イーバンク銀行は18日、ライブドアとの資本提携についての記者会見を行なった。松尾泰一代表取締役社長、星崎治男代表取締役副社長、山田貞一郎取締役らが出席し、現在までの経緯や、ライブドアが指摘する点に回答した。
● 影響力を持ちたいライブドア、危機感を持つイーバンク銀行
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イーバンク銀行経営陣。左から星崎治男代表取締役副社長、松尾泰一代表取締役社長、山田貞一郎取締役
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両社の資本提携は、2003年9月から始まった。10月18日に正式に契約し、イーバンク銀行の実施した第三者割当増資をライブドア(旧エッジ)が引き受けている。10月20日には、イーバンク銀行がライブドアの役員と社員12名の出向を受け入れ、その後ライブドア主導の業務改善が行なわれたという。松尾氏は当時を振り返り、「ライブドアのITに関する経験や160万の会員を、われわれのビジネスモデルと融合したいと思った」と提携の理由を語った。
イーバンク銀行によれば、11月26日に開かれた両社のミーティングでライブドアが株主利益を主張。12月4日に開かれたイーバンク銀行の臨時取締役会では、ライブドアとの出資契約の見直しを検討すべきとの意見があった。「ライブドアは、出資するならある程度は影響力は持ちたいと思っていた」(松尾氏)とし、イーバンク社内に危機感もあったという。
両社の関係は徐々に悪化し、12月11日のミーティングでは、イーバンク銀行がライブドアに対して、出資契約の見直しを提案。翌12日には、イーバンク銀行に出向していたライブドア役員や社員の受け入れを解除した。さらに、18日のイーバンク銀行定例取締役会にて、出資時の条件となっていたライブドア役員のイーバンク銀行取締役就任を否決し、対立は決定的となった。
● 2003年末からは“泥仕合”の様相
イーバンク銀行は12月19日に、ライブドアへ出資契約書の確認を求める通知書を郵送。ライブドアからは、12月25日と26日に1通ずつの通知書が郵送された。ライブドアからの通知書は、イーバンク銀行の投資案件について不信を示したもので、不透明な案件については特別背任で告訴するという書面だったとしている、また、2004年1月8日に開かれたイーバンク銀行臨時取締役会では、出資契約の解消とライブドア取締役として派遣していた松尾氏や河野貴輝氏の辞任を可決。1月22日にライブドアへ通知している。
さらに対立を深めたのは、イーバンク銀行の株主総会直前2月5日にライブドアがイーバンク銀行株主に対し、レターを送付したことだ。送付されたレターは、「単月黒字はライブドアの融資があったから」「投資案件に不透明なものが多い」「新規の第三者割当増資が株主議決権の希薄化を狙ったものだ」とする内容で、株主総会でこれら議案に反対票を投じるよう要請していた。また、これまでの書類はライブドアの堀江貴文代表取締役社長の署名で郵送されていたが、このレターにはライブドアの宮内亮治取締役最高財務責任者の署名がされていたという。なお、ライブドアでは、2月10日にイーバンク銀行の松尾氏だとする人物より宮内氏の携帯電話へ連絡があったとし、留守番電話に保存された音声をWeb上で公開している。
● 破談は、“企業文化の差”
イーバンク銀行は記者会見で、ライブドアに指摘された「単月黒字化の達成について」「不透明な投資案件について」「ライブドアが公開した音声ファイルの真偽」に関して改めて回答。2003年12月に達成した単月黒字については、「投資運用業務を中心とする経常収益拡大によるもの」、投資案件については、「金融庁の検査を受けたほか、一定の基準を設けている」とそれぞれ否定した。また、音声ファイルの真偽については、「第1次鑑定の結果は出ていて、ほぼ私の声ではないということが判明した」(松尾氏)とし、今後告訴を含め検討するという。
このほか、ライブドアによるM&Aの手法や、その結果によるコストカットやリストラなどのリスクについての質疑応答もあった。松尾氏は、「それはリスクではなく、ライブドアの力を借りることもあり得る。コストカットをしても365日、24時間動かせる、そういうノウハウがあれば受け入れたいと思った。社内的に反対はなかった」とコメント。一方、副社長の星崎氏は、「今回のように15%の株式取得では、ここまで強い業務改善指導はないと思っていた。社内でも議論があったのは事実」だという。最終的には、「毎日毎日の実務や役員の会合を通して、企業文化の差が日に日に出てきたと思う」とまとめた。
関連情報
■URL
株式会社ライブドアが公開した「音声ファイル」について(イーバンク銀行)
http://www.ebank.co.jp/information/information_021.html
イーバンク銀行株式会社の声明に対する弊社の見解・対応について(ライブドア)
http://corp.livedoor.com/pressroom/pressrelease/content?id=265
イーバンク銀行株式会社の声明に対する弊社の見解・対応について[2](ライブドア)
http://finance.livedoor.com/ir/4753/detail?id=1
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・ エッジ、イーバンクの筆頭株主に。総合的金融サービス提供へ(2003/10/23)
・ ライブドア、イーバンク銀行との提携関係に関わる“騒動”を説明(2004/02/18)
( 鷹木 創 )
2004/02/18 19:43
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