モスフードサービスと大日本印刷は11月30日、無線ICタグ(RFID)を使った食品トレーサビリティの実験を行なうと発表した。ハンバーガーの主原料の1つである牛肉について物流工程をRFIDで管理し、その店舗で実際に使われている牛肉の生産地域を店頭に表示する。
実験は、東京都内にある直営店3店舗(市ヶ谷田町店、神楽坂下店、飯田橋東店)において、12月、2005年1月、2月のそれぞれ中旬ごろに1週間ずつ実施する。まず、海外から輸送された牛肉をハンバーガー用のパティに加工する国内工場で納品ケースごとにRFIDを貼付。入出荷時や店舗への配送、納品時にこれをRFIDリーダで読み取り、その情報を本部のサーバーに蓄積する。これにより、各店舗で使われるパティの生産履歴が厳密に記録できるようになるという。
今回使われるRFIDは13.56MHz帯を利用するもので、至近距離からの読み取りにしか対応していない。一方、7~8mからでも読みとれるというUHF帯のRFIDについては現在、総務省で検討しており、2005年にもRFID用のUHF帯が開放される見込みだという。モスフードサービスでは、まずは既存の13.56MHz帯を用いて、RFIDによるトレーサビリティシステムの仕組みだけを検証。UHF帯が開放されてから本格導入する考えだ。
なお、今回の実験で消費者に提供される情報は、生産国や州などの地域情報のみで、従来より表示している国内野菜の生産地情報と同様に、店頭の黒板に書かれるかたちになる。トレーサビリティシステムでは、どのような飼料や抗生物質を与えられたのかなどの育成履歴についてもすべて管理できるとしており、いずれはWebサイト上でこれらの情報を消費者に対して開示したいとしている。また、牛肉のほかにも「口に入れるものはすべてやりたいというのが本心。豚と鶏は視野に入れている」(モスフードサービスの堀田富雄執行役員商品本部長)という。
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実験で使われるタグやリーダ、ラベルプリンタなど
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モスフードサービスの堀田富雄執行役員商品本部長
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関連情報
■URL
モスフードサービス
http://www.mos.co.jp/
大日本印刷
http://www.dnp.co.jp/
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( 永沢 茂 )
2004/11/30 20:10
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