立てたり自動ではうまく処理できない明細を手動で登録したりという手間はどうしても必要になる。また、サービス全体を使ってみた今でこそfreeeの使い方はほぼ把握できたが、初見では操作方法がわからないところも多く、結局は試行錯誤を重ねたり、チャットサポートに問い合わせることでなんとか乗り切ることができたというのが素直な感想だ。

 とはいえ、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込んでくれる機能は使ってみると非常に便利。前年の白色申告ではExcelでこまめに経費を登録していたが、freeeならそうした登録作業も不要な上に、手動では起きうる数字の入力ミスがないという安心感もある。全自動とはいかないまでも、面倒な入力を代わりに自動化してくれる「半自動」という点では非常に魅力的な機能だ。

 使い方に関しても一通りの操作を体験してみると非常にわかりやすく、freeeの仕組みさえ理解すれば確かに経理や簿記の知識はなくても登録はできる。これはひとえにチュートリアルの問題だと感じた。初回のシンプルなチュートリアルが終わると後は何をしていいかわからないのだが、例えば複数の銀行口座やクレジットカードを登録する、銀行口座のクレジットカード引落しをクレジットカードに振り替えるといった機能をチュートリアルに取り入れればより機能がわかりやすくなるのではないかと感じた。

 今回はfreeeを使ったe-Taxも挑戦したが、こちらも正直を言えばe-Taxより印刷のほうが便利そうだ。冒頭で説明したとおりe-Taxのためにはコストもかかるし、e-Taxを使った控除ももはや適用されない。また、freeeを使うと印刷するだけで提出できる確定申告の書類が作成できるので、e-Taxを使うよりfreeeのデータをそのまま印刷、郵送なり税務署へ持ち込むなりのほうが圧倒的に手軽だと思えた。

 現状は確定申告書の作成を国税庁のサイトで行なっているが、このレビューで何度も触れている通り、この確定申告期間中にfreeeで確定申告書の作成も対応する予定のため、これから確定申告を行なう人にはさらに便利になるだろう。筆者にとっても悪戦苦闘した今回のfreee体験記が、これから確定申告を行なう方々の助けに少しでもなれば幸いだ。

甲斐 祐樹