Googleが4月1日に発表したメールサービス「Gmail」が、世界中のプライバシー団体からの非難を浴びている。4月6日に28団体がGoogleに対して公開書簡を送付したが、19日には賛同者が31団体にまで増え、今やGmailのプライバシーポリシーに関する議論が世界中で行なわれている状況だ。
GmailはWebベースのメールサービスで、1GBの保存容量を持ち、メールの内容に応じて適切な広告を表示することで利益を得ようとしている。また、Googleの検索技術を活用してフォルダの概念をなくし、すべてのメールを検索によって管理するという新しいメール管理方法をもたらした。将来的にはWebだけでなく、POP3によっても利用できるようにする計画だ。
プライバシー団体が問題にしているのは、Googleが1GBものメールを長期間にわたって保存するにあたって、1)メールが不当に扱われることがないこと、2)メールをコンピュータでスキャンすることによって得たデータを、他のビジネス部門と共有することが決してないこと──を、プライバシーポリシーの書面形式で提示していないという点だ。Gmailが危険な前例となって、メールのプライバシーは守られるべきだという人々の認識が弱くなり、今後、他の企業が悪意を持ってメールのメッセージを利用する可能性が高くなると指摘。さらに、人々のこのような感覚や一度設定された水準は、Googleという企業そのものがなくなった後も残るとしている。
Googleのシステムは迷惑メールを削除するためにメールのメッセージをスキャンすることと変わらないという主張があることに対しては、根本的な違いがあると指摘。Gmailの場合には、1)メールがスキャンされた上に広告が挿入されること、2)保存されたメールが後に再び読まれるときにも同じことが行なわれること、3)挿入される広告が第三者の広告主によるものであること──が大きな違いであるとしている。
こうしたことからプライバシー団体は、1)広告を表示するためにメール全文をスキャンすることを一時停止すること、2)データを保存する日時や削除する日時、他の部署との情報共有に関するポリシーを明確にすること──を求めている。
Googleはこのことについて公式発表を行なっていないが、一部報道ではプライバシーポリシーを再検討していると言われている。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.privacyrights.org/ar/GmailLetter.htm
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・ 米Google、無料Webメールサービス「Gmail」のベータ版~容量は1GB(2004/04/01)
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2004/04/20 13:00
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