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夏休みに親子・家族で読みたい、無料のサイバーセキュリティ/ネットリテラシー読本5選

サイバーセキュリティ/ネットリテラシーは子どもにとっても大問題! 家族みんなで勉強しよう

 8月もすでに後半。お子さんのいる家庭ですと、そろそろ「宿題が終わらない!」という悲鳴が聞こえてくるころでしょうか。

 宿題の定番と言えばドリル、自由研究、読書感想文あたりですが、最近は“サイバーセキュリティ/ネットリテラシー”がお題になるケースもあるようですね。確かに夏休みは子どもにとって自由な時間が多くあるので、ネットの利便性・危険性を学ぶにはピッタリの時期とも言えます。

 そこで今回は、小学生から高校生まで、さまざまな年代の子どもたちが保護者と一緒にサイバーセキュリティ/ネットリテラシーを学ぶのに役立つ無料ガイド本を5つ紹介します。その大半が印刷できるようになっているので、小学生のお子さんがいる家庭でしたらぜひ一緒に読んであげてください。大人向けの入門書としても侮れませんよ!

東京都教育委員会「SNS東京ノート」

http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/2017/pr170323d.html
http://ijime.metro.tokyo.jp/school/

 東京都教育委員会が2016年度から発行している学習教材で、2017年版は無料メッセージアプリ大手のLINEとタッグを組んで制作。都内の全公立学校にて配布しています。小学校の1・2年用、3・4年用、5・6年用、そして中学生用、高校生用の全5種類があり、特設サイト「考えよう!いじめ・SNS@Tokyo」の「学校関係者の方へ」のページからダウンロードできます。

 さて、ノートの中身は、現実にありそうなエピソードを例示して「自分ならどう思うか、意見を書きましょう」というパターンが非常に多くなっています。例えば小学3・4年版の9ページでは「おもしろいね」という言葉の印象が対面かメールでは全く違うことを説明しています。その上で、子どもが意見を書き込めるようになっていて、それに対する保護者・教師のコメント欄もあり。まさに、子どもと大人が一緒に考えられるようになっています。

 タイトルに「ノート」と付いていることからも分かるように、読むだけでなく、考えて書くことが重視されている教材となっています。

IPA「サイバーセキュリティのひみつ」

http://www.ipa.go.jp/security/keihatsu/security-himitsu/
https://bpub.jp/bookbeyond/item/000405915272

 セキュリティ関連の活動で知られるIPA(情報処理推進機構)が特別協力し、学研プラスから発行されている学習マンガ。小学生(主に3~4年生)を対象としています。紙版は店頭では販売されず、主に公立図書館などに納本されているとのこと。とはいえ、「学研BookByond」にアクセスすれば電子書籍版がログイン不要で無料閲覧できます。

 やはりマンガとあってとにかく読みやすいのが特徴。冒頭では「バレやすいパスワード」の危険性を特に訴えていますが、ほかにもウイルスや不正送金などの話題も。電子書籍版は全132ページ。

内閣サイバーセキュリティセンター「マンガで学ぶサイバーセキュリティ」

https://www.nisc.go.jp/security-site/school/

 サイバーセキュリティ基本法の成立に伴い内閣官房内に設置されたのがこちらの「内閣サイバーセキュリティセンター」(略称は「NISC」)です。閣議決定された内容などに基づき、セキュリティ関連の業務を行っています。

 NISCでは広く一般を対象としたセキュリティ啓発サイト「みんなでしっかりサイバーセキュリティ」を運用中で、マンガ版ガイドも公開中です。2015年版・2016年版の2種類がありますが、どちらも全20ページとコンパクトにまとまっていて、読みやすいです。小学校高学年~中学生くらいにピッタリな内容となっています。

カスペルスキー「セキュリティとモラルのガイドブック」

https://kasperskylabs.jp/activity/csr/book/

 セキュリティ製品メーカーのカスペルスキーがCSR活動の一環で公開中の資料。非常に充実した内容となっており、「サイバーセキュリティの教科書」として十分活用できるでしょう。解説項目は「SNSへの書き込みは世界中の誰からでも読める」「公開範囲の設定に注意を」など。上述したマンガ形式のガイド本と比べるとやや難解ですが、中高生であれば理解できるでしょう。全36ページ。

 なお、ガイド本(PDF)自体は無料ですが、ダウンロードにあたっては名前・住所・メールアドレスなどの入力が必要です。また、ダウンロードページからはガイド本だけでなく、このガイド本をもとに講演・授業を行うためのスライド(PowerPoint)も入手できます。

内閣サイバーセキュリティセンター「ネットワークビギナーのための情報セキュリティハンドブック」

https://www.nisc.go.jp/security-site/handbook/

 こちらもNISCが公開中の無料ガイドブック。イラストこそ多用されていますが、内容は相当本格的。ここまでいくと小学生のお子さんが読むには難しいので、保護者の方が指導するときの参考にどうぞ。PDF版は全155ページで、巻末には用語集・索引も掲載。常に手元に置いておき、必要なときにページを開くのもいいでしょう。

 このガイドブックは、国内でサービス中の主要電子書籍ストアを通じてもダウンロードできます。Kindle ストア、楽天Kobo、BookLive!、hontoなど、すでに利用中のストアがある方は、上手く活用してみてください。

子ども向けと侮るなかれ、基本を再確認するキッカケに

 以上、いかがだったでしょうか。今回紹介した5つのガイド本の中には小学生向けの側面が強く、表紙だけを見た大人からすると“今さら感”があるものもあるかもしれません。しかし、実際に中身を見てみると、なかなかどうして興味深い。LINEと思しきアプリでやりとりする文章の例などを見ると、大人の使い方とは全く違う世界が広がっていることが分かると言いますか……。

 大人だってSNSで詐欺に引っかります。SNSでストーキングされることもあります。一方で子どもたちも、好奇心旺盛でスマホを使いこないしたいと思うがゆえに、足元をすくわれることがあります。ここはひとつ、夏休みを契機に子どもも大人も基本に立ち返って、真摯な気持ちでサイバーセキュリティ/ネットリテラシーに向き合っていきましょう!