スマホがキャズム超え目前、PCネットユーザーにおける所有率が14.8%に

「インターネット白書2011」で見る最新動向(2)

インターネット白書2011

 インターネットの最新動向についてとりまとめた「インターネット白書2011」(監修:財団法人インターネット協会、発行:株式会社インプレスジャパン)が7月29日に発売された。統計データなどを中心に収録内容の一部を紹介する。

 今回は、同白書で毎年実施・報告している「インターネット個人利用動向調査」の結果から、インターネットを利用するデバイスの状況についてとりあげる。

 調査は、自宅からインターネットを利用している13歳以上の男女を対象に、5月に実施したもの。「gooリサーチ」のアンケートパネルから、性年代別/自宅パソコンからの1週間あたりのインターネット利用時間別のインターネット人口構成比にできるだけ合致するようサンプルを抽出し、3321人から有効回答を得た。

 なお、アンケートはパソコン向けサイトで行っているため、回答者全員がパソコンからインターネットを利用していることになり、携帯電話からのみインターネットを利用しているような層は含まれない。また、東日本大震災で特に被害の大きかった岩手、宮城、福島の3県については今年は調査対象から除外した。

この1年で「スマートフォン派」が3.6%から14.0%に増加、女性比率も上昇

 2011年版白書では前年に引き続き、スマートフォンや携帯電話など“マルチデバイス”という観点からインターネット利用状況を分析している。利用しているデバイスと、そのデバイスによるインターネット利用時間の多寡の組み合わせにより、インターネットユーザー層を7つのグループに分類した。

 まず、他のデバイスの利用にかかわらずスマートフォンでインターネットを利用している層を「スマートフォン派」、同じくタブレット端末で利用している層を「タブレット派」としている(両方で利用している場合はスマートフォン派に分類)。次に、パソコンでの利用時間が長い層を「パソコン派」、携帯電話からの利用時間が長い層を「携帯電話派」、2つのデバイスいずれも長い層を「携帯電話パソコン併用派」とした。さらに、スマートフォン、携帯電話、パソコンのいずれからも利用時間が短く、その他のデバイス(ゲーム機など)から長い層を「その他のデバイス派」、5つのデバイスいずれからも利用時間が短い層を「低利用層」としている。

 この分類に従うと、スマートフォン派が14.0%(465人)、タブレット派が1.7%(58人)、携帯電話派が13.6%(450人)、パソコン派が27.3%(908人)、携帯電話パソコン併用派が12.4%(413人)、その他のデバイス派が4.2%(138人)、低利用層が26.8%(889人)という構成になった。

 スマートフォン派が前年調査の3.6%から大きく増加するとともに、男女比にも変化が現れているという。依然として男性比率が高く(7割)、特に男性20~40代で半数を占めるものの、女性20代・30代が合計で2割になるなど、女性も増加した。

 一方で、パソコン派は前年の32.9%から減少しているが、女性比率および年代が上昇しているという。携帯電話派もまた、女性比率と年代が上昇しており、これら2つのグループの一部がスマートフォン派やタブレット派に移行しているものと白書では推測している。

 このほか低利用層が前年の33.1%から減少し、前年よりも女性比率および年代の上昇傾向が見られる。女性の中高年層と男性の高年層が中心になっているという。

インターネット利用デバイスの構成比

年齢・性別から見たインターネット利用デバイス別グループモデル

スマートフォンの所有率は14.8%、購入予定者も含めると半数近くに

 スマートフォンの所有率を見ると、「すでに利用している」とした人は全体の14.8%で、前年の6.5%から増加した。また、「購入を検討中」も5.4%から11.4%へ、「将来的に購入する予定」も9.8%から21.9%へとそれぞれ増加。これら購入予定者も含めると、全体の半数近くを占めるまでになった。

 性年代別に見てスマートフォンの所有率が高いのは、男性20代の29.6%と、女性20代の25.3%。この年代の男女に次いで、男性40代の22.7%、男性30代の22.5%、男性10代の19.6%の順。

スマートフォンの認知度と所有状況(性年代別)

 タブレット端末の所有率は全体の3.0%で、男性40代の所有率が5.0%と最も高かった。購入予定者もスマートフォンほどは多くはなく、「購入を検討中」が全体の4.8%、「将来的に購入する予定」も9.6%にとどまっている。

タブレット端末の認知度と所有状況(性年代別)

 白書では、スマートフォンの所有率や同機器によるインターネット利用率が14%台になったことから、「イノベーターとアーリーアダプターを合わせた層に普及した段階(キャズム、普及率16%超)を超えるのも時間の問題であり、通信会社の戦略もあって、スマートフォン市場は一気に加速する」と予想している。

 なお、回答者の世帯で利用している「インターネット機器」(複数回答)は、ノートパソコンの69.1%(前年は67.8%)、携帯電話の59.4%(同64.3%)、デスクトップパソコンの58.8%(同53.1%)が他を引き離している。また、液晶テレビはまだ12.0%とそれほど多くはないが、前年の7.5%から増加した。

世帯で利用しているインターネット機器トップ30(複数回答)

 「インターネット白書2011」は、A4変形判・240ページで、価格は7140円。付録CD-ROMには、アンケート調査結果のグラフ画像データに加え、同白書全編をPDF化した電子書籍版を同CD-ROMに収録している。

「インターネット白書2011」電子書籍版




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(永沢 茂)

2011/8/4 11:00