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決算を発表するパワードコムの白石智取締役社長(左)と佐藤紀男専務取締役(右)
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パワードコムは18日、2003年度の決算を発表した。経常損益は約120億円の赤字決算となったものの、業務の効率化やコストダウンの実施により下期の経常損益は改善しているという。同日行なわれた会見では、近日中に東芝と共同で実施するFTTHを利用したDVDの配信サービスについての概要や、7月に予定しているフュージョン・コミュニケーションズ(フュージョン)とドリーム・トレイン・インターネット(DTI)との事業統合の予定などを明らかにした。
今回の決算は、2003年4月に東京通信ネットワーク(TTNet)とパワードコムが合併して以来最初のものとなる。営業収益は1,693億2,700万円で、経常損益は120億5,600万円の赤字、特別損失や法人税などを差し引いた当期純損益は143億7,600万円の赤字となっている。
事業別では、法人向けデータ通信事業は主力商品である「Powered Ethernet」が順調に拡大。今後はイーサネット網のバージョンアップにより、優勢帯域制御(QoS)サービスなどの多様なサービスを展開していくとしている。
電話事業については、中継電話事業(東京電話)が、マイライン登録回線の減少などにより約24億円の営業損失となったものの、直加入電話事業では固定電話発携帯電話着サービスの開始により回線単価が約24%増加、IP電話事業も2003年度中に個人・法人向けに開始した各サービスが順調に伸びているという。また、今後はフュージョンとの事業統合を通じて、IP電話でのトップランナーを目指すとしている。
個人向けインターネット事業については、ブロードバンド会員が2002年の8万3,000IDから11万5,000IDへと増加、営業収入も46億円から58億円へと増加したという。今後はDTIとの事業統合を通じてさらに規模の拡大を目指すほか、光ファイバ1本でデータ・音声・映像を提供していくことを明らかにした。
FTTHを利用したサービスの具体例としては、FTTHを通じて家庭のDVDレコーダーに直接コンテンツを配信するトライアルを近日中に実施することが公表された。このトライアルサービスは、パワードコムと東芝、東京電力が共同で行なうもので、東芝がコンテンツの著作権保護などの管理を担当、パワードコムが配信サーバーを設置し、東京電力のFTTHサービス「TEPCOひかり」を通じて家庭のDVDレコーダーに直接コンテンツを配信するもの。DVDレコーダーの開発は東芝が担当し、ユーザーは配信されたコンテンツをDVDメディアに記録できる仕組みとなる。コンテンツはレンタルまたは販売という形態となり、トライアルサービスの実施概要などについては近日中に発表するとしている。
パワードコムでは、今期は赤字決算となり、来期についてもフュージョンとDTIとの事業統合を控えていることから、収益としては引き続き厳しいと予想している。事業統合については、各社の事業をそれぞれまとめる形で、電話事業はフュージョン、インターネット事業はDTI、データ通信事業はパワードコムといった形で分社化していくことを明らかにした。パワードコムでは、これらの事業統合により早期に収益構造を改善していきたいとしている。
また、会見を行なったパワードコムの白石智取締役社長と佐藤紀男専務取締役、および種市健取締役会長の3氏については、同日行なわれた取締役会で退任が内定したこともあわせて発表された。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.poweredcom.co.jp/news/04_news/040518a.html
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( 三柳英樹 )
2004/05/18 19:21
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