NTT西日本と国立遺伝学研究所は31日、共同で実施したフレッツユーザーを対象にしたグリッド実験の結果を発表した。
共同実験は、NTT西日本営業エリアのフレッツユーザー約2,500人を対象に、2004年2月16日から4月30日まで行なわれた。実験に参加したPCの余剰計算力を通信ネットワークを介して集約し、大規模データベースに接続して情報解析研究に応用することの有用性やセキュリティ面での検証を行なったという。
実験によると、グリッドを用いた計算処理能力は最大約1TFlopsを実現。これは、世界最速500位にランクインしているスーパーコンピュータに相当するとしている。また、従来のグリッドシステムでは、PCが計算処理に必要なデータや計算式などをサーバーから取得していたためサーバーに処理が集中し、サーバーがボトルネックになっていた。しかし、今回の共同実験では計算に必要なデータを細分化した上で、あらかじめPCに分散配置していたため、負荷分散に成功したという。
セキュリティに関する問題でも、通常グリッドではデータを各PC間でやり取りするため、ウイルス感染が拡大する懸念などが存在したが、今回の実験では、さまざまなセキュリティ対策を実施した結果、被害報告は受けていないという。
実験ではグリッドシステムを使用して、ヒトゲノムとラットゲノムの類似遺伝子の検索を実施。ラットデータを用いてグリッドシステムの利用による新規データへの迅速な対応の可能性なども検討された。
今回の実験で得られたデータは、ラットを用いたさまざまな応用研究の基礎データになるほか、生物の進化といった基礎科学分野でも重要な役割が期待されているとしている。
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実験で行なった負荷分散イメージ。従来よりサーバー負荷が低減されていることがわかる
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.ntt-west.co.jp/news/0408/040831c.html
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・ NTT西と国立遺伝学研、フレッツユーザーを対象にしたグリッド実験(2004/02/03)
( 大津 心 )
2004/08/31 16:47
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