Microsoftは、欧州連合(EU)が同社に対して行なった独占競争禁止違反に関する裁定に関して反論する見解をWebサイト上で発表した。EUが知的財産権に関して有害作用のある「新たな法律」を構築しようとしていると指摘し、革新的な技術を持つ企業が独占的地位を得る場合にさえ反競争的とすることに真っ向から反論している。しかも、この裁定はソフトウェア業界や欧州市場のみならず、他の業界や経済圏にも影響を与えかねないと指摘している。
Microsoftによると、EUが出した裁定に関する300ページにも及ぶ報告書においては2つの論点があると指摘。まず、独占的地位を有する企業が、専有する技術や知的財産権に関するライセンスをライバル企業に供与する条件が不明あるいは従来よりも厳しすぎるという。この方針に従えば、独占的企業、すなわち技術開発でトップを行く企業が、結局その技術的優位性をそのままそっくりライバル企業に渡すことを強要していることになるのではないかとMicrosoftは指摘している。
次に、独占的地位を有する企業が自社の完成品に対して改良した技術を取り込む際に、どのような場合に不法となるのかが不明だと指摘している。裁定ではいつでも不法行為になるとしているが、このようなことをすると、独占的地位を有する企業が「不戦敗」をすることになりかねないとMicrosoftは指摘。また、裁定では、合理的に改良技術の取り込みを説明できればよいとする一方で、現実には逸脱した判断をしているとも指摘している。従って、独占的地位を得ている企業が不断の努力をしても、不当にその地位を脅かされることになるという。
第1の点は、サーバーOSのライセンスに関する問題であるが、MicrosoftではUNIXの例を引き合いに出すなどして反論している。第2の点は、Windows Media Playerの組み込みに関連する問題だが、Mac OS Xも同様の動画再生システムを取り込んでいることなどを指摘。前例では認められていることに関して、「新たな法律」を作成してMicrosoftを狙い打ちにしているのではないかと結んでいる。
EUの裁定が出た後、米国ではMicrosoftを提訴していたSun Micorosystemsが和解して司法上の問題も解決していることなどから、EUの今後の動きが注目される。
関連情報
■URL
Microsoftの反論(英文、PDF)
http://download.microsoft.com/download/5/2/7/52794f65-8784-43cf-8651-c7d9e7d34f90/Comment%20on%20EC%20%20Microsoft%20Decision.pdf
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( Gana Hiyoshi )
2004/04/26 13:37
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